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シンデレラの絵本

第106話 上原優美✨

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 ムトベエリカこと、沢向エリカは未だに供述を拒み黙秘を貫いているらしい。


 まずは、実の父親、魔飼オサムの硫化水素による自殺の検証もままならない。


 遺体は、すでに火葬され、今からでは他殺かどうかを証明するのは困難だ。


 また雨の歩道橋での転落死についても、事故死として処理されており、こちらも証拠が不十分だ。


 しかしムトベエリカと沢向エリカの入れ代わりは間違いない事だろう。
  

 さらに、上原優美に関しての犯行は彼女が意識を取り戻したため解明された。





 ☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚





 今日は天気が良く日差しが眩しい。



 オレたちは彼女の搬送された病院の屋上で話を聴いた。

 上原優美の真っ青な髪が目に鮮やかだ。
 未だに彼女はリハビリ中だ。



「私が、どうしてエリカさんがわかったか、ですか……」
 車椅子に乗り、上原優美はオレを振り返った。


「えェ……、沢向エリカは、ムトベエリカさんに成り変わるため、何度も整形しています。
 元々、似たような顔立ちですが、何が決め手で」
 その彼女が、どうして沢向エリカだとわかったのか。
 ずっと不思議だった。



「そうですねェ…… 確かに雰囲気はエリカお姉さんそのモノなのですが」


「え、まさか雰囲気だけですか……」


「いいえ……、決め手は声です」
「ンゥ、声……」


「ハイ、街で偶然、カップルとすれ違ったんです。
 その彼女の声が、あの時のままでした」

「なるほど……、声ですか」
 そこまでは気づかなかった。



「ええ、ッで私は思わずエリカさんと彼氏を追いかけていったんです。
 かなり後をつけて行ったンですが……
 人混みに紛れて行方がわからず……
 手がかりは、ミュージシャンのような彼氏だけでした」


「なるほどね。それでビジュアル系ミュージシャンのユウキを探し出したのか」


「ハイ、【ル=シフェル】の追っかけになって、いずれエリカさんに会えると思い……」


「ッで、ユウキを通じてエリカに会うと、彼女はムトベエリカの名前で別人として生きていた」

「えェ、そうです……」




 ☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚


 

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