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平家伝説財宝殺人事件✨✨
キヨマサ✨平家の末裔✨✨
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キヨマサは慌ただしく長屋へ戻り、清住町(現・清澄)にある源内邸へ羽子板を持って急いだ。
だが、知らぬ間にキヨマサの後ろを影のように追跡してくる者たちがいた。
土蜘蛛衆の忍者だ。彼等は、甲賀や伊賀とは違って寄せ集めの烏合の衆と云って良いだろう。金で雇われているらしい。
土蜘蛛衆は目を光らせ、源内邸を見張っていた。
頭目の将宗は源内邸を望み手下等に命じた。
「良いか。決してヤツを見失うな」
先ほどの編笠の一味の精悍な顔の男だ。
「は……ッ」手下の加助らは無言でうなずき、またたく間に姿を消した。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
平賀源内は深川清住町(現・東京都江東区清澄)に住居を構えていた。
住居跡には『平賀源内エレキテル実験の地』として現在も江東区清澄に残っている。
屋敷では、源内が俺の持ってきた羽子板を手にし小さく呻いた。
「ううゥむ……、これか」
羽子板の飾り絵を凝視していた。
「ええェ……」
俺も苦笑いを浮かべうなずいた。
「蝶じゃないの。ずい分と精巧に出来ているわ」
お蘭も羽子板を覗き込んだ。
「ああァ、そうだ。揚げ羽蝶だそうだ」
俺も少し自慢げに応えた。
「ケッケケェ……、揚げ羽蝶ねえェ。こいつは思ったより派手だな」
山師のヒデも楽しそうだ。
「何かの家紋かしら……」ポツリとお蘭がつぶやいた。
「家紋ねえェ……。葵のご紋みたいな」
ヒデは肩をすくめ苦笑した。
「ああァ、まァ揚げ羽蝶の家紋と言えば、平家の家紋が有名なんだが……」
源内も眉をひそめつぶやいた。
「ええェ……」まさか、平家だって。
「ケッケケ、平家ッて、あの『奢る平家は久しからず』ッでヤツッすか」
山師のヒデもニヤニヤして覗き込んだ。
「ううゥン……」源内は羽子板を横から見たり、ひっくり返したりした。
「まさか、キヨさんは本当に平家の末裔なのかしら」
お蘭も首を傾げ半信半疑だ。
「平家か……。そう言えば、おっ母ぁも亡くなる寸前に俺が平家の末裔だと……」
「ほぉ……」
「本当の名も清雅だと言い遺して亡くなりました……」
「ふぅン、お母さんが……」お蘭も聞き返した。
「ああァ、でも、そんな世迷言なんて信じられるワケもなくて他人には話せなかったんです」
「うゥむ、なるほどなァ。平家は壇ノ浦の合戦で負け散り散りになり、各地に落人として集落を作っておると聞く……」
「ケッケケ、平家落人伝説か……」
山師のヒデも嬉しくて堪らないようだ。
なにしろ金の匂いには敏感だ。
「平家か……」
噂では聞いたが、まさか本当に自分が平家に所縁があるとは思いもしなかった。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
邸内の天井裏では、土蜘蛛衆の将宗が源内とキヨマサ等の話しを盗み聞きしていた。
『ぬうぅ、ヤツが……。清国様の落とし胤なのか』
天井裏からキヨマサを怨めしそうに睨んだ。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
だが、知らぬ間にキヨマサの後ろを影のように追跡してくる者たちがいた。
土蜘蛛衆の忍者だ。彼等は、甲賀や伊賀とは違って寄せ集めの烏合の衆と云って良いだろう。金で雇われているらしい。
土蜘蛛衆は目を光らせ、源内邸を見張っていた。
頭目の将宗は源内邸を望み手下等に命じた。
「良いか。決してヤツを見失うな」
先ほどの編笠の一味の精悍な顔の男だ。
「は……ッ」手下の加助らは無言でうなずき、またたく間に姿を消した。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
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住居跡には『平賀源内エレキテル実験の地』として現在も江東区清澄に残っている。
屋敷では、源内が俺の持ってきた羽子板を手にし小さく呻いた。
「ううゥむ……、これか」
羽子板の飾り絵を凝視していた。
「ええェ……」
俺も苦笑いを浮かべうなずいた。
「蝶じゃないの。ずい分と精巧に出来ているわ」
お蘭も羽子板を覗き込んだ。
「ああァ、そうだ。揚げ羽蝶だそうだ」
俺も少し自慢げに応えた。
「ケッケケェ……、揚げ羽蝶ねえェ。こいつは思ったより派手だな」
山師のヒデも楽しそうだ。
「何かの家紋かしら……」ポツリとお蘭がつぶやいた。
「家紋ねえェ……。葵のご紋みたいな」
ヒデは肩をすくめ苦笑した。
「ああァ、まァ揚げ羽蝶の家紋と言えば、平家の家紋が有名なんだが……」
源内も眉をひそめつぶやいた。
「ええェ……」まさか、平家だって。
「ケッケケ、平家ッて、あの『奢る平家は久しからず』ッでヤツッすか」
山師のヒデもニヤニヤして覗き込んだ。
「ううゥン……」源内は羽子板を横から見たり、ひっくり返したりした。
「まさか、キヨさんは本当に平家の末裔なのかしら」
お蘭も首を傾げ半信半疑だ。
「平家か……。そう言えば、おっ母ぁも亡くなる寸前に俺が平家の末裔だと……」
「ほぉ……」
「本当の名も清雅だと言い遺して亡くなりました……」
「ふぅン、お母さんが……」お蘭も聞き返した。
「ああァ、でも、そんな世迷言なんて信じられるワケもなくて他人には話せなかったんです」
「うゥむ、なるほどなァ。平家は壇ノ浦の合戦で負け散り散りになり、各地に落人として集落を作っておると聞く……」
「ケッケケ、平家落人伝説か……」
山師のヒデも嬉しくて堪らないようだ。
なにしろ金の匂いには敏感だ。
「平家か……」
噂では聞いたが、まさか本当に自分が平家に所縁があるとは思いもしなかった。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
邸内の天井裏では、土蜘蛛衆の将宗が源内とキヨマサ等の話しを盗み聞きしていた。
『ぬうぅ、ヤツが……。清国様の落とし胤なのか』
天井裏からキヨマサを怨めしそうに睨んだ。
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