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容疑者ジョー

クリス

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「かんたんなはずだった。けれど思ったよりも山川さんの悲鳴が響いたんで、ヤバいと思ったお前は、自作自演をしたんだ」

「な、自作自演?」


「そうだ。たった今、悲鳴を聞きつけて駆けつけた振りをしたんだ。そして山川さんを介抱し、救急車を要請したんだよ」
 鰐口警部補は余裕の笑みを浮かべた。



「違う。オレはそんな事はしねえ。間違ってもバァさんを殴ってバッグを奪い盗ったりはしねえェよ」
 ジョーは口角泡を飛ばし反論した。



「じゃァ犯人は防犯カメラにも映らず、どうやって山川さんを殴ったって言うんだよ」



「そんなこと知るかよ。だけど殴ったのはオレじゃないんだ。ウソじゃねえェんだよ!」


「お前はかつてイジメていたヤツを守るために過剰防衛で相手を殴りつけてケガをさせた前科があるよな」
 鰐口警部補は過去を引っ張り出した。


「そ、それは」


「ああァら、ずい分、昔のことをほじくり出すのね。警察も!」
 見かねて美人弁護士のクリスが割って入った。


「ぬうゥ、あんたは?」
 鰐口警部補は眉をひそめて睨んだ。



「よォクリス。待ってたぜ。オレの弁護を頼むよ」
 ジョーは両手を広げてウェルカムのポーズだ。



『やァごきげんよう。鰐口警部補!』
 ナポレオンもリモートで挨拶をした。













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