115 / 126
115話 意外な展開
しおりを挟む
私が剣を下ろすと、魔族は話し出した。
「自己紹介をしよう。我の名はベルフェゴール。魔族の7侯爵の一人だ」
「それで何の話だ?」
「君達の目的が知りたい。私達魔族を滅ぼしに来たのか?」
「そういう訳ではない。この迷宮の探索が目的だ」
「ならば迷宮はここで終わりだ。我は君達とこれ以上戦うつもりはない。存分に探索するが良い」
「そう言われるとな……」
「ならば秘宝を授けよう。『聖杯』という。この『聖杯』に葡萄酒を注いで飲めばどんな傷も病もたちどころに治る」
「そんな、私の存在意義が!」
アメリアは叫んだ。
「そうか……ならばもっと別の物を……そうだな『ギュゲスの指輪』あたりで……」
「その聖杯は何回でも使えるのか?」
「一度使うと聖杯の輝きは失われ、ただの器になる。それから一年程待てば、また輝きは取り戻されて聖杯として使えるようになる」
「一年に一度しか使えないのか……」
「これは凄いお宝ですよ。ぜひ受け取りましょう」
アメリアが急に元気になってそう言った。
「よし、聖杯にしよう」
「では聖杯を授けよう。受け取るがいい」
私は金色に光る聖杯を受け取った。
「あと、我の頼みを聞いてもらえないか?」
「頼み事によるな」
「ふむ、実は、我は人間の世界を見てみたい。連れて行ってくれないか?」
「そんな格好でか?」
ベルフェゴールの姿はいかにも魔族と言った風貌で、とても連れて行けるものではない」
「それなら心配は無用だ」
魔族は何かを唱えると、人の姿に変身した。貴族的な美青年である。
「驚いた……」
「ふふん、魔族はこのように擬態できるのだ。これなら大丈夫だろう」
「しかし、魔族は信用できないな。人間を滅ぼそうとしているのだろう?」
「いや、その心配はない。魔族は北の果てで平和に暮らしている。人間と違って食べる必要がないからな。特に人間から攻めてこなければ、こちらからは攻めたりはしない」
「この迷宮にいるのはなぜだ?」
「ここは花を集めるための基地なのだ。この迷宮から擬態して外に出て、花を集めるために存在する」
「何のために花を集める?」
「魔王様は花を愛でるお優しい方なのだ」
「なるほど。みんなはどうする?」
「まあ、嘘は行ってないような気がするわ。それに裏切ってもレオンとヴィンセントなら倒せそうだし」
エマが言った。
「う~む。我は魔族の中でも3本の指に入るぐらいの者なのだが……悔しいものだ」
「まあ、いいんじゃない。その格好なら大丈夫そうだし」
「では連れて行ってもらえるのだな。嬉しいぞ。お返しにいつか魔族の国に招待しよう」
「それは勘弁」
「なぜだ。ぜひ君達には魔王様にあってもらいたいのだが」
「でもここから北へは人間では寒くて無理よ」
「いや、魔導飛行機があるから滑走路さえあれば可能だぞ」
「その滑走路をどうすんのよ」
「『滑走路』という物を見せてもらえれば魔族の国に作らせることも可能だぞ」
「どうやって」
「部下を使って国に戻らせる」
「なるほど」
すると1匹のネズミがベルフェゴールの懐に入った。
「これは君達が上の階で戦っていた魔族が擬態したものだ。こいつに覚えさせて魔族の国に『滑走路』を作らせよう」
「わかったわ。あなたを連れていくわ。それでいい?」
「感謝する」
「そういやベルフェゴールなんて呼びにくいわね。ベルって呼んでいいかしら?」
「何と、魔族の7侯爵の一人を……まあ、いいだろう」
「よろしくね、ベル」
「ところでここに来るには、かなり強力な魔物を配置していたが、それらはどうしたんだ」
「え?楽勝だったわよ」
「そうか……ところで人間の中で君達はどれくらい強いんだ?」
「まあ、最強でしょうね。レオンなんて剣聖なのよ」
「……なるほど、安心した。君達のような強者がゴロゴロいたら魔族は安心して眠れないからな」
こうしてベルが仲間になった。
ベルを連れて迷宮を上がっていく。すると魔導通信具が鳴った。
「エマ、大変よ。シズ達が地下4階で苦戦してるわ。相手はハイリッチよ」
「わかったわ。すぐに向かうわ」
私達は大急ぎで地下4階に向かった。
地下4階では魔術の音が響いていたのでその音の方向へ向かう。
シズ達がハイリッチに対して防御魔法で守りを固めていた。
ダリルがおもむろに魔銃を取り出すと、魔弾を装填し、空間に発射した。
すると姿を表したハイリッチがドサリと倒れた。
「凄いわね、ダリル。助かったわ」
シズ達はダリルに感謝した。
「それよりも、どうしてあなた達、地下4階にいるの?」
「ごめんなさい。地下3階がうまく行ったからもう少しいけると判断したの」
「まったく、気をつけなさいよ」
「ところでこの人誰?」
「ベルよ。詳しいことは迷宮を出てから話すわ」
そして私達はシズ達と合流して地上に向かった。
地上に出るとマリアンナとレッド兄さん達が出迎えてくれた。
「何だか知らない奴がいるな」
私はみんなにベルのことを話した。
「何だか信用できない気もするけど、レオンがそう言うなら信じるわ」
マリアンナはベルのことを容認してくれたようだ。
「それにしてもかなり準備してきたのに案外あっさりと踏破できたわね」
「準備するに越したことはないさ」
そして私達は片付けをして沈黙の谷を後にした。
「自己紹介をしよう。我の名はベルフェゴール。魔族の7侯爵の一人だ」
