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26話 入口

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 山岳地帯から迷宮までは道らしきものができており、迷わずに進むことができる。迷宮に近づくと何軒かの出店が出ており、冒険者がたむろしている。

「なんだ、結構賑わってるじゃないか」

「多くの冒険者がこの迷宮を目指すわ。私達もそうだけど」

「目指すは最奥部の踏破か?」

「まあね。今のところはまだ夢でしかないけどね」

「出店で道具店もあるみたいだ」

 ヴィンセントがある出店を指差してそう言った。

「あるにはあるんだけど王都の値段高いの。でも物資が不足したらそこで買うしかないけどね」

 店を見てみると確かに驚くような価格がついている。

 道具店の他に、武器・防具店があるこちらも高い。また、酒場があり、こちらはそう高くないようで、冒険者達が集まっている。

 また、素材買取の店もあり、かなり割安にはなるが魔物の素材も買い取ってもらえるらしい。重い荷物を背負って王都まで戻るぐらいなら嵩張るものはここで売り払ってもいいのかもしれない。

 周りを見渡すと迷宮の付近は広場になっていて、その周りを囲むように出店が建っている。広場の真ん中に建物があった。エマに言われてその建物に入ると、建物の中には大きな穴が空いていた。穴には縄梯子から降りることができるようになっていた。

 「ここが入口よ。ガイドにもそう書いてあるわ」

 すると縄梯子を登ってくるもの達がいた。その者たちは縄梯子を登り切ると地面にへたり込んだ。体は泥まみれ血まみれで疲弊し切った顔をしていた。

 彼らは私達に気づくと道を空けてくれた。

「今から挑戦かい?頑張ってな」

「はい」

「迷宮は危険だ、気を付けろよ」

 そして縄梯子を降りて行く。

 縄梯子を降りるとそこは石を敷き詰めてできた迷宮だ。こんな建造物をいつ、誰が建てたのだろうか?

「じゃあ前衛はレオンとアメリア、中衛は私とトマス、後衛はヴィンセントで進むわよ。トマスは地図を見て行き先を指示して」

 皆が頷くと迷宮を進んで行った。浅い階層はかなり探索され尽くしたようで魔物が出てくることはなかった。ただ、一つの階層が非常に広大でしかも複雑な迷路になっていて容易には進めない。もっとも地図があるので迷うことはないが。進んでいくと他の冒険者たちとすれ違うことあった。

 地下4階からはついに魔物が出現した。アンデッドのスケルトンである。剣と盾を装備しているが剣技などはなくただ剣を振り回してくるだけで脅威ではなかったが、数が多く、てこずることになる。まれにグールも出現するがこれは数が少ないため簡単に倒せた。

 そして地下7階までたどり着く。この階からはリッチが現れる。リッチは高度な魔術を唱えることができ、厄介な相手である。

「ウォーターウォール」

 エマが防御魔法を唱えると、その壁にリッチの魔術が殺到した。

「今よ!」

 エマの声に合わせてリッチの元へと飛びかかる。しかしリッチは他のリッチがいるにもかかわらずフレイムボールの魔術を放ってきた。腕で庇ったが直撃し吹っ飛ばされた。

 魔術を放ったリッチはアメリアがメイスで倒した。すぐに立ち上がり残りのリッチを斬って行く。ダメージはそんなにない。

 戦闘後、腕にかなりの火傷を負ったことに気づいた。するとアメリアが近寄って来て聖魔法で治癒してくれた。そういえばアメリアが治癒するのは初めてのことだ。アメリアの祈りを聞いているうちにみるみる火傷が治っていった。

「たいしたもんだな」

「でしょ」

 なぜかエマが威張っていた。

「アンデッドは仲間意識とかはなさそうね。それを頭に入れておく必要がありそうよ」

「全く同感だ」

「でもフレイムボールの直撃を受けてこの程度で住んでよかったわね。下手すりゃ死んでたわ」

「ああ、気を引き締めていかないとな」
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