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平家伝説財宝殺人事件✨✨

折り鶴✨✨✨

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 柿の木長屋へ戻った俺は、さっそく物置を探した。

 おっぁの遺した手がかりを見つけようとして。
 お蝶が長屋へ戻ると子供たちが寄ってきた。彼女は和気あいあいに子供たちへ字を教えたりして、けっこう人気者だ。

 こんな若くて美しい女性にょしょうが長屋へ来たのは初めてなので、ヤケに子供たちもはしゃいでいる。

「ねえェ……、お蝶姉ちゃんは、キヨ兄ちゃんのお嫁さんなの?」
 子供のひとりが訊いてきた。
 まったく子供は無邪気だ。素直に疑問を口にする。
「え……?」お蝶も驚いて返答に困っていた。
「な、何を云ってるんだよ……?  バカだな」 
 俺とお蝶は顔を見合わせ苦笑いを浮かべた。

「フフ、お嫁さんなんかじゃないわよ。私と清雅様では、身分が違いすぎますから……」
 お蝶は哀しそうに笑って応えた。

「いや、お蝶さん、そんなァ……。俺は身分なんて関係ない。出来れば俺だってェ……」
 俺としては彼女さえ良ければ妻にめとって上げたい気持ちだ。

「フフ、揚羽の里へ戻れば清雅様には、お真姫マキ様と云うお舘様が選んだ許嫁いいなずけがおりますわ」
「ええェ、許嫁いいなずけですかァ……?」
 まさか。そんな人が揚羽の里にいるのか。

「ええェ……、お真姫マキ様は私など足元にも及ばない素敵な女性です」
「ぬうぅ……」
 どんな素晴らしい女性かは知らないが、いくら素敵な女性でもお蝶には叶わない。

 そのお舘様の意向に背くかもしれないが、俺の一存ではお蝶と夫婦めおとになりたいと思っている。

「ねえェ……、お蝶姉ちゃん。折り鶴を折ってよ」
 長屋に住むひとりの女の子が折り紙を寄越してきた。

「え、折り鶴ですか。ごめんなさい。私は折れないわ」
「なァんだ。オバちゃんは得意だったのよ」
「え、オバちゃん?」お蝶は聞き返した。

「ああァ、俺のおっぁのことだよ。そうだな。俺のおっぁは折り鶴が得意だった」
「じゃァ、キヨ兄ちゃん、折って」

「ハッハハ、折り鶴か。ンうゥ……、そう言えば!」
 俺も幼い頃、おっかぁに折り鶴を習ったものだ。
 少し折ったところで、ハッと脳裏に閃いた。

「あァ!  そうだ。そう云えば、おっかぁの折り鶴だ」
 昔、おっかぁが千羽鶴を折っていた。確か、あの千羽鶴をどこかへしまい込んだはずだ。

「ゴメンよ。ちょっと、大事な捜し物があるんだ」
 慌てて俺は子どもたちに別れを告げ自宅へ引き返した。
「なんだよ。キヨさん」
 子どもたちは文句を云うが、仕方ない。

 俺は押入れの中を探した。
「確か、この辺におっぁの折った千羽鶴を入れたはずだ……」
 母親の形見だ。捨てた覚えはない。
 必ず千羽鶴はあるはずだ。







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