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平家伝説財宝殺人事件✨✨
廃寺✨✨✨
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夜、妖しく満月が中天に輝いている。
雑草が生茂った庭では、軽やかに鈴虫の鳴き声が響いていた。
寂れた寺の朽ち果てた仏像の前に場違いな格好の男が座っていた。
高貴な者のようだ。
頭巾で顔を隠した御前みたいな男だ。
さらに夜叉の面をかぶっていた。
気づくと天井から幾つも影が、コウモリみたいにぶら下がっている。忍びの者だろう。
「闇御前! どうやら蝶が舞ったようです」
目の前にいる男が頭を垂れた。
精悍な顔をした土蜘蛛衆のひとり将宗だ。
「フフゥン、よかろう。引き続き、ヤツ等の様子を見ておれ」
夜叉の面の下で闇御前はニヤリと微笑んだ。
「はッ、ではやはりヤツ等に例の『お宝』を探させるんですね」
狡猾なキツネ目の加助が顔を歪めた。足に傷を負っている。
信乃介が小太刀を放った際の傷だ。
「フフ、だが、ヤツらの宝探しの障害になる者は容赦はいらぬ。消し去れ」
闇御前は目を光らせた。
「はッ」将宗他、四つの影は頷くと音もなく消えていった。
「ようやくワシが探し求めてきた『平家の隠し財宝』が手に入るのか。フフフ……」
闇御前は不気味に笑っていた。
夜叉羅刹の面の下の目だけは煌々と光り輝いている。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚
雑草が生茂った庭では、軽やかに鈴虫の鳴き声が響いていた。
寂れた寺の朽ち果てた仏像の前に場違いな格好の男が座っていた。
高貴な者のようだ。
頭巾で顔を隠した御前みたいな男だ。
さらに夜叉の面をかぶっていた。
気づくと天井から幾つも影が、コウモリみたいにぶら下がっている。忍びの者だろう。
「闇御前! どうやら蝶が舞ったようです」
目の前にいる男が頭を垂れた。
精悍な顔をした土蜘蛛衆のひとり将宗だ。
「フフゥン、よかろう。引き続き、ヤツ等の様子を見ておれ」
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「はッ、ではやはりヤツ等に例の『お宝』を探させるんですね」
狡猾なキツネ目の加助が顔を歪めた。足に傷を負っている。
信乃介が小太刀を放った際の傷だ。
「フフ、だが、ヤツらの宝探しの障害になる者は容赦はいらぬ。消し去れ」
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「ようやくワシが探し求めてきた『平家の隠し財宝』が手に入るのか。フフフ……」
闇御前は不気味に笑っていた。
夜叉羅刹の面の下の目だけは煌々と光り輝いている。
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