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17話 再び
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そして翌日になった。定刻に闘技場に集まる。受験生は昨日に比べる半分に減っていた。受験生の中には昨日の戦いで疲労している者もいた。
「本日は実技2次試験を行う。試験方法は昨日と同じで2勝すれば合格、2敗すれば不合格だ。番号は昨日の番号をそのまま使う」
そして、受験生は2人組に分けられ、腕章を渡される。対戦相手として自分の目の前いたのはあの男だった。
「どうしたんだい。怖い目をして。誰かに似ているのかい?」
男は微笑みながら話しかけてきた。
「いや、そうじゃないさ。ただ、強敵だと思ったんだ」
「それは正しい認識だよ。でも、僕は君が誰かに似ているような気がするよ。なんだか遠い昔にね」
「正直に言うと俺もそう感じている」
「君はレオンだろう?」
「そうだ、レオン・エルドバーンだ」
「そうなのかもしれないが、本当は君はレオン・デイマーだろう?」
「!」
「僕はヴィンセント・ミッドガル。そしてレイチェルの記憶もある」
「レオン・デイマーはお前の後をずっと追っていた」
「知っているよ。でも僕は途中で死んでしまったけどね。心残りだったよ、レオンはいずれ自分の対等の相手になる日が来ると思っていたからね。実際、剣聖として認められたようだしね。でも最強の剣聖がレオン・デイマーなのはちょっと納得が行かないね」
「レイチェル・ミッドガルは早逝したんで評価しかねるのさ」
「でも、今日どっちが強いかわかるんじゃないかな。よもや転生して修行を怠っていたとは言わないよね」
「大丈夫だ。修行を怠ってはいない」
2人の間に沈黙が流れた。元親友としての会話もあるだろうが、とてもそんな雰囲気はない。
そして、しばらくすると自分たちの番が来た。
「番号1と番号2、第1サークルに入るように」
サークルに入り、一礼する。対峙すると強烈な威圧感に襲われる。どうやら本物らしい。威圧感に飲まれないようにする。
「始め!」
開始の合図と同時にお互い駆けていく。間合いに入るとヴィンセントが斬りつけてくる。くっ、先手を取られた。……そして驚愕する。剣が幾本にも見えるのである。これは躱せないと急遽横っ飛びに飛ぶ。追いかけて横切りに切って来たのでこれを躱す。
「なかなかやるな。だがこれはどうだ?」
ヴィンセントがそう言うと彼の姿がぼやけて2重に見え、消えた!
次の瞬間ヴィンセントは間近に現れた。落ち着いて振るわれた剣を受け止め、そのまま弾き飛ばす。ヴィンセントはそのまま後退した。
再び対峙する。そして、神速の踏み込みから突きを放つ。なんと!これを躱すのか!そのまま無理に2合、3合と撃ち合う。一瞬の隙をつかれて袈裟斬りに切られたがそれは残像である。本体は後ろに回り込んで上段から斬り下ろす。しかしそれは躱されてしまう。
「なかなか恐ろしい技を使うな。ひやっとしたじゃないか」
その後もお互いに打ち合うが勝負がつかない。
「そこまで!両者引き分け!」
試合があまりにも長時間になったため、見かねた試験官が試合を止めたようである。
「はあ、はあ、なかなかやるじゃないかレオン。見直したよ」
「はあ、はあ、越えたつもりだったんだがな」
この試合の結果は引き分けで、どちらにも勝敗はつかずということだった。
「合格はお互い問題ないだろう。また学校で会おうではないか。死んだ後のことは歴史で知ってはいるが、ぜひ君から聞きたいものだ、レオン」
「ああ、また学校でな」
そう言って、ヴィンセントとは別れた。
試合後にノエルと合流する。
「どうだったレオン?」
「引き分けだった」
「引き分けとかあるんだ。でもレオンが引き分けって」
「恐ろしく強い相手だったよ。負けるかと思った」
「信じられないな。やっぱり強い人はいるもんだね」
「ノエルはどうだった?」
「結構強い相手だったけどなんとか勝てたよ」
