19 / 118
横須賀ネイビーパーカ✨💕✨✨
横須賀ネイビーパーカ✨💕
しおりを挟む
『なによ。イチゴ! やっぱ誰か、そばにいるんだろォ』
またサンタは疑ってきた。
「いやァ、ちょっとフロンターレが……」
私も誤魔化すのに四苦八苦だ。
『えッ、フロンターレッて、なんだよ?』
まったくサンタには意味不明だろう。
「あッああァ、そうね。コンペの案件でしょ……」
なんとか話題を逸らさねば。
『そう、あれから何か良いアイデア出たァ?』
「出るわけないじゃん。そんな簡単にアイデアなんてえェ……」
こっちは、それどころではない。
だがショーリは、横からいらない事を囁きかけてきた。
「ねえェ……、あれは、『横須賀ネイビーパーカ』?」
「ぬうぅ、『横須賀ネイビーパーカ』なんてダメだってえェ……」
バカなんじゃないのか。コイツは。
つい口に出して本音を言ってしまった。
『ンうゥ……、横須賀ネイビーパーカねえェ……』
スマホの向こうでサンタが繰り返した。
「いや、違うんだッて。ウチのアイデアじゃないから……。そんなダッセェ、アイデア」
まるで私が考えたアイデアだと思われている。
必死に取り繕った。勘弁してくれ。
ウチの発案じゃないから……。
『ハッハハ……、なに、それェ……』
意外にもサンタは爆笑だ。
「ちょっと聞いてる。ねえェ、ウチが考えたアイデアじゃないから」
急いで言い訳をしたが、サンタはまったく聞いていない。
『超ウケるんだけどォ……』
「いやいや、ウケるッて、聞いてよ。私のアイデアじゃないんだッてェ……」
言い出したのはショーリなんだから。
『じゃァ今からLINEで送っておくねえェ……』
「おいおい、ちょっと待ったァァァ」
「フフゥン、ほらなァ……、受けるだろォ」
ショーリは微笑んで、したり顔だ。
「いやいや、ちょっとダメだよ。サンタ!
送信しちゃァァ!」
なんとしても阻止しなければ。
『え、なんでよ。もうみんなに送信しちゃったけど』
「ええェ……、マジか」
『ゴメン。イチゴ、あとでまた連絡するから』
「おいおい待ってくれえェ……。サンタァ」
こっちは必死に叫ぶが、向こうは明るく笑って勝手に通話を切ろうとした。
『じゃねえェ……』
「おおォォい! もしもしー、サンタ!」
いくら呼びかけても返事はない。
「ヘッヘヘッ、ほらな。『ネイビーパーカ』!
やっぱ受けるじゃん」
ショーリは自慢げに微笑んだ。
「うるさいなァ。やっべー、あんなダッサダッサな親父ギャグをウチが発案したなんて思われたら……」
速攻でLINEを確認した。
けれども、その間にもショーリは馴れ馴れしく私に肩を組んできた。
「良いじゃん。オレがパーカのデザイン、手伝ってやるから」
「バァカ。馴れ馴れしくするな」
彼の手を振り払った。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
またサンタは疑ってきた。
「いやァ、ちょっとフロンターレが……」
私も誤魔化すのに四苦八苦だ。
『えッ、フロンターレッて、なんだよ?』
まったくサンタには意味不明だろう。
「あッああァ、そうね。コンペの案件でしょ……」
なんとか話題を逸らさねば。
『そう、あれから何か良いアイデア出たァ?』
「出るわけないじゃん。そんな簡単にアイデアなんてえェ……」
こっちは、それどころではない。
だがショーリは、横からいらない事を囁きかけてきた。
「ねえェ……、あれは、『横須賀ネイビーパーカ』?」
「ぬうぅ、『横須賀ネイビーパーカ』なんてダメだってえェ……」
バカなんじゃないのか。コイツは。
つい口に出して本音を言ってしまった。
『ンうゥ……、横須賀ネイビーパーカねえェ……』
スマホの向こうでサンタが繰り返した。
「いや、違うんだッて。ウチのアイデアじゃないから……。そんなダッセェ、アイデア」
まるで私が考えたアイデアだと思われている。
必死に取り繕った。勘弁してくれ。
ウチの発案じゃないから……。
『ハッハハ……、なに、それェ……』
意外にもサンタは爆笑だ。
「ちょっと聞いてる。ねえェ、ウチが考えたアイデアじゃないから」
急いで言い訳をしたが、サンタはまったく聞いていない。
『超ウケるんだけどォ……』
「いやいや、ウケるッて、聞いてよ。私のアイデアじゃないんだッてェ……」
言い出したのはショーリなんだから。
『じゃァ今からLINEで送っておくねえェ……』
「おいおい、ちょっと待ったァァァ」
「フフゥン、ほらなァ……、受けるだろォ」
ショーリは微笑んで、したり顔だ。
「いやいや、ちょっとダメだよ。サンタ!
送信しちゃァァ!」
なんとしても阻止しなければ。
『え、なんでよ。もうみんなに送信しちゃったけど』
「ええェ……、マジか」
『ゴメン。イチゴ、あとでまた連絡するから』
「おいおい待ってくれえェ……。サンタァ」
こっちは必死に叫ぶが、向こうは明るく笑って勝手に通話を切ろうとした。
『じゃねえェ……』
「おおォォい! もしもしー、サンタ!」
いくら呼びかけても返事はない。
「ヘッヘヘッ、ほらな。『ネイビーパーカ』!
やっぱ受けるじゃん」
ショーリは自慢げに微笑んだ。
「うるさいなァ。やっべー、あんなダッサダッサな親父ギャグをウチが発案したなんて思われたら……」
速攻でLINEを確認した。
けれども、その間にもショーリは馴れ馴れしく私に肩を組んできた。
「良いじゃん。オレがパーカのデザイン、手伝ってやるから」
「バァカ。馴れ馴れしくするな」
彼の手を振り払った。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる