転生した剣聖は最初から最強のようです

74話 出発

　それからは旅に必要な物を買い揃える。アンブロス帝国横断に向けて防寒着、防寒のブーツも必要だろう。その他食糧などを買い揃える。

　準備ができた。

　そして出発の朝がやって来た。冒険者ギルドで集合の後、王宮へと向かう。

　王宮には馬車が3台用意されていた。馬車の馬は寒さに強いアンブロス産であり、普通の馬より体が太く毛が長い。馬車は風を追う者が乗る馬車、峡谷の鷹が乗る馬車、そして荷物用の馬車である

　全員が馬車に乗り込もうとすると、なんと王が見送りに来ていた。

「王よ、お見送りありがとうございます」

「うむ。勇者の門出を見送りに来た。なんとしても剣聖になって帰ってこい」

「かしこまりました」

　そして全員が馬車に乗り込もうとした所、1台の馬車が近づいて来た。

　その馬車は急停車すると、中から人が慌てて降りて来た。

　なんと降りて来たのはマリアンナと執事だった。

「レオン、私も一緒に行くわ！エマと二人きりなんてさせないんだから！」

「お嬢様は一度言い出したら聞かないもので……」

「しょうがないな、みんなはどうだ？」

「ああ、構わないぞ。護衛は十分にいるしな」

　という事でマリアンナ一行も旅に参加する事になった。マリアンナの護衛は私とエマでする事になった。

　レッド兄さんの峡谷の鷹が私達の護衛を、私とエマがマリアンナ達の護衛をとよく分からない事になっていた。

　少しアクシデントがあったが予定通り出発する。馬車は先頭がヴィンセント達を載せた馬車、続いて私達が乗ったマリアンナの馬車、次に荷馬車、最後に峡谷の鷹が乗った馬車の順である。

　マリアンナの馬車にはマリアンナ、執事、私、エマが乗っている。

　馬車の中では私の左右にマリアンナとエマが座って何故か両側をガードしていた。

　向かい側にはマリアンナの執事が独りで座っている。少し居心地が悪そうだ。

　そして、まずは王国頭部に位置するエルドバーン辺境伯領を目指した。

　約2週間かかってエルドバーン辺境伯領に着いた。

　辺境伯領では私の屋敷で休息することになった。父、母と少しの間であったが歓談した。マリアンナとエマは話し込んでいた。

「父上はアンブロス帝国に行ったことがあるのですか？」

「行ったことはある。帝都まで行ったこともある。あの国は雪が多くてな……行くのは大変だ」

　父は帝都まで行ったことがあるようだ。

「その先のゴダード王国とダライア帝国については？」

「いや、行ったことはない。気をつけて行け、レオン」

　母とマリアンナとエマは話が終わったようで何やら3人とも口をニンマリさせていた。

「頑張りなさいね、レオン、色々と」

　母からの微妙な激励があった。

　そしてアンブロス帝国の国境へと向かう。国境の砦は魔物の襲来のために無残な姿にになっていた。

　国境の砦の代わりに辺境伯軍が駐留していた。軍は私達を見ると通してくれた。