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48話 婚約

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 授業が終わると、鍛錬場には向かわずにそのまま寄宿舎に戻った。寄宿舎に戻ると馬車が待機していた。貴族のパーティーに呼ばれた時のために買っておいた服に着替え、馬車に乗り込む。

 馬車は王都の中心部に向けて走り出した。

 屋敷に着くと使用人が出迎えてくれた。そのまま屋敷に入る。第二応接室に案内され、父上を待つ。

 しばらくすると父上がやって来た。

「レオン、なかなか似合ってるじゃないか。実はちゃんとした服を持っているか心配していたんだ」

 レオンはそう言った。

「騎士なら学校の制服でもよかったんだが、我々は貴族だからそうもいかん。おそらく相手も相当気合を入れてくるだろう」

 そしてお互い椅子に腰掛けると、ルアール側が来るまで騎士学校に行ってからのことを話した。父上は話の最中終始機嫌が良かった。

「辺境伯様、ルアール伯爵が参られました」

 使用人が呼びに来た。

「そうか、よしレオン行くぞ」

 そしてルアール伯爵一行を玄関で出迎えた。

 玄関には伯爵であるジスラン・ルアール、その娘であるマリアンナ・ルアール、そしてその護衛がいた。

「ようこそいらっしゃいました、私はエルドバーン家の当主ケイオス・エルドバーンです。こちらが私の息子のレオンです」

「これはこれは、私はルアール家の当主ジスラン・ルアールです。こちらは私の娘のマリアンナです。今回は私共の申し入れをお聞きいただきありがとうございます」

 父上はマリアンナの美貌に驚いた。

「これは美しいお嬢さんだ。これはレオンが気にいるのも無理はない」

「気に入っているのは私とマリアンナの方ですよ。レオン君は大した若者だ」

「我が息子ながらレオンは大したものです。まあ、子供の頃から凄かったのですが……」

「おお、幼少の頃から。その話はゆっくり聞きたいものですな」

 そして一同は応接室に向かって行った。

 今日のマリアンナの服装は凄く気合が入っていた。まるで舞踏会の主役である。

 応接室で婚約の話はあっという間に合意に至った。婚約の儀式として抱き合い互いに頬にキスをした。

「これであなたは私のものね」

 耳元でマリアンナはそう囁いた。

 そして正式な婚約発表は冬に行う事。結婚は騎士学校卒業後となった。マリアンナも同じ歳であり、貴族学校を同時期に卒業する。そして私とマリアンナの幼少の頃の話で盛り上がった。

「これで一安心です。私は常日頃辺境伯にお近づきになりたいと思っていました。しかし、なかなかその機会がありませんでした」

「私も中央に繋がりを持ちたいと思っていましたよ」

「結果として政略的なものになりましたが、私はマリアンナが望む形になって喜んでいます。とにかくあの日からずっとマリアンナがうるさくて」

「お父様!」

「それに私から見てもレオン君は間違いないと思いました。しかし、とんだ縁もあったものですな」

「まあ、普通は辺境伯家の子息が護衛はやりませんな」

 そう言うとケイオスは私を睨んだ。

「しかし騎士学校に入るだけでも大したもんだ。私の息子達は誰も受けもしませんよ。まったく羨ましい」

 その後4人で会食をして別れることとなった。

 別れ際にマリアンナが私の両手を握った。

「これから私達ずっと一緒よ」

 そう言って去っていった。

 実際に一緒になるのは正式に結婚してからになるのだが、それは精神的な意味を持つのであろうか。

 私は屋敷で一泊し、朝に寄宿舎に戻った。

 食堂で皆に会う。

「どうだった?」

「うん決まったよ」

「素っ気ないな、誓いの儀式はやったのか?」

「やったよ」

「そっかあ、羨ましいな。俺も誰かいないかな。レオン紹介してくれよ」

「ジン、もうそのくらいにしときなよ」

 ノエルが助け舟を出してくれた。
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