新十秒探偵『ナポレオン＆トモロー』 ナポレオンの辞書に不可能と解けない謎はない！

容疑者ジョー

クリス

『やァごきげんよう。鰐口警部補！』
　ナポレオンも笑顔で挨拶をした。



「ぬゥ、またお前…、いや、おぼっちゃま探偵かァ？」
　さすがに子供相手なので鰐口警部補も野蛮な言葉を控えたようだ。



『ええェ、鰐口警部補ワニさんと呼んで構わないかなァ？』




「ふぅん、なんとでも呼べよ」




『いえいえ、名前も重要な個人情報ですからね。当然だけど警察関係者は反社会的勢力ハンシャに怨まれる存在でしょ。できるだけ個人情報は隠した方が無難ですよ！』



「フフゥン、そいつはありがたいねェ」



『鰐口《ワニ》さんが狙われる分には別に構わないけど……』


「いやいや、構いますよ」ボクはヒヤヒヤだ。
　まったく子供のクセに挑発的な発言ばかりだ。


『下手に恨まれると家族に迷惑が掛かるからねェ』


「そいつはどうも」


『だってこのまま、ジョーを捕まえて冤罪事件を作ったら彼に怨まれるのは必至だからねえェ』
　ナポレオンもジョーをかばった。


「ぬゥ、冤罪事件だとォ？」
　


「そうだ。そいつの言う通りだよ。オレはどんなに金に困ったってバァさんを殴ってバッグをパクるようなマネはしねえェよ」



「ううゥ……」