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95話 デート(5)エマ編

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 今日はエマとのデートである。私は正直ほっとしていた。今までの奇天烈なデートとは違い、エマなら普通のデートができるであろう。しかし実はエマとデートするの初めてなんだよな。

 エマは目一杯のおめかしをしていた。正直私は少し嬉しい。

「エマ、今日はどこへ行くんだい」

「うーん、どうしようかな。案外冒険者の時と変わらない店に行くかもよ」

「服屋とかはどうだ?」

「そうねえ。今は着ていく機会もあるからね」

 以前の事を少し皮肉られた。

「この前に行った店に行こうか?」

「あの大きな店ね。いいわよ」

 服飾通りにやって来た。あの店はやはり、ひときわ大きく、そして豪華だった。

「さすがに目立つ店ね」

「実は別に最高級の服屋があるみたいだ」

「そっちもいいわね。後でいきましょ」

 そう言うとエマは私の手を引いて店に入る。

「いらっしゃいませ」

「ええ、こんにちわ」

「今日はどういった物をお探しですか?」

「特に探している物はないんだけど、主人が何でも買ってくれるっていうの」

 すると、店員の目が輝いた。

「奥様、これなどいかがでしょうか?最高級の生地を使って職人が丹念に織ったものでございます」

 店員は次から次へと服を私達の前に見せた。

「私達の造る服は最高の生地、最高のデザイン、そして最高の品質を保証いたします。そして、伝統的な貴族の服飾にとらわれないデザインをしています」

 だからこんなに大きな店を構える程になるんだな。前にマリアンナと行った店は極めて伝統的なデザインの服だった。

 エマは運ばれてくる服を次々に試着し、私に買わせるのであった。エマが選ぶ服は斬新できわどい露出の多いものだった。

「どうせたまにしか着ないのだから派手な方がいいでしょ」

 エマはそう言った。

 そしてエマの買い物が終わった。この店は買った物を屋敷まで運んでくれるので楽である。

 次は以前マリアンナと行った事がある最高級の服屋である。

 店に入ると店員がやって来た。

「いらっしゃいませ。エルドバーン様」

 どうやら私の事を覚えていたようである。

「今日はどう言った物を?」

「今日は私が買ってもらうの」

「なるほど、ではご案内いたしましょう」

 そして店員は次々と服を持って来た。

「この店はクラシカルなのね」

「左様でございます。まさに伝統的な貴族の服飾を踏襲したデザインでございます。王国内の多くの貴族から御支持を得ております」

 エマは少し考えた後、いくつかのドレスを購入した。

「こう言うのも、これからは必要なのかなって思ったの」

 この店も買った物は屋敷に運んでくれるので楽である。

「エマ、食事はどこに行く?」

「そうねえ、せっかくだから高いところに行きたいわ」

となるとあの店しかないな。

 店に着くと、

「やっぱり、この店になるわよね。でも一度ちゃんとした服装で来てみたかったのよ」

 そういえばこの店超高級店だけど、いつもは冒険者の格好で来ていたな。

 そして店に入った。

「いらっしゃいませ。レオン様にエマ様、今日はお二人で?」

「そうよ」

「ではご案内します」

 私達はいつもと人数が違うため、いつもと違う席に案内された。

 そしていつも頼むコース料理を注文した。

「この店に来るのは久しぶりよね」

「そういえばそうだな。なんかダリルが嫌がるんだよな」

「何でかしら?」

「さあ?ちょっと敷居が高い店だからじゃないか」

 料理が運ばれて来た。

「……ねえ、レオン。私と結婚して良かった?」

「もちろんだよ」

「……私の事好きだった?」

「ああ、冒険者の頃からな」

「そんな素振り見せなかったじゃない」

「そりゃ、みんなの前だしな。それにエマは年上だし」

「やっぱり年上だからか。まあ、もう関係ないけどね」

「もう夫婦だからな」

「既に妻が何人かいるけどね」

 エマが私をジト目で見た。

「それよりも私はアメリアの事が気がかりなの」

「ああ、ダリルといい感じになってるんだろ」

「そうなの」

「ダリルの人なりが心配か?」

「そうじゃないの。一緒に冒険しているから分かるわ。ダリルはいい人よ」

「じゃあ問題ないんじゃないか?」

「なんかあの2人はほっとくと、いつまでもあのまま進展しないような気がして」

「それは本人達の問題だろ」

「何とかしたいなあって。ねえ、レオン、協力しなさいよ」

「ええ?そうなのか?」

「そうよ」

 エマはなかなか難しい事を言う。

 そして私達は料理を食べ終わって屋敷に戻ることにした。

 屋敷に着くと

「レオン、今日は楽しかったわ。レオンとは長い付き合いだけどデートするのは初めてね」

「そういえばそうだな。エマ、俺も楽しかったよ」

「じゃあ、この後もよ・ろ・し・く」

 エマは妖艶な笑みを見せた。そういえば今日のエマの番だったな……
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