60 / 119
カラクリ屋敷✨✨✨
✨✨✨
しおりを挟む
「フフゥン、それほど好いておるのなら、お蝶を側妻にすればよかろう」
当主、清国はあっさりと口にした。
「ううゥ……、側妻ですか」
チラッとまたお蝶の顔を窺った。
「……」かすかにお蝶の頬も強張っているようだ。
「さよう。清雅もお蝶から聞いたであろう。
忌まわしい清丸の祟りを……」
当主、清国も顔を顰めて辛そうに話し出した。
「は、ハイ……、嵐の晩に清丸様が神隠しに遭い、数日後、古井戸から首を斬られて発見されたと云う話しでしょうか」
「うむッ、あれから我一族は呪われておるのだ。
夜な夜な、古井戸から『首はどこだァ……』と云う呪詛が聞こえたり……。びしょ濡れの清丸の足跡が廊下に残されていたり。
ワシの世継ぎ等が、次々と変死や病魔が襲って夭逝していった。
屋敷に残った清貴も長患いで伏せておる」
「はァ、そうなのですね」
確かに、話しを聞く限り呪われていると言っても過言ではない。
「なので、ひとりでも多く世継ぎとなる子宝が必要なのだ」
「ンうゥ……、なるほど」
隠し財宝も大事だが、世継ぎ問題も喫緊の課題と云えるだろう。双子の兄、清貴が病いに伏せているからこそ、俺にもお鉢が回ってきたのだ。
「わかっておるな。お蝶!」
当主、清国は念を押すように告げた。
「ハイ、お舘様の仰せのままに……」
お蝶は何を云われても当主、清国に従うしかない。
「ううゥン……」俺は小さく呻いた。
真姫を正妻に迎え、お蝶を側妻としろと云うのか。
「ケッケケェ……、良いご身分だねえェ。いくらでも美女の側妻が持てるなら」
ヒデは羨ましそうに苦笑した。
「もぉ、ヒデさん!」お蘭がヒデをにらみつけた。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
当主、清国はあっさりと口にした。
「ううゥ……、側妻ですか」
チラッとまたお蝶の顔を窺った。
「……」かすかにお蝶の頬も強張っているようだ。
「さよう。清雅もお蝶から聞いたであろう。
忌まわしい清丸の祟りを……」
当主、清国も顔を顰めて辛そうに話し出した。
「は、ハイ……、嵐の晩に清丸様が神隠しに遭い、数日後、古井戸から首を斬られて発見されたと云う話しでしょうか」
「うむッ、あれから我一族は呪われておるのだ。
夜な夜な、古井戸から『首はどこだァ……』と云う呪詛が聞こえたり……。びしょ濡れの清丸の足跡が廊下に残されていたり。
ワシの世継ぎ等が、次々と変死や病魔が襲って夭逝していった。
屋敷に残った清貴も長患いで伏せておる」
「はァ、そうなのですね」
確かに、話しを聞く限り呪われていると言っても過言ではない。
「なので、ひとりでも多く世継ぎとなる子宝が必要なのだ」
「ンうゥ……、なるほど」
隠し財宝も大事だが、世継ぎ問題も喫緊の課題と云えるだろう。双子の兄、清貴が病いに伏せているからこそ、俺にもお鉢が回ってきたのだ。
「わかっておるな。お蝶!」
当主、清国は念を押すように告げた。
「ハイ、お舘様の仰せのままに……」
お蝶は何を云われても当主、清国に従うしかない。
「ううゥン……」俺は小さく呻いた。
真姫を正妻に迎え、お蝶を側妻としろと云うのか。
「ケッケケェ……、良いご身分だねえェ。いくらでも美女の側妻が持てるなら」
ヒデは羨ましそうに苦笑した。
「もぉ、ヒデさん!」お蘭がヒデをにらみつけた。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
死は悪さえも魅了する
春瀬由衣
歴史・時代
バケモノと罵られた盗賊団の頭がいた。
都も安全とはいえない末法において。
町はずれは、なおのこと。
旅が命がけなのは、
道中無事でいられる保証がないから。
けれどーー盗みをはたらく者にも、逃れられない苦しみがあった。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
狩野岑信 元禄二刀流絵巻
仁獅寺永雪
歴史・時代
狩野岑信は、江戸中期の幕府御用絵師である。竹川町狩野家の次男に生まれながら、特に分家を許された上、父や兄を差し置いて江戸画壇の頂点となる狩野派総上席の地位を与えられた。さらに、狩野派最初の奥絵師ともなった。
特筆すべき代表作もないことから、従来、時の将軍に気に入られて出世しただけの男と見られてきた。
しかし、彼は、主君が将軍になったその年に死んでいるのである。これはどういうことなのか。
彼の特異な点は、「松本友盛」という主君から賜った別名(むしろ本名)があったことだ。この名前で、土圭之間詰め番士という武官職をも務めていた。
舞台は、赤穂事件のあった元禄時代、生類憐れみの令に支配された江戸の町。主人公は、様々な歴史上の事件や人物とも関りながら成長して行く。
これは、絵師と武士、二つの名前と二つの役職を持ち、張り巡らされた陰謀から主君を守り、遂に六代将軍に押し上げた謎の男・狩野岑信の一生を読み解く物語である。
投稿二作目、最後までお楽しみいただければ幸いです。
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
永き夜の遠の睡りの皆目醒め
七瀬京
歴史・時代
近藤勇の『首』が消えた……。
新撰組の局長として名を馳せた近藤勇は板橋で罪人として処刑されてから、その首を晒された。
しかし、その首が、ある日忽然と消えたのだった……。
近藤の『首』を巡り、過去と栄光と男たちの愛憎が交錯する。
首はどこにあるのか。
そして激動の時代、男たちはどこへ向かうのか……。
※男性同士の恋愛表現がありますので苦手な方はご注意下さい
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる