77 / 126
77話 シズ
しおりを挟む
シズが闘技場の中に入る。
「お前も入るのだ。レオン・エルドバーン」
「木刀をもらえないか?」
「そんなものはない、腰の物で戦うが良い」
私はオリハルコンソードを抜いた。オリハルコンソードは眩い光を放っている。
「あれはオリハルコンの剣。なるほど、剣聖に推挙されるだけのことはある」
そして私は闘技場の中に入りシズと向かい合った。シズはどこか怯えているようだ。
「始め!」
開始の合図がなされた。先ほどの怯えは消え去ったのかシズが素早く正確に間合いに入って来た。
私は一歩遅れを取った形になる。
そしてシズは斬撃を繰り出して来た。正確で早い斬撃。まるで機械のようである。私は防戦一方になってしまった。
「ほら、また始まったわよ、例の癖が」
エマが呟いた。
シズを斬ってしまうのは難しくない。だがそれでは彼女を殺してしまう。なんとか寸止めにしたいところであるが、そうすると神速の剣が使えない。
私が防戦一方の展開が続く。シズの攻撃は激しく手加減はできそうにない。
「シズ、早くやっておしまい!」
皇帝の激が飛ぶ。
私はシズの剣に狙いをつけることにした。シズの剣を受ける時に神速の動きで剣をぶつける。
パキイと言う音とともにシズの剣が折れた。折れた剣は床に突き刺さっていた。そして私はシズの首筋に剣を当てた。
「悪いな、実戦ではこう言うこともある」
シズはへなへなとその場に座り込んでしまった。
皇帝は歯軋りをして悔しがっていた。
「なるほど、そういう手で来るのか。……しかし負けは負け。シズ、用意しなさい!」
シズは部屋から出て行った。
しばらくすると白装束を着たシズが現れた。顔は青白く手には短刀を持っていた。
私達の前に敷物が敷かれるとシズはそこに正座した。
「我が国の作法では決闘に敗れた者は切腹して果てることになっている」
そういうと皇帝はニイと笑った。
「だが一つだけ助かる方法がある、剣聖に敗れたのならその剣聖の妻になることで死を免れる。どうだ、剣聖、シズを妻に娶れば助かるぞ」
「そんな、滅茶苦茶だ。断る」
それを聞くとシズは絶望した顔になった。
「そうか、それではシズ始めい!」
シズは震える手で短刀に布を巻くと短刀を逆に持った。そのまま固くなって動かない。
「何をしている、シズ続けなさい!」
意を決したのかシズは短刀を腹に押し付け力を込めた。数センチ刃が腹に入り、シズは出血した。尚もシズは力を込めようとする。シズの胸の血が広がっていく。
「わかった、わかった、もうやめてくれ、シズを妻にするからやめてくれ」
そう言うとシズの顔が緩んだ。
「そうか、剣聖よシズを妻にもらってくれるか。それは喜ばしい」
私はシズに近づくと腹から短刀を抜いた。するとシズが私に抱きついて来た。すごい力で解こうにも解けない。シズの傷を治そうと近寄って来たアメリアがオロオロする。
「それで結婚はどうする。この宮殿で行うか?」
私がシズに抱きつかれている事にかまわず皇帝は言った。
「今、二人の婚約者がいる。その二人とは春になれば結婚する。その時に一緒に結婚しよう」
「まあ、それでも良い。とにかく結婚することだ」
「ちょっと、正妻は私よ!」
マリアンナが叫んだ。
「かまわん、正妻だろうと側室だろうと些細な事。では、シズは今日からお前についていかせよう」
ようやくシズが抱きつきを解いてくれた。
「あなたのような強い人は初めてです。これからも末長くよろしくお願いいたします」
「ああ、よろしくな」
「シズの方もお前のことが気に入ったようだな」
そしてアメリアがシズを治療する。傷は結構深いみたいだ。どうやら本当に切腹するつもりだったようだ。
「剣聖は名乗っても良いのですか?皇帝陛下」
「ああそういえば忘れていたな。私のシズに勝ったのだ、異論はない」
こうして私は剣聖になれたのだ。
「この国に来た時から嫌な予感がしたのよ」
「私もです」
「これ以上増やさないように気を付けなきゃ」
マリアンナとエマがヒソヒソ話をしている。
そして私達は改めて来賓として歓待を受けたのであった。
「お前も入るのだ。レオン・エルドバーン」
「木刀をもらえないか?」
「そんなものはない、腰の物で戦うが良い」
私はオリハルコンソードを抜いた。オリハルコンソードは眩い光を放っている。
「あれはオリハルコンの剣。なるほど、剣聖に推挙されるだけのことはある」
そして私は闘技場の中に入りシズと向かい合った。シズはどこか怯えているようだ。
「始め!」
開始の合図がなされた。先ほどの怯えは消え去ったのかシズが素早く正確に間合いに入って来た。
私は一歩遅れを取った形になる。
そしてシズは斬撃を繰り出して来た。正確で早い斬撃。まるで機械のようである。私は防戦一方になってしまった。
「ほら、また始まったわよ、例の癖が」
エマが呟いた。
シズを斬ってしまうのは難しくない。だがそれでは彼女を殺してしまう。なんとか寸止めにしたいところであるが、そうすると神速の剣が使えない。
私が防戦一方の展開が続く。シズの攻撃は激しく手加減はできそうにない。
「シズ、早くやっておしまい!」
皇帝の激が飛ぶ。
私はシズの剣に狙いをつけることにした。シズの剣を受ける時に神速の動きで剣をぶつける。
パキイと言う音とともにシズの剣が折れた。折れた剣は床に突き刺さっていた。そして私はシズの首筋に剣を当てた。
「悪いな、実戦ではこう言うこともある」
シズはへなへなとその場に座り込んでしまった。
皇帝は歯軋りをして悔しがっていた。
「なるほど、そういう手で来るのか。……しかし負けは負け。シズ、用意しなさい!」
シズは部屋から出て行った。
しばらくすると白装束を着たシズが現れた。顔は青白く手には短刀を持っていた。
私達の前に敷物が敷かれるとシズはそこに正座した。
「我が国の作法では決闘に敗れた者は切腹して果てることになっている」
そういうと皇帝はニイと笑った。
「だが一つだけ助かる方法がある、剣聖に敗れたのならその剣聖の妻になることで死を免れる。どうだ、剣聖、シズを妻に娶れば助かるぞ」
「そんな、滅茶苦茶だ。断る」
それを聞くとシズは絶望した顔になった。
「そうか、それではシズ始めい!」
シズは震える手で短刀に布を巻くと短刀を逆に持った。そのまま固くなって動かない。
「何をしている、シズ続けなさい!」
意を決したのかシズは短刀を腹に押し付け力を込めた。数センチ刃が腹に入り、シズは出血した。尚もシズは力を込めようとする。シズの胸の血が広がっていく。
「わかった、わかった、もうやめてくれ、シズを妻にするからやめてくれ」
そう言うとシズの顔が緩んだ。
「そうか、剣聖よシズを妻にもらってくれるか。それは喜ばしい」
私はシズに近づくと腹から短刀を抜いた。するとシズが私に抱きついて来た。すごい力で解こうにも解けない。シズの傷を治そうと近寄って来たアメリアがオロオロする。
「それで結婚はどうする。この宮殿で行うか?」
私がシズに抱きつかれている事にかまわず皇帝は言った。
「今、二人の婚約者がいる。その二人とは春になれば結婚する。その時に一緒に結婚しよう」
「まあ、それでも良い。とにかく結婚することだ」
「ちょっと、正妻は私よ!」
マリアンナが叫んだ。
「かまわん、正妻だろうと側室だろうと些細な事。では、シズは今日からお前についていかせよう」
ようやくシズが抱きつきを解いてくれた。
「あなたのような強い人は初めてです。これからも末長くよろしくお願いいたします」
「ああ、よろしくな」
「シズの方もお前のことが気に入ったようだな」
そしてアメリアがシズを治療する。傷は結構深いみたいだ。どうやら本当に切腹するつもりだったようだ。
「剣聖は名乗っても良いのですか?皇帝陛下」
「ああそういえば忘れていたな。私のシズに勝ったのだ、異論はない」
こうして私は剣聖になれたのだ。
「この国に来た時から嫌な予感がしたのよ」
「私もです」
「これ以上増やさないように気を付けなきゃ」
マリアンナとエマがヒソヒソ話をしている。
そして私達は改めて来賓として歓待を受けたのであった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
81
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる