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43話 新入生
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教室に着くと、レイ・レイが入って来た。今年も彼が担任か……
「諸君、進級おめでとう。今日から諸君は2年生となる。学生生活も残すところ後2年になる。勉学にそして修練に励むよう、また、今日から新入生が入ってくる。彼らの模範となるよう励んでもらいたい」
そして授業が始まった。
午後の実技を終えて、いつもの鍛錬をするべく移動をしていると新入生達がやって来た。
「ねえねえ、アンタが学校最強のレオン・エルドバーンでしょ?僕たちにも剣を教えてくれないかな?」
どうやら私に絡んで来ているようだ。私は重心をすっと下げ、居合の構えをとった。ちょうど木刀を差している。一対多なら少々痛めつけても正当防衛になるだろう。
「いいだろう。覚悟を決めた奴からかかってこい」
すると数に威を借りた新入生達は怯み出した。
「来ないのならこっちから行くぞ」
大きく足を踏み出す素振りをした。
「うわああああああ」
新入生達は一目散に逃げ出した。が、一人だけ逃げない者がいた。
「お前は逃げないのか?」
「もちろん」
新入生は構えた。
「面白い」
居合の構えを取り直した。
「その構えは居合ですね」
「ああ、先輩から教わったんだ」
「そうですか、では行きます!」
新入生は振りかぶって間合いに入る。
しかし、次の瞬間には新入生の首筋に木刀が当てられていた。
「何と言う速さだ……さすが騎士学校最強……」
「中々筋はいい。あとは鍛錬だな」
そして私は去っていった。
「私の名はユリウス・フォルタン、いつかあなたに勝ってみせる」
背中越しに声が聞こえた。今年の新入生にも中々骨のあるやつがいいる。
しかし今の居合は中々いい動きだった。一人ほくそ笑む。
そして皆んなと合流する。
「なんだもう絡まれたのか、さすがレオンだな」
ヴィンセントが私の首に腕を回しながらそう言った。
「お前らの時はそう言うのなかったから俺ら寂しかったぞ」
『氷帝』アルバート・ブラックバーンが残念そうに言う。
「しかし、ユリウス・フォルタンか、なかなか面白そうな奴じゃないか」
「初日に学校最強にケンカ売るなんて根性がある」
みんなのユリウス評は上々である。
「新入生にもいるのかね、うちの4強みたいなのが」
「いたら面白いな」
そして本日の鍛錬に励んだ。今日はジンの動きが特に良い。
「レオンの教えてもらうのが妙にしっくりくるって言うかさ。何か今まで自分の体の動かし方ってのがよく分かってなかったのかもしれない」
やはり、デイマーの血流れているのだろう。
翌日も授業を終えると私はいつもの鍛錬場へと向かった。
~~
アルバート・ブラックバーンは学校の用事があって少し遅れて鍛錬場に向かった。アルバートは茂みの中から気配を感じた。
「出てこい。隠れていても気配で分かるぞ」
すると茂みの中から人影が出てきた。
「さすがは『氷帝』ですね」
「お前がユリウスとか言う新入生か?」
「そうです。ご存知でしたか?」
「私を狙っているのか?」
「そうです」
「ふん、レオンは無理でも俺なら倒せそうに思ったか?」
「レオン先輩には大きな隔たりを感じました。だが、選抜大会でレオン先輩に負けたあなたになら勝てそうだ」
「そう思うか?ならかかってこい」
そうしてアルバートは腰を沈め、居合の構えを取る。
「ほう、あなたも居合ですか?」
ユリウスはニヤリと笑う。
「レオンに居合を教えたのは俺だ」
「居合の対策はできていますよ」
「レオンの居合は一味違うぞ。伝えていない技もある」
「ならば行きます!」
ユリウスは振りかぶって一気に間合いに入ってくる。
アルバートは居合の構えから剣を一閃。
ユリウスはその一撃を躱した。
「躱しましたよ!」
