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1章 融合!ブルーファイア
ブルーファイア1
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ここは第六市のショッピングモール。大きくはないが、こんな田舎の町にあるショッピングモールにしては立派なほうだ。
一人の少年が嬉しそうに駆けてきた。少年の名前は橘花緋(たちばなあか)。今年、第六中学校に入学した1年生だ。手には入学祝いに買ってもらったスマートフォンを握りしめている。
緋は嬉かった。小学生だった時とは違う。スマホを持ち、一人でショッピングモールに出かける。なんだか、少し大人になったような感覚だ。
電化製品売り場を通り過ぎる。売り場のテレビが最新のニュースを流していた。
「本日は56人が異世界に召喚されてしまったようです」
緋はチラリとだけテレビを視界に入れるが、すぐに前に向き直った。異世界召喚など、ひと昔前はアニメの中の話だったが、今はわりと普通に起こる事件となっていた。
緋はエスカレーターを2段飛ばしで駆け上がる。2階はゲームコーナーなどがあり、緋にとって楽しみな場所だ。ワクワクが止まらない。ゲームコーナーを回りながらゲームじ機を眺める。お小遣いは少ないから、お金を入れる機械は慎重に選ばないと、と緋は思っていた。
「うわぁ! ヒーロー戦隊カードゲームだ」
緋は大好きなゲーム機を見つけた。今、テレビで人気のヒーロー達が活躍するカードゲームだ。プレイヤーはカードを機械に差し込み、ヒーローを呼び出すのだ。
羨ましそうに緋はプレイする少年を見ていた。その時、嫌な違和感を覚えた。機械の周りが歪んでいるような感覚だ。いや、機械の後ろか? 気になった緋はそっと機械の後ろを覗き込んだ。
そこには見慣れない生物がうずくまっていた。緑色の肌の小さな小人。ゲームの世界だと、ゴブリンとか名前がつきそうな生物だ。
「……え?」
とっさに声がこぼれてしまった。ゴブリンは振り返り、緋と目が合う。いやな汗が流れてきていた。ゴブリンの目が怪しく赤く光った。
(やばい)
と緋が思った瞬間だった。キーキーと耳に突き刺さるような声をゴブリンがあげた。ゲームセンターにいるまわりの客も一斉に振り向いた。怒ったように、ゴブリンは腕を振り回す。その瞬間、ヒーローゲームの機械が粉々に吹き飛んだ。緋は後ろに吹き飛び、床に転がった。
ゲームセンターに響き渡る悲鳴。パニックになった客が次々と逃げ出していく中で、緋は動けないでいた。ゴブリンは緋を鋭く赤い瞳で睨みつけた。緋に対して怒りを持っっているようだった。
ゴブリンが一歩、緋に近づいた。
(やばい)
緋の足が動く。緋はゴブリンに背を向けて走り出した。
「キーキー」
ゴブリンが追ってくる。ゲーム機を粉々にしたほどの腕力だ。捕まったら緋はひとたまりもないだろう。緋は必死で足を動かした。目の前に現れたドアを押し、中に入った。そこはトイレだった。
中から鍵をかける。しかし、中に入ったことをゴブリンも見ているだろう。ガタガタと震えながら緋は考えていた。助けを呼ばないと。警察だ。
緋ポケットから、真新しいスマートフォンを取り出した。ボタンを押し、真っ暗な画面に灯をつけた。電話のマークや手紙のマークなどのアプリのアイコンが並んでいる中に、初めて見るアイコンがあった。メガネのような、サングラスのようなアイコンだ。『変身アプリ』その四角いアイコンが激しく点滅し、光っていた。緋の指が吸い込まれるように、そのアプリをタップした。
急に目の前の世界の色が変わる。赤いサングラスをかけられたようだ。実際に緋の目には赤いレンズが乗っていた。
「な、なんだよ。これ」
戸惑う緋をよそに、レンズに文字が映し出される。
《魔力値が規定値を超えました。魔戦士への変身を実行できます》
「魔戦士? 変身?」
その言葉に反応し、サングラスが光り輝いた。
「う、うわぁぁぁ」
