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カラクリ屋敷✨✨✨
清斎✨✨✨
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『祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをなす、おごれる者はひさしからず……』
清貴の部屋にも、『平家物語』が聞こえてきた。
「ン、なんで『平家物語』が……?」
信乃介も不思議に思い廊下の方を見た。
その時、邸内に女性の悲鳴が響いた。
『キャァァァァーーーー……』
「ううゥ……、誰の声だ」いったいこの屋敷で何が起きているのだろう。
俺と信乃介は清貴の部屋で悲鳴を聞いた。
「女性の人の悲鳴……」お蘭もすぐに立ち上がった。
「ゴメン」すぐさま信乃介は立ち上がり、悲鳴がした方へ急いだ。
「清貴様、俺もちょっと見てきます」
中座し俺も信乃介のあとへ続いた。
「無理をするなよ……。清雅!」双子の兄は俺を案じてくれたようだ。
「ハイ、かたじけない!」
俺は部屋を飛び出した。
その瞬間、兄、清貴は小声でつぶやいた。
「おごる平家はひさしからずか……」
何かを暗示するように独り言を云った。
また悲鳴が聞こえた。
「キャァァァーーッ! 清斎ィィ、清斎ィィィーー」
どうやら母親のお律の悲鳴のようだ。
まず信乃介が悲鳴のする部屋に駆け込むと、『うッ』と息を飲んだ。
「なッ、なんだ。これは……」驚いて立ち止まった。
部屋じゅう血まみれで真っ紅だ。まるで誰かが惨殺された跡のようだ。
壁には大きく『おごる平家はひさしからず』と血文字で書かれてあった。
あの闇御前が暗殺された本陣に書かれた血文字とそっくりだ。同じ下手人の仕業なのだろうか。
「ぬうぅ……」
ここはどうやらお律の愛息子の清斎の書斎みたいだ。
畳には血だらけの夜叉羅刹の面が落ちている。
「ううゥ……、これは酷い。いったい如何《いかが》なされました」
俺は狂ったように泣き喚いているお律に訊いた。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
清貴の部屋にも、『平家物語』が聞こえてきた。
「ン、なんで『平家物語』が……?」
信乃介も不思議に思い廊下の方を見た。
その時、邸内に女性の悲鳴が響いた。
『キャァァァァーーーー……』
「ううゥ……、誰の声だ」いったいこの屋敷で何が起きているのだろう。
俺と信乃介は清貴の部屋で悲鳴を聞いた。
「女性の人の悲鳴……」お蘭もすぐに立ち上がった。
「ゴメン」すぐさま信乃介は立ち上がり、悲鳴がした方へ急いだ。
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中座し俺も信乃介のあとへ続いた。
「無理をするなよ……。清雅!」双子の兄は俺を案じてくれたようだ。
「ハイ、かたじけない!」
俺は部屋を飛び出した。
その瞬間、兄、清貴は小声でつぶやいた。
「おごる平家はひさしからずか……」
何かを暗示するように独り言を云った。
また悲鳴が聞こえた。
「キャァァァーーッ! 清斎ィィ、清斎ィィィーー」
どうやら母親のお律の悲鳴のようだ。
まず信乃介が悲鳴のする部屋に駆け込むと、『うッ』と息を飲んだ。
「なッ、なんだ。これは……」驚いて立ち止まった。
部屋じゅう血まみれで真っ紅だ。まるで誰かが惨殺された跡のようだ。
壁には大きく『おごる平家はひさしからず』と血文字で書かれてあった。
あの闇御前が暗殺された本陣に書かれた血文字とそっくりだ。同じ下手人の仕業なのだろうか。
「ぬうぅ……」
ここはどうやらお律の愛息子の清斎の書斎みたいだ。
畳には血だらけの夜叉羅刹の面が落ちている。
「ううゥ……、これは酷い。いったい如何《いかが》なされました」
俺は狂ったように泣き喚いているお律に訊いた。
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