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嵐の中の惨劇✨✨✨

嵐の中で……

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 どうやら今すぐここで修羅場になる気配はない。

 少し安心したが、もうひとりの謎の美女も湯浴ゆあみすると、おもむろに湯船の前へ進んで信乃介の前で妖しく微笑んだ。

「スゴい嵐ですね。雨に打たれて身体の芯まで冷えきってしまったわ。
 お武家様、前をよろしいでしょうか」
 魔性の笑みを浮かべている。
「ええェ……、どうぞ。それよりお連れの方はよろしいのですか」
 信乃介はチラッと頬に傷のある男を見た。
「フフゥン、別に私はあの方の連れではなくてよ」
 ゆっくりと入浴してきた。

「ぬうぅ……!」お蝶は用心深く睨んでいる。
 どこに隠していたのか、長針を逆手に持って背中へ忍ばせていた。

「フフゥン、ああァら怖いわね。やるならいつでも相手になるわよ」
 謎のくノ一も笑みを浮かべているが、妖気を放っていた。お蝶と睨み合って、お互い殺気がみなぎっている。
 
「ケッケケ、オイラはヒデだ。こちらは源内先生と彼は信乃介先生。彼は、キヨさんね」
 しかし何も知らずに、あっけらかんとヒデが俺たちを紹介した。
「へえェ……、信乃介先生ッてお武家様なんでしょ」
 くノ一は信乃介を見つめたまま微笑んだ。

 だが、すぐにお蘭が割り込んだ。
「信乃介先生は蘭学医よ。ただのお武家さんじゃないわ」
 信乃介と謎のくノ一の間をさえぎるように口を挟んだ。

「ああァら、信乃介先生はお医者様なの……。じゃァ、私の病いも治して戴けるかしら」
 謎のくノ一は、妖しく目を輝かせた。

「さァ、どうですかね。診察てみない事には」
 信乃介も照れ笑いを浮かべていた。腕はたつが、美女には滅法弱い。

「じゃァ、あとでと診てもらおうかしら、深夜に二人で」
 ゆっくりと手を信乃介の敏感な部分へ差し伸べた。手練た遊女のような誘い方だ。
「ハッハハ……、ちょっとそこは」
 信乃介もくすぐったそうに身体をよじった。

「もぉ、駄目、ダメ!   信さんは深夜の診断はしないわ」
 お蘭が謎の美女の手を叩こうとした。

「フフゥン、残念ね。じゃァ、先生ェ……、子供が寝たあとにお願いね」









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