サングラスから後ろにヘルメットが伸びてくる。そこからマントのようなものが体を包んだ。右手には赤のグローブ。緋は魔戦士へと変身したのだ。
一人の少年が嬉しそうに駆けてきた。少年の名前は橘花緋(たちばなあか)。今年、第六中学校に入学した1年生だ。手には入学祝いに買ってもらったスマートフォンを握りしめている。
緋は嬉かった。小学生だった時とは違う。スマホを持ち、一人でショッピングモールに出かける。なんだか、少し大人になったような感覚だ。
電化製品売り場を通り過ぎる。売り場のテレビが最新のニュースを流していた。
「本日は56人が異世界に召喚されてしまったようです」
緋はチラリとだけテレビを視界に入れるが、すぐに前に向き直った。異世界召喚など、ひと昔前はアニメの中の話だったが、今はわりと普通に起こる事件となっていた。
緋はエスカレーターを2段飛ばしで駆け上がる。2階はゲームコーナーなどがあり、緋にとって楽しみな場所だ。ワクワクが止まらない。ゲームコーナーを回りながらゲームじ機を眺める。お小遣いは少ないから、お金を入れる機械は慎重に選ばないと、と緋は思っていた。
「うわぁ! ヒーロー戦隊カードゲームだ」
緋は大好きなゲーム機を見つけた。今、テレビで人気のヒーロー達が活躍するカードゲームだ。プレイヤーはカードを機械に差し込み、ヒーローを呼び出すのだ。
羨ましそうに緋はプレイする少年を見ていた。その時、嫌な違和感を覚えた。機械の周りが歪んでいるような感覚だ。いや、機械の後ろか? 気になった緋はそっと機械の後ろを覗き込んだ。
そこには見慣れない生物がうずくまっていた。緑色の肌の小さな小人。ゲームの世界だと、ゴブリンとか名前がつきそうな生物だ。
「……え?」
とっさに声がこぼれてしまった。ゴブリンは振り返り、緋と目が合う。いやな汗が流れてきていた。ゴブリンの目が怪しく赤く光った。
(やばい)
と緋が思った瞬間だった。キーキーと耳に突き刺さるような声をゴブリンがあげた。ゲームセンターにいるまわりの客も一斉に振り向いた。怒ったように、ゴブリンは腕を振り回す。その瞬間、ヒーローゲームの機械が粉々に吹き飛んだ。緋は後ろに吹き飛び、床に転がった。
ゲームセンターに響き渡る悲鳴。パニックになった客が次々と逃げ出していく中で、緋は動けないでいた。ゴブリンは緋を鋭く赤い瞳で睨みつけた。緋に対して怒りを持っっているようだった。
ゴブリンが一歩、緋に近づいた。
(やばい)
緋の足が動く。緋はゴブリンに背を向けて走り出した。
「キーキー」
ゴブリンが追ってくる。ゲーム機を粉々にしたほどの腕力だ。捕まったら緋はひとたまりもないだろう。緋は必死で足を動かした。目の前に現れたドアを押し、中に入った。そこはトイレだった。
中から鍵をかける。しかし、中に入ったことをゴブリンも見ているだろう。ガタガタと震えながら緋は考えていた。助けを呼ばないと。警察だ。
緋ポケットから、真新しいスマートフォンを取り出した。ボタンを押し、真っ暗な画面に灯をつけた。電話のマークや手紙のマークなどのアプリのアイコンが並んでいる中に、初めて見るアイコンがあった。メガネのような、サングラスのようなアイコンだ。『変身アプリ』その四角いアイコンが激しく点滅し、光っていた。緋の指が吸い込まれるように、そのアプリをタップした。
急に目の前の世界の色が変わる。赤いサングラスをかけられたようだ。実際に緋の目には赤いレンズが乗っていた。
「な、なんだよ。これ」
戸惑う緋をよそに、レンズに文字が映し出される。
《魔力値が規定値を超えました。魔戦士への変身を実行できます》
「魔戦士? 変身?」
その言葉に反応し、サングラスが光り輝いた。
「う、うわぁぁぁ」
サングラスから後ろにヘルメットが伸びてくる。そこからマントのようなものが体を包んだ。右手には赤のグローブ。緋は魔戦士へと変身したのだ。
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