37 / 118
走水海岸へ✨✨💕
走水海岸✨✨💕
しおりを挟む
「ちょっと……」
あまりの勢いに少し怖いくらいだ。
だがさすがに、こんな飛び回ってはいられない。
「はァはァ……」
すぐにショーリも息が上がり疲れたのか、歩き始めた。
「バカなの。少しはペース配分を考えなさいよ。
ショーリはいつでも遠足で、行きだけ妙にはしゃいで帰りはグッタリして無口になるタイプでしょ」
クラスには何人か、いるヤツだ。
「ヘッヘ、よく知ってるな……。そうなんだよ。いっつも行きはハイテンションで、楽しいんだけどな」
「スタートダッシュして、シーズン途中でバテバテになって夏場になると、泥沼の連敗するどっかの球団と同じよ」
「ヘッヘ……、まァそうなんだけどね」
「でも、ありがとう。ショーリ、きょうは私に付き合ってくれて……」
恥ずかしいからおんぶされたまま、彼の耳元へ囁いた。
「ええェ? ああァ、当たり前の事をしただけだよ」
ショーリも褒められたので、かなり照れているようだ。
「もう大丈夫だよ。下ろして。あとは自分で歩くから」
「いやいやァ、もう少しだけ背中にイチゴの胸の膨らみを感じていたいしィ」
いやらしくニヤニヤして笑いかけた。
「だァァァ! そりゃァ、それが狙いか。
感謝して損したァァ。早く下ろせェ……」
おんぶされたまま、ポカポカと殴りつけた。もちろん軽くだ。
「わかりました。わかりましたよ」
すぐさま浜辺へ下ろし、頭を抱えて退避した。
それでもかなりおんぶしてくれたので、駐輪場まではすぐそこだ。
夕陽に海が紅く染まっていく。
「わァ、夕陽なんて久しぶりィ」
いつ以来だろうか。こんな綺麗な夕陽を見たのは。
「フフゥン」ショーリは鼻で笑った。
「なによ。そんなに可笑しい?」
「別に、オレもそうだよ。こんなに綺麗な夕陽を見たのは、かなり昔だったような気がする」
「受験勉強で、いっぱいいっぱいだったからね」
なんとなく二人で見る夕焼けは感慨深い。
気づくと辺りは夕闇が迫っていた。
こんなに遅くなるとは思わなかった。
ショーリは、駐輪場の近くにある自動販売機でミネラルウォーターを買って、一本私に渡してきた。
「ハイ、イチゴ」
「ンううゥ……、でもこれェカロリーがあるンでしょ」
「そりゃァ、あるけど頼むよ。そんなに無理なダイエットをしないで。お願いだよ。
水分補給しないと、こんなトコで熱中症で倒れられたらオバさんに何て謝れば良いか」
泣きそうな顔で頼んできた。
「お母さんには、別に私が悪いんだから……」
だが、ここまで頼まれれば仕方がない。
ミネラルウォーターを口にした。
ほのかに甘い甘味料の味がする。
「どうする? 自転車は、ここに置いておいてタクシーかバスで帰る。明日取りに来れば良いじゃん」
ショーリは、私の身体を心配して進言してくれた。
「平気だよ。それより今日は詰まらない事につき合わせちゃって、ありがとう」
「ええェ……、なにが?」
「せっかく走水まで来たのに……、私が無茶して沖まで泳いで、溺れたのを助けてくれただけじゃん。
楽しく海水浴もできなかったし……」
「いやいや、楽しかったよ。逆に」
「なにが逆なんだよ」
「オレはイチゴと一緒なら、どこへ行っても楽しいよ。きっと今日のことも良い想い出になるよ」
「フフゥン、ならいいけど。そろそろ行こうか」
ペットボトルを自転車の前カゴに入れ帰宅の途についた。
「ああァ、ゆっくり行こうぜ」
一気に夜の闇が横須賀の街を包み込んでいく。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
あまりの勢いに少し怖いくらいだ。
だがさすがに、こんな飛び回ってはいられない。
「はァはァ……」
すぐにショーリも息が上がり疲れたのか、歩き始めた。
「バカなの。少しはペース配分を考えなさいよ。
