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ダイイングメッセージは『81』

九々森桜花

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「違うわよ。あの写真は!」
 キララは懸命に言い訳を考えていた。


「ふぅん、あの写真はフェイクだ」
 見かねた九十九《つくも》流星が助け舟を出した。


「え、フェイクなんですか。あの写真?」
 ハジメも聞き返した。


「そうよ。決まってるでしょ。バカじゃあるまいし。誰が信じるのよ」
 キララは吐き捨てた。


「でも…」
 八神ハジメは写真を信じていた。



「あれはディープフェイクだよ」
 九十九がバラした。


「ディープフェイク。何者かによる偽造なんですか」
 すっかりハジメは騙されていたようだ。


 偽造だとも知らず信じていた。それほど精巧な出来映えだ。


「どうせ、あんたの仕業だろう?」
 元売れっ子キャバ嬢のキララはカズヤを睨んだ。


「フフゥン、なかなか良い出来映えだろう」
 やはりカズヤによる偽造だったようだ。


「あんなラブホを出たところで派手にイチャイチャしてるワケねえェだろう」
 キララは吐き捨てた。


「ううゥ……、そうですね」
 しかしハジメはさっきまで信じかけていた。


「あんたは、パパにあの写真を見せて遺産相続を有利にしようとたくらんでいたんだろう」
 またキララはカズヤを睨んだ。


「ケッケケ、まァそうだなァ。ちょっとしたイタズラだよ」
 やはりカズヤが偽造したものだと白状し苦笑した。


「ふざけるな。イタズラで済むか」
 キララは怒鳴った。


「フフゥン、だがオヤジにあの写真を見せる前に殺されたからな。あんたたちに」
 カズヤはキララと九十九のせいにした。


「ぬゥ、私じゃないって言ってんだろ!」
 キララは憎しみの眼差しでカズヤを怒鳴った。


「ううゥ……」
 まさに一触即発の状態だ。





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