1 / 15
宝石姫と村娘
宝石姫と村娘1
しおりを挟む
ここは石の国。全部が、石でできた国です。家も、机も、お城も、全部石です。そんな、石の国に一人のお姫さまが暮らしていました。名前はベリル。すきとおるような赤の、ふわふわの髪の毛をした、小さな女の子です。町の人からも、お城の人からも、誰からも好かれる、可愛いお姫様です。
しかし、ベリルには秘密があります。石の国の町。その裏路地にある小さな宝石屋さん。そこはベリルのお店です。今日もベリルは城を抜け出し、宝石店のお店に立ちます。
ベリルは宝石が大好き。今日も、宝石に囲まれて、幸せでした。
カランカラン。店の入り口のベルがなります。誰かがお店に来たようです。
「いらっしゃいませ」
ベリルは笑顔でお客さまを迎えます。店の入り口には一人の女性が立っていました。20歳くらいでしょうか?ベリルより少し年上のようです。白いワンピースを着てますが、少々薄汚れてしまっています。
「あ、あの。ここは宝石屋さんですか?」
「そうですよ」
お客さまの質問に、ベリルは元気な声で答えました。ここに来るお客さまは、まさかお姫さまが店番をしているとは思いません。そもそも、石の国では、お姫さまと会ったことがある人の方が少ないのです。
「すみません。私は宝石を買いに来たわけではないんです」
お客さまは頭を下げました。ベリルはお客さまがなぜあやまっているのかがわかりませんでした。
「あやまることはありませんよ。お姉さん。まずはお名前を教えていただけますか?」
頭をあげたお客さまは少し戸惑いながら、ベリルに言いました。
「はい。私はシンスです。石の国の外。砂漠の村で暮らしています」
石の国は裕福な国です。そんな裕福な石の国では暮らせな貧しい人は、外に広がる砂漠で村を作って生活しています。
「シンスさん。よろしくおねがいします。それで、この宝石店になんのようですか?」
ベリルはシンスに聞きました。宝石を買いにきたわけではないのであれば、何か理由があるはずです。
「この宝石を見てください。この宝石をお金に変えたいんです」
シンスは大切に手に持っていた宝石をベリルに見せました。
「綺麗な宝石ですね」
ベリルは一粒の宝石を眺ます。透き通るような宝石の中に、うっすらと黄色が混ざった色です。
「この宝石は亡くなった父が、母に贈ったものなんです」
シンスはそう、説明しました。
「そんな大切なものを手放していいのですか?」
ベリルはやんわりと聞きました。
「命には変えられませんから。ウチには病気の母に薬を買うお金もないんです」
優しいベリルはその宝石の価値を伝えることを迷っていました。そして、困ってる目の前の女性を放っておけなくなってるのも、ベリルの性格なのです。
「この宝石はジルコンという名前の石です。凄く古い時代の石で、見た目も美しい宝石です。しかし……言いにくいのですが、宝石としての価値はほとんどありません。お金には変えられないでしょう」
ベリルは思い切って打ち明けました。シンスは悲しい顔をしています。
「しかし、このジルコンの宝石にはとても凄い力が眠っています。私ならそれをとりだし、シンスさんの力になれると思います」
そう言うと、ベリルはシンスさんの手からジルコンを受け取りました。
「このジルコンはうっすらと黄色の色が入ってます。美しいですね。それに、ジルコンの名前の由来には、『金』が入っています」
そう言うとベリルは自分の手のひらで、そっとジルコンを包みました。ベリルの手がうっすらと輝いているように見えます。
シンスはその、不思議な光景を見つめていました。そんなシンスにベリルは言います。
「私は宝石の持つ力を感じることが出来ます。そして、その力を取り出してあげることができるんですよ。ほら……」
開いたベリルの手のひらの中には、とても価値のある黄金が一粒乗っていました。
「これが、あの宝石?母のあの宝石ですか?」
シンスは驚いて、ベリルに聞きました。
「ええ。そうです。私が宝石の中に眠ってる力を引き出しました。これは、紛れもなく、あなたのお母さまの宝石です。これで、お母さまの病気を治してあげてくださいな」
ベリルはシンスの手に、ぽとりと黄金を置いた。この大きさの黄金なら、薬はもちろん。1ヶ月くらいなら食事にも困らないでしょう。
「なんと、お礼を言ったらいいか」
シンスは何度も何度も、深く頭を下げながら店を後にしました。
しかし、ベリルには秘密があります。石の国の町。その裏路地にある小さな宝石屋さん。そこはベリルのお店です。今日もベリルは城を抜け出し、宝石店のお店に立ちます。