ノエルにはヴィンセントとのことは黙っておいた。説明のしようがないしな。
それからの対戦は特に問題もなく2勝をあげることができ、合格することができた。
「本日は実技2次試験を行う。試験方法は昨日と同じで2勝すれば合格、2敗すれば不合格だ。番号は昨日の番号をそのまま使う」
そして、受験生は2人組に分けられ、腕章を渡される。対戦相手として自分の目の前いたのはあの男だった。
「どうしたんだい。怖い目をして。誰かに似ているのかい?」
男は微笑みながら話しかけてきた。
「いや、そうじゃないさ。ただ、強敵だと思ったんだ」
「それは正しい認識だよ。でも、僕は君が誰かに似ているような気がするよ。なんだか遠い昔にね」
「正直に言うと俺もそう感じている」
「君はレオンだろう?」
「そうだ、レオン・エルドバーンだ」
「そうなのかもしれないが、本当は君はレオン・デイマーだろう?」
「!」
「僕はヴィンセント・ミッドガル。そしてレイチェルの記憶もある」
「レオン・デイマーはお前の後をずっと追っていた」
「知っているよ。でも僕は途中で死んでしまったけどね。心残りだったよ、レオンはいずれ自分の対等の相手になる日が来ると思っていたからね。実際、剣聖として認められたようだしね。でも最強の剣聖がレオン・デイマーなのはちょっと納得が行かないね」
「レイチェル・ミッドガルは早逝したんで評価しかねるのさ」
「でも、今日どっちが強いかわかるんじゃないかな。よもや転生して修行を怠っていたとは言わないよね」
「大丈夫だ。修行を怠ってはいない」
2人の間に沈黙が流れた。元親友としての会話もあるだろうが、とてもそんな雰囲気はない。
そして、しばらくすると自分たちの番が来た。
「番号1と番号2、第1サークルに入るように」
サークルに入り、一礼する。対峙すると強烈な威圧感に襲われる。どうやら本物らしい。威圧感に飲まれないようにする。
「始め!」
開始の合図と同時にお互い駆けていく。間合いに入るとヴィンセントが斬りつけてくる。くっ、先手を取られた。……そして驚愕する。剣が幾本にも見えるのである。これは躱せないと急遽横っ飛びに飛ぶ。追いかけて横切りに切って来たのでこれを躱す。
「なかなかやるな。だがこれはどうだ?」
ヴィンセントがそう言うと彼の姿がぼやけて2重に見え、消えた!
次の瞬間ヴィンセントは間近に現れた。落ち着いて振るわれた剣を受け止め、そのまま弾き飛ばす。ヴィンセントはそのまま後退した。
再び対峙する。そして、神速の踏み込みから突きを放つ。なんと!これを躱すのか!そのまま無理に2合、3合と撃ち合う。一瞬の隙をつかれて袈裟斬りに切られたがそれは残像である。本体は後ろに回り込んで上段から斬り下ろす。しかしそれは躱されてしまう。
「なかなか恐ろしい技を使うな。ひやっとしたじゃないか」
その後もお互いに打ち合うが勝負がつかない。
「そこまで!両者引き分け!」
試合があまりにも長時間になったため、見かねた試験官が試合を止めたようである。
「はあ、はあ、なかなかやるじゃないかレオン。見直したよ」
「はあ、はあ、越えたつもりだったんだがな」
この試合の結果は引き分けで、どちらにも勝敗はつかずということだった。
「合格はお互い問題ないだろう。また学校で会おうではないか。死んだ後のことは歴史で知ってはいるが、ぜひ君から聞きたいものだ、レオン」
「ああ、また学校でな」
そう言って、ヴィンセントとは別れた。
試合後にノエルと合流する。
「どうだったレオン?」
「引き分けだった」
「引き分けとかあるんだ。でもレオンが引き分けって」
「恐ろしく強い相手だったよ。負けるかと思った」
「信じられないな。やっぱり強い人はいるもんだね」
「ノエルはどうだった?」
「結構強い相手だったけどなんとか勝てたよ」
ノエルにはヴィンセントとのことは黙っておいた。説明のしようがないしな。
それからの対戦は特に問題もなく2勝をあげることができ、合格することができた。
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