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旅路✨✨✨
嵐の中で……
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山の天候は変わりやすい。
さっきまで青く澄みわたった空に、いきなり暗雲が垂れ込めた。風が急に肌寒くなり、辺りが暗くなって来る。
もはや一刻の猶予もない。
「くそォ、こんなに早く天気が悪くなるなんて」
俺たちもここまで悪化するとは予想出来なかった。今日一日は持つと思っていた。
ゴロゴロと遠雷が聞こえてくる。
「さァ、源内先生も早く」
五十を過ぎた源内には酷だが急いでもらうしかない。
雨の降る中、山で一夜を過ごすのは、夏とはいえ遭難しかねない。
「早くしろォー。お蘭!!」
信乃介は強引に美少女の腕を引いて走らせた。
「わァーーン、待ってよォ! 信さん」さっそくお蘭はグズりだした。
「早くこの山を越えるんだ!」
「もう疲れて走れない。足が痛いよォ」
「甘ったれるな。だから玄白先生のトコで待っていろと言ったんだ!!」
案の定、信乃介も怒鳴りつけた。
「わァン……、そんな事言ってもォ!!」
「もう泣き言なんか聞いていられるか。置いて行くぞ」
「信さん、助けてえェ……」
出来るだけ早くこの山を越えなくては危ない。嵐の中、この山中で一夜を明かすのは危険だ。
「死にたくなければ急げェーー……」
更に信乃介は激を飛ばした。
「キャァ、信さーーん」
それでも、なんとか宿場町まで天候が持ったようだ。
もはやお蘭もヒデも疲れて文句を言う気力さえない。
だが不意に閃光が煌めき雷鳴が轟いた。
「キャァー」また、お蘭が悲鳴を上げた。
突然、音を立てて雨が降り始めた。
すぐに豪雨になった。全身びしょ濡れだ。
「あの宿だ!」
俺たちは手近な旅籠に飛び込んだ。
あれこれと旅籠を選んでる暇はない。
「ああァン、びっしょりよ。見てえェ……。信さん。お蘭もこんなに濡れちゃった」
なんとなく妖艶に笑みを浮かべた。
さっきまで泣いていたのに嘘のようだ。すっかり濡れたので、着物が柔肌にくっついて身体の線が丸見えだ。子供かと思っていたが、なんとなく艶めかしい。
「いや、わかってるよ。あの風呂は沸いてますか」
信乃介は少し照れ笑いを浮かべ飯盛《メシもり》女《おんな》に訊いた。
「ハイ、どうぞ。こちらです」案内した。
飯盛女とは元々、遊女だったが江戸中期から幕府の取締りが厳しくなり、飯盛女と名を変え給仕や雑用をしていた。
だが多くは売春目的で、感じの良い飯盛女がたくさんいる旅籠には男性客が多かった。
しかし俺にはお蝶が、信乃介にもお蘭が連れにいる。
当然だが女連れの男には飯盛女は、あまり親しげに寄って来ない。
盛んにヒデと源内の世話をしている。
「早く脱いで、風呂に入ろうぜ」
すでにヒデはフンドシ一丁だ。
当然、風呂は混浴だ。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
さっきまで青く澄みわたった空に、いきなり暗雲が垂れ込めた。風が急に肌寒くなり、辺りが暗くなって来る。
もはや一刻の猶予もない。
「くそォ、こんなに早く天気が悪くなるなんて」
俺たちもここまで悪化するとは予想出来なかった。今日一日は持つと思っていた。
ゴロゴロと遠雷が聞こえてくる。
「さァ、源内先生も早く」
五十を過ぎた源内には酷だが急いでもらうしかない。
雨の降る中、山で一夜を過ごすのは、夏とはいえ遭難しかねない。
「早くしろォー。お蘭!!」
信乃介は強引に美少女の腕を引いて走らせた。
「わァーーン、待ってよォ! 信さん」さっそくお蘭はグズりだした。
「早くこの山を越えるんだ!」
「もう疲れて走れない。足が痛いよォ」
「甘ったれるな。だから玄白先生のトコで待っていろと言ったんだ!!」
案の定、信乃介も怒鳴りつけた。
「わァン……、そんな事言ってもォ!!」
「もう泣き言なんか聞いていられるか。置いて行くぞ」
「信さん、助けてえェ……」
出来るだけ早くこの山を越えなくては危ない。嵐の中、この山中で一夜を明かすのは危険だ。
「死にたくなければ急げェーー……」
更に信乃介は激を飛ばした。
「キャァ、信さーーん」
それでも、なんとか宿場町まで天候が持ったようだ。
もはやお蘭もヒデも疲れて文句を言う気力さえない。
だが不意に閃光が煌めき雷鳴が轟いた。
「キャァー」また、お蘭が悲鳴を上げた。
突然、音を立てて雨が降り始めた。
すぐに豪雨になった。全身びしょ濡れだ。
「あの宿だ!」
俺たちは手近な旅籠に飛び込んだ。
あれこれと旅籠を選んでる暇はない。
「ああァン、びっしょりよ。見てえェ……。信さん。お蘭もこんなに濡れちゃった」
なんとなく妖艶に笑みを浮かべた。
さっきまで泣いていたのに嘘のようだ。すっかり濡れたので、着物が柔肌にくっついて身体の線が丸見えだ。子供かと思っていたが、なんとなく艶めかしい。
「いや、わかってるよ。あの風呂は沸いてますか」
信乃介は少し照れ笑いを浮かべ飯盛《メシもり》女《おんな》に訊いた。
「ハイ、どうぞ。こちらです」案内した。
飯盛女とは元々、遊女だったが江戸中期から幕府の取締りが厳しくなり、飯盛女と名を変え給仕や雑用をしていた。
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しかし俺にはお蝶が、信乃介にもお蘭が連れにいる。
当然だが女連れの男には飯盛女は、あまり親しげに寄って来ない。
盛んにヒデと源内の世話をしている。
「早く脱いで、風呂に入ろうぜ」
すでにヒデはフンドシ一丁だ。
当然、風呂は混浴だ。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
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