そしてユリウスは更に間合いを詰めようとしたが、アルバートは既に剣を鞘に納め居合の構えに戻っていた。
「何だと!もう構えに戻っているだと!」
そしてアルバートは更に剣を一閃。
ユリウスは何とか剣で受け止めた。
さらにアルバートは剣を一閃。そして何度も何度も剣を一閃させ、ユリウスを切り刻んだ。
「うおおお!」
ユリウスはそう叫んで倒れ込んだ。
「これが私の居合術だ。レオンを倒すために日々磨き上げている。ユリウス君はちょうど良い練習相手になったよ」
「ぐう……またしても手も足も出ないのか」
「相手が悪かったな。まあ、あのメンバーだと誰でも相手が悪いがな」
そしてユリウスは立ち上がると走り去って行った。
~~
「なるほど、氷帝にもケンカを売るのか」
「見境なしだな。まるで狂犬だ」
「とはいえ、さすがにしばらくは大人しくするだろう」
「俺、襲われたら負けてしまうかも」
ジンは心配していた。
「今のジンだったら良い勝負するんじゃないか」
「そうだなジンの最近の伸びは目を見張るものがあるしな」
そうして本日も鍛錬に励むのであった。
今日はジンにレオン流の突きを伝授しようと思う。ジンならば神速の突きもものにできるのかもしれない。
突きの構えを教え、突かせてみる。なかなか良い突きではある。そのまましばらくやらせてみる。だんだんと突きが洗練されてきた。飲み込みがいいようだ。
そして向かい合って。お互いに構えてジンに突き出させる。私は上段から、下段から、あるいは突きを出す。このような組み稽古を続けた。初めは戸惑っていたジンも次第に対応してくるようになった。
「よし、ここまでにしよう。ジン、なかなかよかったぞ」
「はあ、はあ、はあ、レオン、俺を殺す気か?」
ジンは限界のようである。
それからアルバートに居合を教えてもらい、今日の鍛錬を終えることになった。
『天才』クライド・ダニング、『青騎士の後継者』ヘンリー・アルベールも見違えるように強くなった。もっとも私にはまだ届かないが。
ヴィンセントも日々熱心に鍛錬を行っている。彼もまたレオン・エルドバーンを打倒すべく秘策を練っているようだ。
「諸君、進級おめでとう。今日から諸君は2年生となる。学生生活も残すところ後2年になる。勉学にそして修練に励むよう、また、今日から新入生が入ってくる。彼らの模範となるよう励んでもらいたい」
そして授業が始まった。
午後の実技を終えて、いつもの鍛錬をするべく移動をしていると新入生達がやって来た。
「ねえねえ、アンタが学校最強のレオン・エルドバーンでしょ?僕たちにも剣を教えてくれないかな?」
どうやら私に絡んで来ているようだ。私は重心をすっと下げ、居合の構えをとった。ちょうど木刀を差している。一対多なら少々痛めつけても正当防衛になるだろう。
「いいだろう。覚悟を決めた奴からかかってこい」
すると数に威を借りた新入生達は怯み出した。
「来ないのならこっちから行くぞ」
大きく足を踏み出す素振りをした。
「うわああああああ」
新入生達は一目散に逃げ出した。が、一人だけ逃げない者がいた。
「お前は逃げないのか?」
「もちろん」
新入生は構えた。
「面白い」
居合の構えを取り直した。
「その構えは居合ですね」
「ああ、先輩から教わったんだ」
「そうですか、では行きます!」
新入生は振りかぶって間合いに入る。
しかし、次の瞬間には新入生の首筋に木刀が当てられていた。
「何と言う速さだ……さすが騎士学校最強……」
「中々筋はいい。あとは鍛錬だな」
そして私は去っていった。
「私の名はユリウス・フォルタン、いつかあなたに勝ってみせる」
背中越しに声が聞こえた。今年の新入生にも中々骨のあるやつがいいる。
しかし今の居合は中々いい動きだった。一人ほくそ笑む。
そして皆んなと合流する。
「なんだもう絡まれたのか、さすがレオンだな」
ヴィンセントが私の首に腕を回しながらそう言った。
「お前らの時はそう言うのなかったから俺ら寂しかったぞ」
『氷帝』アルバート・ブラックバーンが残念そうに言う。
「しかし、ユリウス・フォルタンか、なかなか面白そうな奴じゃないか」
「初日に学校最強にケンカ売るなんて根性がある」
みんなのユリウス評は上々である。
「新入生にもいるのかね、うちの4強みたいなのが」
「いたら面白いな」
そして本日の鍛錬に励んだ。今日はジンの動きが特に良い。
「レオンの教えてもらうのが妙にしっくりくるって言うかさ。何か今まで自分の体の動かし方ってのがよく分かってなかったのかもしれない」
やはり、デイマーの血流れているのだろう。
翌日も授業を終えると私はいつもの鍛錬場へと向かった。
~~
アルバート・ブラックバーンは学校の用事があって少し遅れて鍛錬場に向かった。アルバートは茂みの中から気配を感じた。
「出てこい。隠れていても気配で分かるぞ」
すると茂みの中から人影が出てきた。
「さすがは『氷帝』ですね」
「お前がユリウスとか言う新入生か?」
「そうです。ご存知でしたか?」
「私を狙っているのか?」
「そうです」
「ふん、レオンは無理でも俺なら倒せそうに思ったか?」
「レオン先輩には大きな隔たりを感じました。だが、選抜大会でレオン先輩に負けたあなたになら勝てそうだ」
「そう思うか?ならかかってこい」
そうしてアルバートは腰を沈め、居合の構えを取る。
「ほう、あなたも居合ですか?」
ユリウスはニヤリと笑う。
「レオンに居合を教えたのは俺だ」
「居合の対策はできていますよ」
「レオンの居合は一味違うぞ。伝えていない技もある」
「ならば行きます!」
ユリウスは振りかぶって一気に間合いに入ってくる。
アルバートは居合の構えから剣を一閃。
ユリウスはその一撃を躱した。
「躱しましたよ!」
そしてユリウスは更に間合いを詰めようとしたが、アルバートは既に剣を鞘に納め居合の構えに戻っていた。
「何だと!もう構えに戻っているだと!」
そしてアルバートは更に剣を一閃。
ユリウスは何とか剣で受け止めた。
さらにアルバートは剣を一閃。そして何度も何度も剣を一閃させ、ユリウスを切り刻んだ。
「うおおお!」
ユリウスはそう叫んで倒れ込んだ。
「これが私の居合術だ。レオンを倒すために日々磨き上げている。ユリウス君はちょうど良い練習相手になったよ」
「ぐう……またしても手も足も出ないのか」
「相手が悪かったな。まあ、あのメンバーだと誰でも相手が悪いがな」
そしてユリウスは立ち上がると走り去って行った。
~~
「なるほど、氷帝にもケンカを売るのか」
「見境なしだな。まるで狂犬だ」
「とはいえ、さすがにしばらくは大人しくするだろう」
「俺、襲われたら負けてしまうかも」
ジンは心配していた。
「今のジンだったら良い勝負するんじゃないか」
「そうだなジンの最近の伸びは目を見張るものがあるしな」
そうして本日も鍛錬に励むのであった。
今日はジンにレオン流の突きを伝授しようと思う。ジンならば神速の突きもものにできるのかもしれない。
突きの構えを教え、突かせてみる。なかなか良い突きではある。そのまましばらくやらせてみる。だんだんと突きが洗練されてきた。飲み込みがいいようだ。
そして向かい合って。お互いに構えてジンに突き出させる。私は上段から、下段から、あるいは突きを出す。このような組み稽古を続けた。初めは戸惑っていたジンも次第に対応してくるようになった。
「よし、ここまでにしよう。ジン、なかなかよかったぞ」
「はあ、はあ、はあ、レオン、俺を殺す気か?」
ジンは限界のようである。
それからアルバートに居合を教えてもらい、今日の鍛錬を終えることになった。
『天才』クライド・ダニング、『青騎士の後継者』ヘンリー・アルベールも見違えるように強くなった。もっとも私にはまだ届かないが。
ヴィンセントも日々熱心に鍛錬を行っている。彼もまたレオン・エルドバーンを打倒すべく秘策を練っているようだ。
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