新十秒探偵『ナポレオン＆トモロー』 ナポレオンの辞書に不可能と解けない謎はない！

ダイイングメッセージは『８１』

ナポレオン

　リビングに美人弁護士の神堂クリスとトモローが姿を現わした。


　突然の闖入者に一同はざわめいた。


「みなさん、ごきげんよう。私は弁護士のクリスです」
　まるで女優のように華麗な装いだ。


「ボクは八神ハジメさんの友人でトモローと申します。それから」
　トモローがスマホの画面を提示した。


『はじめまして。天才探偵のナポレオンです。この世のすべての謎はこのナポレオンに解かれたがっています』
　


「おいおい、なんだ。暇つぶしの余興か。学芸会のコントでもやるつもりか」
　ヤンキーのカズヤが揶揄した。

『そちらにいる怖モテの鰐口警部補とはいくつかの事件でご一緒してますよね』


「チィッ、まァ子供にしては鋭い洞察力があるけどなァ」
　鰐口警部補も少しふて腐れ気味だ。


　子供のナポレオンに主導権を握られるのがしゃくに触るのだろう。



『資産家金倉金造氏殺害の真犯人はすでにわかっています』



「なんだとォ？」
「ウソをつけ。来たばかりでどうして真犯人がわかると言うんだ？」
　みんな口々にクレームをつけた。


『あまりマナーは良くありませんが、話しは先ほどからハジメ君のスマホから聞いていました』



「なにィ？」一斉に全員の視線が八神ハジメに集まった。
　まるでスパイ扱いだ。


「ううゥ……」
　八神ハジメはうつむいてうめき声を上げた。