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秩父クリス✨💕

第8話 秩父クリス✨

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 取り敢えず、オレたちはユウキの部屋へ入り話しを続けた。


 ドアには、立ち入り禁止の黄色いテープが貼ってあった。



 すでに室内は鑑識が調べたあとだ。

 何か、重要な証拠や手掛かりになる物が残されているとは思えない。



「自殺じゃないッて言う根拠はあるの」
 まだクリスはオレたちに不審な眼差しを向けている。



「ン…… それは、確かに……」
 根拠と言われても確実なモノがあるワケではない。

「一応、『まだ29歳』だし。
 ユウキも30歳までは頑張るッて言ってたから」



「そうね。でも……、ビジュアル系ミュージシャンに取っては『もう29歳』なのかも」
 クリスの言葉がオレのハートにも突き刺さった。
 


「うゥン……」そう言われると反論できない。


 確かに一般人ならば30歳というのは、まだまだ若すぎるだろう。


 だが、オレたちのようなビジュアル系ミュージシャンにとっては、一年一年、メジャーデビューが遠ざかっていく。


 言い方は、少し乱暴だが女性アイドルと同じで賞味期限がある。



 もちろんインディーズでも売れない事はない。
 今ではSNSで拡散し大ヒットすることもマレではなくなった。


 だが、やはりメジャーデビューはひとつのステータスだ。



 メジャーデビューし、曲をヒットさせ武道館、東京ドームでライブをするというのがオレたち共通の【夢のサクセス ストーリー】だ。


 しかし、そういつまでも夢を語り合ってはいられない。 

 
 時間は待ってはくれないのだ。



 こうしている間にもメジャーデビューへの夢が徐々に遠退とおのいていくのが実感出来る。

 刻々とタイムリミットが迫っている感じだ。



 多くの仲間たちが、ミュージシャンの夢が破れ、こころざなかばでステージから去っていった。

 顔見知りの同期や先輩も、スッカリ少なくなっていく。

 

「ねェ……、ここにある洗剤を使ったのかな」
 ヒデはキッチンを見て呟いた。


「え、混ぜるな。危険か……」そう言えば……。
 いつもユウキは何の洗剤を使っていたのだろう。



「証拠になるようなモノは鑑識が回収したでしょ」


「うン……」そうだろう。
 いくら探しても証拠になるようなモノは見つからない。


 





 ☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚






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