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秘密の洞窟✨✨✨✨

✨✨✨

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 まさにカラクリ屋敷と云ったところだろうか。

 だが明らかに見張り番の数が多い箇所がある。
 俺とお蝶、そして源内、信乃介が見張り番の前を通ろうとした。
 すぐさま夜叉羅刹面をかぶった見張り番、二人が長槍で通路を塞いだ。
 
「お客人!  申しわけないが、ここから先は何人たりとも立ち入り禁止です」
「ふぅン、随分と警戒しているが、向こうの側に何か大事なモノでもあるのか」
 不敵に笑みを浮かべ信乃介が顎で差して訊いた。

「それは他言無用……」
「ン……」その時、不意に信乃介の背後でお蝶が艶かしい仕草で裾をめくった。


「うッううゥ……!!」よほど見張り番等も退屈だったのだろう。
 夜目にも白いお蝶の太腿を魅入ってしまった。
 思わず、前のめりに覗き込んだ。
 二人とも気も緩慢そぞろだ。

「ッリャァ!」信乃介はその瞬間を見逃さず気合い一発。見張り番の首筋へ強烈な手刀を喰らわせた。
「ううゥ……」見張り番は一撃で白目を剥いて失神した。

「なッ」慌ただしくもう一人は呼子笛を手に取った。だがすでに信乃介の剣は見張り番の胴を叩いていた。ドスッと鈍い音が響いた。

「うッぐうッ」ミネ打ちだ。見張り番は小さく呻き倒れた。
 源内が失神した見張り番二人を見つからぬように片づけた。

「よし、今だ。奥へ行くぞ!」
 信乃介は早足で駆けていった。俺とお蝶も続いた。

 屋敷を抜けると中庭がある。外は凄い雨だ。
 中庭には祠のような場所があり、中へ入ると古井戸があった。おそらくこの古井戸から首の無い清丸の遺体が見つかったのだろう。

「この古井戸か……」
 振り返って信乃介が訊くと、お蝶は無言で頷いた。ここで悩んでいても埒が明かない。
 もはや突き進む以外道はない。

 信乃介を先頭に、用意した縄梯子を頼りに古井戸を降りていく。
 やはり思惑通り古井戸の奥には潜窟があった。
 そこを潜ると人が通れるような秘密の洞窟がある。
 用心深く洞窟内を探索した。

 かすかに奥から女子の悲鳴が聞こえてきた。
「ぬうぅ、この声は、お蘭の悲鳴だ」
 信乃介は悲鳴が聞こえる方へ駆け出した。

「お蘭……!!」やはりここに間違いないようだ。








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