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秘密の洞窟✨✨✨✨
✨✨✨
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信乃介は悲鳴がした方へ駆け出した。
「お蘭……!!」
やはりここに間違いないようだ。
洞窟の中を疾走り抜けていく。
徐々に、お蘭の悲鳴に近づいている。
「助けてェーー……! 信さん」
ついに、お蘭を発見した。無残な格好で磔にされ着物は、かなり乱れているが健気だ。
「わかった。今すぐに助けるよ」
だが用心深く辺りを見回した。明らかに罠が仕掛けられている。
「信さん、早くうゥ……! 早くしてェ……」
大粒の涙を流し悲鳴を上げた。しかし信乃介の脚が止まった。
背後から気配がする。
「どうした。隠れてないで出てこいよ。
俺とやり合うために、お蘭を拐ったのだろう」
おもむろに信乃介は背後を窺った。暗い洞窟の奥に人影があった。
ゆっくりとこちらへ歩み寄ってきた。ようやく正体を現わした。
闇御前だ。顔には夜叉羅刹の面をかぶっていた。
煌羅のように殺気が漲っている。一瞬にして、二人の間に痺れるような緊張感が疾走った。
「清雅様……、お蘭を頼んだ」
すでに、信乃介も迎え討つ構えだ。
「し、信乃介先生……」
俺とお蝶は素早くお蘭を解放しようと手を尽くした。
「フフゥン、信乃介! 幼き娘子を人質に取るような真似はしたくはなかった。
ワシはお蘭には指一本触っておらん。だが見張り番が粗相をしたようだ。済まなかった」
お蘭の着物が斬られているのは、見張り番による所為なのだろう。
闇御前は、ぶらりとさせた両手には刀が握られていた。右手には長い打刀を握り、左手には小太刀を握っていた。二刀流なのだろうか。
「ああァ……、闇御前。お前の言葉を信じるよ」
二人の剣豪が対峙した。睨み合い、息詰まるような視殺戦を演じている。
「信乃介先生……」俺が助太刀してもなんの力にもなるまい。
ひたすら信乃介が勝つことを祈るだけだ。
「信さん! 絶対に勝ってェ……!!」縛めを解かれたお蘭も声援を送った。
「闇御前! 面も頭巾も邪魔でしょう。外したら如何がでしょう」
「無用な計らい! 存分に参れェ……」
闇御前は右手の打刀を頭上へ構え、左の小太刀を真横に構えた。
「ううゥ……」
見たことのない奇妙な二刀流の構えだ。
「ぬうぅ、お前は!!」信乃介も何かに気づいたみたいだ。
「おごる平家はひさしからず!!」
闇御前は静かにつぶやいた。
二人は同時に疾走った。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
「お蘭……!!」
やはりここに間違いないようだ。
洞窟の中を疾走り抜けていく。
徐々に、お蘭の悲鳴に近づいている。
「助けてェーー……! 信さん」
ついに、お蘭を発見した。無残な格好で磔にされ着物は、かなり乱れているが健気だ。
「わかった。今すぐに助けるよ」
だが用心深く辺りを見回した。明らかに罠が仕掛けられている。
「信さん、早くうゥ……! 早くしてェ……」
大粒の涙を流し悲鳴を上げた。しかし信乃介の脚が止まった。
背後から気配がする。
「どうした。隠れてないで出てこいよ。
俺とやり合うために、お蘭を拐ったのだろう」
おもむろに信乃介は背後を窺った。暗い洞窟の奥に人影があった。
ゆっくりとこちらへ歩み寄ってきた。ようやく正体を現わした。
闇御前だ。顔には夜叉羅刹の面をかぶっていた。
煌羅のように殺気が漲っている。一瞬にして、二人の間に痺れるような緊張感が疾走った。
「清雅様……、お蘭を頼んだ」
すでに、信乃介も迎え討つ構えだ。
「し、信乃介先生……」
俺とお蝶は素早くお蘭を解放しようと手を尽くした。
「フフゥン、信乃介! 幼き娘子を人質に取るような真似はしたくはなかった。
ワシはお蘭には指一本触っておらん。だが見張り番が粗相をしたようだ。済まなかった」
お蘭の着物が斬られているのは、見張り番による所為なのだろう。
闇御前は、ぶらりとさせた両手には刀が握られていた。右手には長い打刀を握り、左手には小太刀を握っていた。二刀流なのだろうか。
「ああァ……、闇御前。お前の言葉を信じるよ」
二人の剣豪が対峙した。睨み合い、息詰まるような視殺戦を演じている。
「信乃介先生……」俺が助太刀してもなんの力にもなるまい。
ひたすら信乃介が勝つことを祈るだけだ。
「信さん! 絶対に勝ってェ……!!」縛めを解かれたお蘭も声援を送った。
「闇御前! 面も頭巾も邪魔でしょう。外したら如何がでしょう」
「無用な計らい! 存分に参れェ……」
闇御前は右手の打刀を頭上へ構え、左の小太刀を真横に構えた。
「ううゥ……」
見たことのない奇妙な二刀流の構えだ。
「ぬうぅ、お前は!!」信乃介も何かに気づいたみたいだ。
「おごる平家はひさしからず!!」
闇御前は静かにつぶやいた。
二人は同時に疾走った。
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