ショーリはいつでも遠足で、行きだけ妙にはしゃいで帰りはグッタリして無口になるタイプでしょ」
クラスには何人か、いるヤツだ。
「ヘッヘ、よく知ってるな……。そうなんだよ。いっつも行きはハイテンションで、楽しいんだけどな」
「スタートダッシュして、シーズン途中でバテバテになって夏場になると、泥沼の連敗するどっかの球団と同じよ」
「ヘッヘ……、まァそうなんだけどね」
「でも、ありがとう。ショーリ、きょうは私に付き合ってくれて……」
恥ずかしいからおんぶされたまま、彼の耳元へ囁いた。
「ええェ? ああァ、当たり前の事をしただけだよ」
ショーリも褒められたので、かなり照れているようだ。
「もう大丈夫だよ。下ろして。あとは自分で歩くから」
「いやいやァ、もう少しだけ背中にイチゴの胸の膨らみを感じていたいしィ」
いやらしくニヤニヤして笑いかけた。
「だァァァ! そりゃァ、それが狙いか。
感謝して損したァァ。早く下ろせェ……」
おんぶされたまま、ポカポカと殴りつけた。もちろん軽くだ。
「わかりました。わかりましたよ」
すぐさま浜辺へ下ろし、頭を抱えて退避した。
それでもかなりおんぶしてくれたので、駐輪場まではすぐそこだ。
夕陽に海が紅く染まっていく。
「わァ、夕陽なんて久しぶりィ」
いつ以来だろうか。こんな綺麗な夕陽を見たのは。
「フフゥン」ショーリは鼻で笑った。
「なによ。そんなに可笑しい?」
「別に、オレもそうだよ。こんなに綺麗な夕陽を見たのは、かなり昔だったような気がする」
「受験勉強で、いっぱいいっぱいだったからね」
なんとなく二人で見る夕焼けは感慨深い。
気づくと辺りは夕闇が迫っていた。
こんなに遅くなるとは思わなかった。
ショーリは、駐輪場の近くにある自動販売機でミネラルウォーターを買って、一本私に渡してきた。
「ハイ、イチゴ」
「ンううゥ……、でもこれェカロリーがあるンでしょ」
「そりゃァ、あるけど頼むよ。そんなに無理なダイエットをしないで。お願いだよ。
水分補給しないと、こんなトコで熱中症で倒れられたらオバさんに何て謝れば良いか」
泣きそうな顔で頼んできた。
「お母さんには、別に私が悪いんだから……」
だが、ここまで頼まれれば仕方がない。
ミネラルウォーターを口にした。
ほのかに甘い甘味料の味がする。
「どうする? 自転車は、ここに置いておいてタクシーかバスで帰る。明日取りに来れば良いじゃん」
ショーリは、私の身体を心配して進言してくれた。
「平気だよ。それより今日は詰まらない事につき合わせちゃって、ありがとう」
「ええェ……、なにが?」
「せっかく走水まで来たのに……、私が無茶して沖まで泳いで、溺れたのを助けてくれただけじゃん。
楽しく海水浴もできなかったし……」
「いやいや、楽しかったよ。逆に」
「なにが逆なんだよ」
「オレはイチゴと一緒なら、どこへ行っても楽しいよ。きっと今日のことも良い想い出になるよ」
「フフゥン、ならいいけど。そろそろ行こうか」
ペットボトルを自転車の前カゴに入れ帰宅の途についた。
「ああァ、ゆっくり行こうぜ」
一気に夜の闇が横須賀の街を包み込んでいく。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
熱い風の果てへ
朝陽ゆりね
ライト文芸
沙良は母が遺した絵を求めてエジプトにやってきた。
カルナック神殿で一服中に池に落ちてしまう。
必死で泳いで這い上がるが、なんだか周囲の様子がおかしい。
そこで出会った青年は自らの名をラムセスと名乗る。
まさか――
そのまさかは的中する。
ここは第18王朝末期の古代エジプトだった。
※本作はすでに販売終了した作品を改稿したものです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる