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76話 ダライア帝国へ

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 それから雪の中を進んでいくことになる。何度か途中の村によって休息した。

 アンブロス帝国の帝都に近づいたが色々と面倒なことが起こりそうなので回避して進むことにした。

 アンブロス帝国の東端から南下した。南下していくと雪は減っていき、景色は平原に変わって行った。

 ついにゴダード帝国に入国した。

 入国して分かったのだがどうやらこの国は獣人の国らしい。皆、獣耳と尻尾を出している。獣人と言っても耳と尻尾以外は普通の人間と変わらない。ライオン風の人もいれば、犬、猫、うさぎなど多種多用の姿をしている。

 しかし、私達は馬車で通行しているため直接接することはなかったが休息が必要であるため、一番大きな宿屋へと向かった。大きな宿屋でないと馬車を預かってもらうことができないのだ。

 宿屋では犬の獣人が部屋を案内してくれた。どうやら獣人以外に対する差別はないようだ。もっとも外に出るとどうかは分からないが。

 宿屋を出ると一路ダライア帝国に向かった。

 長い旅路を経てようやくダライア帝国に着いた。私達はダライア帝国の帝都に向った。

 そしてダライア帝国の宮殿に向かう。ダライア帝国は世界最古の国であるらしく、小国ではあるが立派な宮殿を持っていた。

 宮殿の衛兵に王からの書状を見せると中に入れてくれた。

 護衛の峡谷の谷のメンバーとマリアンナの執事には宮殿に入ってすぐの控室で待ってもらうことにした。

 私達は謁見の間に向かった。

 謁見の間に入るとアークライト王国の謁見の間よりも遥かに大きく、少し古びているが厳かな雰囲気を醸し出していた。謁見の間には左右に護衛の騎士が並んでいた

 一番奥の簾に椅子に座った人影があった。おそらく皇帝なのだろう。

「客人よ、前へ」

 私達は簾の近くまで進み、そこでアークライト王国流の儀礼を行った。

「うむ、苦しゅうない。妾はダライア帝国皇帝42世カレン・ダライアである」

 簾から聞こえてくる皇帝の声は女性のものであった。

「驚くことはない。ダライア帝国では代々女が皇帝を務める」

 皇帝はそう言うと側に侍る女性を見た。

「この度はアークライト王国からレオン・エルドバーンの剣聖への推挙の申し出があった。だが、妾は納得はしておらぬ。妾の娘、そしてダライア帝国最強の騎士であるシズに勝てれば剣聖の称号を与えよう」

 そう言うと側に侍るシズが立ち上がった。シズ長い黒髪の驚くほどの美少女だ。

「負ければ分かっているだろうね、シズ」

「分かっています皇帝陛下」

 シズは深刻な表情で頷いた。

 そして謁見の間に闘技場が作られた。

 その間に簾が開けられた。皇帝は40代ぐらいであろうか、シズに似た黒髪の美貌の皇帝である。
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