上 下
84 / 126

84話 結婚式(1)

しおりを挟む
 卒業式が終わるといよいよ結婚式が近づく。さすがに規模が大きいらしく周りが騒がしい。

 ヴィンセントも頻繁に王宮に行き来している。

 卒業後、寄宿舎を出たヴィンセントは一軒家を借りて住んでいる。さすがに私の家の屋敷は嫌だそうだ。屋敷ではシズとルティアが相変わらず暴れ回っている。

「待ちなさいルティア!」

「待たないよ~」

「二人とも大人しくしなさい!」

 とエマ。

 確かにヴィンセントが敬遠する訳である。

 そう言いながらも結婚式は近づいて来た。マリアンナとも頻繁に打ち合わせをするようになった。

 また、王宮に出向いて打ち合わせをする事も増えた。

 何だかんだで大忙しである。

 結婚式が近づくにつれて婚約者達もしおらしくなって来た。特にルティアは借りて来た猫のように大人しくなった。しかし、何やらただならぬ雰囲気を感じる。

 そしてエルドバーン辺境伯領から父ケイオスと母カーラとレッドとヨハンの兄達がやって来た。その他にも領内の親戚や騎士達が大挙してやって来た。

 広いはずの屋敷でも入りきれない程の人数になったため、近くの宿屋を使う事になった。

「我が領内でも結婚式に参列したい者が続出してな」

 と父ケイオス。

「まあ、私の息子の晴れ舞台ですものね」

 と母カーラ。

「まったく俺達よりも早く結婚するなんて。それも4人も」

 とレッド兄さん。
 
「まあ、それにしても羨ましい事だね」

 とヨハン兄さん。

 そして父、母、兄達、4人の婚約者で親睦をした。 

 また、ゴダード王国、ダライア帝国から参列者がやって来て近くの宿屋に宿泊しているとのことである。
 
 シズの両親とルティアの両親もやって来ているようで王宮に部屋を用意してもらった。

 また、エマの両親も式に参列する事になっている。エマの両親は王都に住んでいるため当日参列するようだ。

 王宮は今は結婚式の準備で大忙しだ。結婚式の準備の責任者はあのモリスだった。

 そして結婚式前日になりマリアンナと両親も屋敷にやって来て泊まることになった。屋敷は定員オーバー気味である。

 そして結婚式当日になった。

 私と婚約者4人が乗る馬車は王から支給された馬車で、異様に豪華な造りになっていた。

「まあ、なんて素敵な馬車なの。私、こんな馬車に乗るのが夢だったの」

 マリアンナは馬車をみてうっとりしている。

 そして全員で馬車に乗った私達の両親にも馬車が支給され、これもかなり豪華な馬車であった。

 そして王宮へと向かう。王宮に着くと衛兵がこちらに敬礼して来た。そのまま王宮へと入る。

 馬車を降りると各々に控室が用意されていた。この部屋も贅を凝らした贅沢な部屋である。

 その他の者は大きな部屋に集められた。これも贅沢な部屋である。

 参列者にはノエル、ミーア、アルバート、クライド、ヘンリー、それにアメリア、ダリル、トマス、峡谷の谷のメンバー他多数の者がいた。

 ヴィンセントは別の部屋にいるのだろう。結婚式で顔を合わせることになる。
しおりを挟む

処理中です...