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解決編

解決編

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 こうして事件はあっという間に解決した。

 さすが十秒探偵ナポレオンだ。



「いやァ、クリス。ありがとう」
 すぐさまジョーは満面の笑みを浮かべ、両腕を大きく広げて美人弁護士に抱きつこうとした。


「もォ、わかったから。お礼を言うなら、私じゃなくナポレオンに言いなさい!」
 けれどもクリスはカウンター気味に腕を伸ばし、のど輪のようにジョーの顔を押しのけた。
 

「ううゥ……」ジョーは苦しそうにもがいた。


「おいおい」ボクも白い目で彼を見つめた。

 なんとも浅ましい男だ。



「フフゥン、サンキュ。青い髪の天才探偵さん」
 ジョーはわざとらしく深々とナポレオンに頭を下げた。

 あまり丁寧だと少しバカにしているように感じた。



『別にたいした事はないさァ』
 ナポレオンはクールに対応した。



「いやァ、はじめはどうなるかと思ったぜ。特に、『カァラス♪』って歌い始めた時は。やっぱ子供じゃァヤバいかなって」
 ジョーもホッと安堵した表情だ。


 あのままなら間違いなく逮捕され最悪、傷害罪で実刑も免れない状況だった。



『そう、犯行現場に来て、ようやくボクも謎が解けたよ』



「さすが十秒探偵『ナポレオン』だね」
 ボクも青い髪の美少年を絶賛した。


『フフゥン、十秒探偵ねえェ』
 ナポレオンも照れたように笑ってみせた。
 
 やはり笑った顔は年相応に幼く感じる。
 小学生の笑顔だ。
 


 セミの声が耳を煩わせていった。

 見上げると日差しが眩しい。



 これから夏本番だ。





 
 















 
 
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