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――ダンジョンへ行こう――

インベントリにびっくりされた

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「お兄ちゃ、ユーチャこれがいいの! 焼肉肉肉弁当!」

 食べるだけで鼻血爆発! スタミナ満点ロボンタの肉を使用してます! とポップに書いてあるが……。ロボンタって何? ロボ系のモンスターしか想像できない……。

「はいはい」
「マーチャも」「ケンチャも」「キーチャも」
「わたしも……それにする」
 と言い出して全員が焼肉肉肉弁当になったのでした。
 まぁ、お弁当屋さんで売ってるんだからちゃんとした肉だろうな。未確認生物ロボンタでも。

「おいくらですか?」
「お代は必要ありませんよ! 街を救ってくださった勇者さまからお金を頂くなんて……!」」
「そうはいきませんよ。ちゃんと受け取ってください。報酬はギルドからちゃんともらってるから」
「よー兄ちゃん」

 バン、と頭を叩かれた。じゃなくて頭に手を置かれた。

「あ、昨日の。ここオジサンの店だったんですね」
 昨日飲み屋で騒いでいたオジサンの一人だ。肩幅は俺より広くてがっちりとしている。
 今の一撃で心なしかHPが減ったような気がする。

「ああ。弁当屋だ。うちの弁当は美味いから沢山持ってってくれ。金は要らねえよ。なんならウチの娘を貰って欲しいぐらいだ」
「え!?」
 女の子と俺の声がハモった。なぜかルビーまでも。

「貰えるわけないでしょ、まだ子供じゃありませんか」
「うちに娘は十五だぞ。とっくに成人を迎えている」
「ヨ、ヨカッタラ連レテ行ッテクダサイ戦闘ハデキマセンケドお弁当ナラタクサン」

 ああああ女の子が半分バグってる! 顔を真っ赤にしてカタコトになってしまった。

「駄目ですって。俺が居た国じゃ成人は十八からですし」

 なんか勇者ってだけですげーモテるようになったなぁ。あれか? 普通のオッサンでも「職業はパイロットです」と言ったら見る目が変わるような現象か?

 俺の価値が底上げされてる気がする。勇者じゃないのに。

「全くもう……お父さんがそんなこと言っちゃダメですよ。娘さんの気持ちも考えてください」
 などと愚痴りながらお弁当6個と飲み物をインベントリにしまった。

「――!?」
「!!??」
 オジサンと娘さんとルビーがびっくりしてる。
「ど、どうしたんですか?」
 俺までびっくりしたぞ。びっくりされたことにびっくりだ。
「弁当が消えたぞ!? え、嘘だろ!?」
 テーブルの上をぱしぱし叩きながら言う。

「あれ? インベントリって一般的な魔法じゃ無いんですか?」

「インベントリ!? そんなの使えるの勇者サマぐらいだ――ってあんた勇者だったな。そりゃ使えるはずだ」
「は、初めて見ました……」

 そうか。インベントリはチビ達全員持ってるから一般的なものだと思ってた……。違うよな。勇者パーティーだし。

 ちなみに、インベントリの数は俺は10個。ユーチャ達は多すぎていくつあるか数える気にもなれなかった。十分ぐらいスクロールし続けたけどインベントリが終わらなくて断念した。

「あ、ありがとうございました……! また来てくださいね!」
「絶対に来いよ!」
「はい、じゃあ行ってきますー」
「バイバイーの」
 子供たちが手を振る。

「美味しそうな弁当が買えてよかったなー」
「なの! 今からお昼がたのちみの!」
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