新十秒探偵『ナポレオン＆トモロー』 ナポレオンの辞書に不可能と解けない謎はない！

ダイイングメッセージは『８１』

ナポレオン

「……」
　家政婦の八田一子は黙ってうつむいたままだ。


「じゃァ決まりだ。オヤジを殺したのは家政婦の八田一子なんだろう。どうせ遺産の分け前が少ないとかで揉めて、グサッてところかァ？」
　カズヤは刃物で刺すような振りをして揶揄した。



「そこまで言うことはないでしょ。シャレになりませんよ」
　すぐに八神ハジメがカズヤをたしなめた。


「ああァン、なんだとォ！」
　カズヤはハジメを睨んだ。



「わ、私は旦那様を殺してません」
　家政婦も必死にアピールした。

「はァ、そいつはどうかなァ」
　またカズヤは茶化した。


「確かに私は旦那様に会いたくて、ここで家政婦になりましたが、旦那様は母のことを知ると謝って私のことを認知すると約束してくれました」
　家政婦の八田一子も真相を語った。


「ふぅん、認知ねえェ。マジかよ」
　愛人のキララが苦笑した。



「じゃァ、誰なんだ。真犯人は。やっぱり八神ハジメかァ？」
　またヤンキーのカズヤは犯人探しを始めた。



「ボクだって違いますよ。真犯人じゃありません」



「フフゥン、たいてい真犯人はオレは犯人じゃないって言うもんだぜ」
　九十九つくも流星が茶化すように微笑んだ。



「言えたわ。キャッキャッキャッ」
　売れっ子キャバ嬢のキララは手を叩いて笑った。


「そんなァ、犯人じゃなくたって誰でも『真犯人じゃない』って否定するしかないでしょ」


「おいおい、必死だなァ。坊や」
　カズヤがハジメを揶揄した。

「そりゃァそうですよ」
　ハジメとしても疑惑の払拭に懸命だ。


「お前は、母親の手術費用を借りようと必死だったんだろう。ところがオヤジに無下に断られ、カッとして刃物で刺したんじゃないのか？」
　九十九つくもはハジメを犯人に仕立てようとした。



「そ、そんなことしませんよ。そういう九十九さんだって、キララさんとの関係があの人にバレたらヤバいんでしょ！」


「あ、ああァン、なんだとォ！」
　まさに一触即発の状態だ。