「それで何の話だ?」
「君達の目的が知りたい。私達魔族を滅ぼしに来たのか?」
「そういう訳ではない。この迷宮の探索が目的だ」
「ならば迷宮はここで終わりだ。我は君達とこれ以上戦うつもりはない。存分に探索するが良い」
「そう言われるとな……」
「ならば秘宝を授けよう。『聖杯』という。この『聖杯』に葡萄酒を注いで飲めばどんな傷も病もたちどころに治る」
「そんな、私の存在意義が!」
アメリアは叫んだ。
「そうか……ならばもっと別の物を……そうだな『ギュゲスの指輪』あたりで……」
「その聖杯は何回でも使えるのか?」
「一度使うと聖杯の輝きは失われ、ただの器になる。それから一年程待てば、また輝きは取り戻されて聖杯として使えるようになる」
「一年に一度しか使えないのか……」
「これは凄いお宝ですよ。ぜひ受け取りましょう」
アメリアが急に元気になってそう言った。
「よし、聖杯にしよう」
「では聖杯を授けよう。受け取るがいい」
私は金色に光る聖杯を受け取った。
「あと、我の頼みを聞いてもらえないか?」
「頼み事によるな」
「ふむ、実は、我は人間の世界を見てみたい。連れて行ってくれないか?」
「そんな格好でか?」
ベルフェゴールの姿はいかにも魔族と言った風貌で、とても連れて行けるものではない」
「それなら心配は無用だ」
魔族は何かを唱えると、人の姿に変身した。貴族的な美青年である。
「驚いた……」
「ふふん、魔族はこのように擬態できるのだ。これなら大丈夫だろう」
「しかし、魔族は信用できないな。人間を滅ぼそうとしているのだろう?」
「いや、その心配はない。魔族は北の果てで平和に暮らしている。人間と違って食べる必要がないからな。特に人間から攻めてこなければ、こちらからは攻めたりはしない」
「この迷宮にいるのはなぜだ?」
「ここは花を集めるための基地なのだ。この迷宮から擬態して外に出て、花を集めるために存在する」
「何のために花を集める?」
「魔王様は花を愛でるお優しい方なのだ」
「なるほど。みんなはどうする?」
「まあ、嘘は行ってないような気がするわ。それに裏切ってもレオンとヴィンセントなら倒せそうだし」
エマが言った。
「う~む。我は魔族の中でも3本の指に入るぐらいの者なのだが……悔しいものだ」
「まあ、いいんじゃない。その格好なら大丈夫そうだし」
「では連れて行ってもらえるのだな。嬉しいぞ。お返しにいつか魔族の国に招待しよう」
「それは勘弁」
「なぜだ。ぜひ君達には魔王様にあってもらいたいのだが」
「でもここから北へは人間では寒くて無理よ」
「いや、魔導飛行機があるから滑走路さえあれば可能だぞ」
「その滑走路をどうすんのよ」
「『滑走路』という物を見せてもらえれば魔族の国に作らせることも可能だぞ」
「どうやって」
「部下を使って国に戻らせる」
「なるほど」
すると1匹のネズミがベルフェゴールの懐に入った。
「これは君達が上の階で戦っていた魔族が擬態したものだ。こいつに覚えさせて魔族の国に『滑走路』を作らせよう」
「わかったわ。あなたを連れていくわ。それでいい?」
「感謝する」
「そういやベルフェゴールなんて呼びにくいわね。ベルって呼んでいいかしら?」
「何と、魔族の7侯爵の一人を……まあ、いいだろう」
「よろしくね、ベル」
「ところでここに来るには、かなり強力な魔物を配置していたが、それらはどうしたんだ」
「え?楽勝だったわよ」
「そうか……ところで人間の中で君達はどれくらい強いんだ?」
「まあ、最強でしょうね。レオンなんて剣聖なのよ」
「……なるほど、安心した。君達のような強者がゴロゴロいたら魔族は安心して眠れないからな」
こうしてベルが仲間になった。
ベルを連れて迷宮を上がっていく。すると魔導通信具が鳴った。
「エマ、大変よ。シズ達が地下4階で苦戦してるわ。相手はハイリッチよ」
「わかったわ。すぐに向かうわ」
私達は大急ぎで地下4階に向かった。
地下4階では魔術の音が響いていたのでその音の方向へ向かう。
シズ達がハイリッチに対して防御魔法で守りを固めていた。
ダリルがおもむろに魔銃を取り出すと、魔弾を装填し、空間に発射した。
すると姿を表したハイリッチがドサリと倒れた。
「凄いわね、ダリル。助かったわ」
シズ達はダリルに感謝した。
「それよりも、どうしてあなた達、地下4階にいるの?」
「ごめんなさい。地下3階がうまく行ったからもう少しいけると判断したの」
「まったく、気をつけなさいよ」
「ところでこの人誰?」
「ベルよ。詳しいことは迷宮を出てから話すわ」
そして私達はシズ達と合流して地上に向かった。
地上に出るとマリアンナとレッド兄さん達が出迎えてくれた。
「何だか知らない奴がいるな」
私はみんなにベルのことを話した。
「何だか信用できない気もするけど、レオンがそう言うなら信じるわ」
マリアンナはベルのことを容認してくれたようだ。
「それにしてもかなり準備してきたのに案外あっさりと踏破できたわね」
「準備するに越したことはないさ」
そして私達は片付けをして沈黙の谷を後にした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
82
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる