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24話 洞窟

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「少しアクシデントもあったけど。おおむね順調に終わったようね。さあ、戻りましょう」

「ちょっと待って、あそこに洞窟があります」

 アメリアは少し離れたところにある洞窟を指差した。

「まだ、時間も早い、少し寄ってみよう」

「そうね、面白そうじゃない」

「ゴブリンの住処かもしれんぞ」

 そして洞窟へ近づくと、

「まて、ゴブリンの見張りがいる」

 ここはゴブリンの住処で間違い無いだろう。

「ここは私に任せろ」

 ヴィンセントはそう言うと弓を取り出した。そして、とゴブリンを射ると次々とゴブリンは斃れていった。

「まあ、こんなもんだ」

 さすがはヴィンセントである。前世ではあらゆる武器を操る天才だったな。 

 そして洞窟の前まで来た。粗末な扉を開け洞窟の中へと入っていく。

「罠があるかもしれないわ。気をつけて」

 ランタンを点けて洞窟の中を進んでいく。洞窟の先にある扉の向こうでゴブリンの気配がする。かなり大勢のようだ。

「どうする?魔術でも使うか?」

「私が使うわ。レオンの魔術はちょっと心配」

 そして扉の前まで来た。エマは魔法陣を展開する。私は扉を蹴り飛ばすとエマの邪魔にならないように横に避ける。アメリアも打ち合わせ通り横に避ける。

「サンダーバレット!」

 弾けるように雷の弾丸が部屋中を駆け回る。サンダーバレットは初級魔術だが、魔法陣によって上級魔術並の威力があった。

 ゴブリンの大半は穴だらけになって倒れた。残りも傷を負って怯んでいる。私、ヴィンセント、アメリアの3人で残りのゴブリンを倒していった。アメリアもメイスでゴブリンを殴りつけていた。

「どうやら全部倒せたようね。やっぱり私が撃って正解ね。レオンにまかせたらどうせ火炎魔術かなんかで全部黒コゲにするでしょ」

 結局洞窟内にゴブリンは全部で32匹もいた。中にはゴブリンメイジとゴブリンシャーマンと言った上位種も存在した。まともに戦ったら手強かったかもしれない。もっとも活躍する機会はなかったのではあるが。

 そして村へ戻り村長に洞窟のことを報告した。

「そうか、そんな住処があったんじゃな。それを滅したとなると、もうゴブリンに悩まされることはなさそうじゃな、ありがとう、本当にありがとう」

「村長さん、帰りの馬車はあるかな?」

「村の者に送らせよう」

 そしてエルム村を発ち、王都へと戻ってきた。

 馬車を降りると送ってくれた村人に礼を言い、そのまま冒険者ギルドに行って依頼完了カウンターに行って報告した。

 討伐部位は合計で47匹分もある。ゴブリン退治は常設依頼になっているため、1匹につき銀貨1枚が支払われる。依頼の15匹分についても支払われるようだ。報酬額は併せて金貨9枚と銀貨7枚となった。かなりの大金だ。

 それぞれ金貨2枚づつ受け取り、残りはパーティーの予算としてエマが預かることになった。

「結構儲かるでしょ」

「しかし命懸けだしな」

「確かにゴブリン相手に死ぬ冒険者はかなりいるからね」

「でも、このメンバーなら楽勝ね。2人とも油断とは程遠いしね!」

「私は今回全然活躍できませんでした」

「アメリアが活躍すると時は結構危ない時だから、活躍しない方がいいの!」

「そうなのか?」

「そうよ。でも聖魔法は凄いんだから、ひどい怪我も綺麗に治るんだから」

「それは見てみたいな」

「今回は怪我人はなかったからね。でも今後はわからないわね。怪我しない冒険者なんていないもの」

 冒険者ギルドの酒場で乾杯し、軽く食事をとった。エマとアメリアはお金が入ったので、店で買い物をするようだ。私とヴィンセントも今回消耗した品を買った。そして寄宿舎へと帰ることにする。

 冒険者とは儲かるものだ。レッド兄さんが嵌るのもよく分かる。だが、並の腕前ではこうは行かないだろう。ゴブリン15匹を倒すには死ぬ思いで戦うことになるだろう。

「どうした?意気揚々だな」

 ヴィンセントがからかってきた。

「そうだな。今日は上手くいったからな。ところで、どのぐらいの魔物なら倒せるだろう」

「まず、数でこられたら無理だな。単体ならそう怖いものは無いだろう」

「ドラゴンでも?」

「ドラゴンは無理だ。人の手では倒せない。この国の建国の御伽噺では初代国王が倒したなんて書いてあるが作り話だろう。実は前世で一度だけみたことがある。あれはとても倒せるとは思えない」

「そうなのかヴィンセント」

 そういえば前世で王国内にドラゴンが出たと大騒ぎになったことがある。ドラゴンは街を襲うこともなく王国を横断するとそのまま彼方へと去って行ったらしい。私はその頃、王国の北部にいたのでドラゴンを見ることはなかった。

「心配しなくてもドラゴンと戦う日はこないよ」

 ヴィンセントはそう言った。

 寄宿舎に着いた。冒険者としての1日は気を休める暇がないためにとても疲れた。明日も学校は休みなので体を休めるとしよう。
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