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カラクリ屋敷✨✨✨

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 その刹那、背後から。
清斎キヨときィィィィーー!」
 突然、悲鳴にも似た絶叫が聴こえてきた。

「ううゥ……、お律様!!」
 振り返ると血眼になって愛息子を探すお律が駆けてきた。

 狂気すら感じる彼女の姿に俺たち一同は怖じ気おじけづき、声すら掛けられない。

「清斎ィーー……!!」
 母親のお律は俺たちを押し退け、部屋へ入るなりわめき立てた。

「いや、お律様。待って下さい!  この生首は清斎様のモノではありません」
 慌てて、傍らから信乃介が忠言した。
「そッ、そうか……」
 確かに清斎の生首にしては大きい。かなりゴツく明らかに成人した大人の生首だ。肌の色も浅黒くまったくの別人だろう。
 
 しかしお律は頭に血が昇って、正常な判断が出来ないでいる。清斎の部屋に生首があったので無理もない話しなのだが。
「ぬうゥ……、清斎ィ!!」すぐさま生首がかぶっている夜叉羅刹の面を剥ぎ取った。
 
「ぐうゥ!」やはり土蜘蛛衆のものだ。色白で華奢な男子の清斎とは、似ても似つかぬ醜い容貌だ。


 しかし、すぐさまお律は矛先をこちらへ変えた。
「清雅ァーーッ。やはり貴様かァ!  この私の清斎をかどわかしたのは。このチクショーがァ!!」
 振り返りざま俺を指差し罵倒した。

「何を云ってるんですか。なんのために俺が!
 清斎様をかどわかすはずがないでしょう!!」
 もちろん否定したが、お律はまったく聞く耳を持たない。

「清丸様の祟りじゃァァー!  貴様等さえ江戸から来なければ、災いを招くことはなかったんだ」
 さらに、お律は罵った。

 まるですべての元凶は俺たちにあるような口ぶりだ。






 



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