転生した剣聖は最初から最強のようです

18話 デイマーの子孫

　寄宿舎に戻ると合格者による部屋割りが行われていた。どうやらすでに寄宿舎に入っている者が部屋を移動することはないようだ。部屋割りをなんとなく眺めていると後ろから声をかけられた。

「おい、お前あの引き分けの試合に出てただろ？ありゃ凄かったな」

　振り向くと黒髪のなんとなく前世の自分に似た少年が立っていた。

「あの試合を見てたのか。君は？」

「ああ、俺はジン・デイマー。デイマー伯爵家の三男さ」

「デイマー家ってあの剣聖の？」

「そう、あのデイマー家。今は2代剣聖がいたってだけでぱっとしないけどな、まあ、俺の力でまた有名にしてやろうと思ってる、思っていたんだがあの試合を見るとちょっと自信がなくなるなあ」

「俺はレオン・エルドバーン。エルドバーン家の君と同じ三男さ」

「辺境伯の息子かよ。あの強さはやっぱり家庭教師とか付けてたのか？」

「それなら一時ついてもらってたよ」

「やっぱり有名どころか？」

「黒騎士についてもらってた」

「黒騎士！それはとんでもないな。けど、黒騎士は金では動かんだろ。さっぱり才能かね」

「父上が元弟子だったらしい、そのつてで見てもらってたよ」

「でも普通は見てくれないよな。よっぽどの才能を見出したんだろうな」

「さあ、どうだろうね。でも剣には自信があるよ」

「それにしても相手も凄かったな。あれはただ者じゃないな。とりあえず一緒に食堂に行こうぜ」
「ああ、じゃあノエルも誘って行こよ」

「それはどんな奴だい？」

「領地の騎士団長の息子で何年か前から一緒に暮らしているんだ。同じ歳だから一緒に試験を受けに来たのさ」

「要するにお供がいるって訳だな」

「まあ、今は友達みたいなもんだよ」

　しばらくノエルを探してウロウロとする。向こうもこちらを探していたようで合流する。

　しかし、ジン・デイマーか、なんか自分の子孫を見ると少し照れ臭い。

　ジン達と一緒に食堂に入る。メニューはいつものように簡素なものであった。

「しかし、ここの飯もどうにかならんのかね」

「そりゃあ2代剣聖っていやあ、強くて強くてな。まあ聞いた話だけどな」

「このステーキ硬すぎないか？なんの肉使ってんだよ」

　食べている間、ジンは喋りっぱなしであった。

　その後ジンとノエルと別れて部屋に戻った。

　それから一週間後、騎士学校の授業が始まった。