ベリルは宝石が大好き。今日も、宝石に囲まれて、幸せでした。
カランカラン。店の入り口のベルがなります。誰かがお店に来たようです。
「いらっしゃいませ」
ベリルは笑顔でお客さまを迎えます。店の入り口には一人の女性が立っていました。20歳くらいでしょうか?ベリルより少し年上のようです。白いワンピースを着てますが、少々薄汚れてしまっています。
「あ、あの。ここは宝石屋さんですか?」
「そうですよ」
お客さまの質問に、ベリルは元気な声で答えました。ここに来るお客さまは、まさかお姫さまが店番をしているとは思いません。そもそも、石の国では、お姫さまと会ったことがある人の方が少ないのです。
「すみません。私は宝石を買いに来たわけではないんです」
お客さまは頭を下げました。ベリルはお客さまがなぜあやまっているのかがわかりませんでした。
「あやまることはありませんよ。お姉さん。まずはお名前を教えていただけますか?」
頭をあげたお客さまは少し戸惑いながら、ベリルに言いました。
「はい。私はシンスです。石の国の外。砂漠の村で暮らしています」
石の国は裕福な国です。そんな裕福な石の国では暮らせな貧しい人は、外に広がる砂漠で村を作って生活しています。
「シンスさん。よろしくおねがいします。それで、この宝石店になんのようですか?」
ベリルはシンスに聞きました。宝石を買いにきたわけではないのであれば、何か理由があるはずです。
「この宝石を見てください。この宝石をお金に変えたいんです」
シンスは大切に手に持っていた宝石をベリルに見せました。
「綺麗な宝石ですね」
ベリルは一粒の宝石を眺ます。透き通るような宝石の中に、うっすらと黄色が混ざった色です。
「この宝石は亡くなった父が、母に贈ったものなんです」
シンスはそう、説明しました。
「そんな大切なものを手放していいのですか?」
ベリルはやんわりと聞きました。
「命には変えられませんから。ウチには病気の母に薬を買うお金もないんです」
優しいベリルはその宝石の価値を伝えることを迷っていました。そして、困ってる目の前の女性を放っておけなくなってるのも、ベリルの性格なのです。
「この宝石はジルコンという名前の石です。凄く古い時代の石で、見た目も美しい宝石です。しかし……言いにくいのですが、宝石としての価値はほとんどありません。お金には変えられないでしょう」
ベリルは思い切って打ち明けました。シンスは悲しい顔をしています。
「しかし、このジルコンの宝石にはとても凄い力が眠っています。私ならそれをとりだし、シンスさんの力になれると思います」
そう言うと、ベリルはシンスさんの手からジルコンを受け取りました。
「このジルコンはうっすらと黄色の色が入ってます。美しいですね。それに、ジルコンの名前の由来には、『金』が入っています」
そう言うとベリルは自分の手のひらで、そっとジルコンを包みました。ベリルの手がうっすらと輝いているように見えます。
シンスはその、不思議な光景を見つめていました。そんなシンスにベリルは言います。
「私は宝石の持つ力を感じることが出来ます。そして、その力を取り出してあげることができるんですよ。ほら……」
開いたベリルの手のひらの中には、とても価値のある黄金が一粒乗っていました。
「これが、あの宝石?母のあの宝石ですか?」
シンスは驚いて、ベリルに聞きました。
「ええ。そうです。私が宝石の中に眠ってる力を引き出しました。これは、紛れもなく、あなたのお母さまの宝石です。これで、お母さまの病気を治してあげてくださいな」
ベリルはシンスの手に、ぽとりと黄金を置いた。この大きさの黄金なら、薬はもちろん。1ヶ月くらいなら食事にも困らないでしょう。
「なんと、お礼を言ったらいいか」
シンスは何度も何度も、深く頭を下げながら店を後にしました。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた
リオール
恋愛
だから?
それは最強の言葉
~~~~~~~~~
※全6話。短いです
※ダークです!ダークな終わりしてます!
筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。
スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。
※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる