甘オラ警備員はスイ~ツくん🍰をオラチン♂でわからせたい!

宗形オリヴァー

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甘オラ警備員はスイ~ツくん🍰をオラチン♂でわからせたい!

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窓の外は寒そうだけど、心の中はホカホカとあったかい。
そんな十二月。

「やった! 今度は上手く焼けてるぞ~!」

オーブンからスポンジケーキを取り出して、おれはガッツポーズした。

ここはバリバリの男子校・乙杯学園の家庭科室だ。

おれは学園の二年生で、名前は佐藤蜜月(さとう・みつる)。

この学園のクッキング部に所属してて、放課後はもっぱらスイーツを作っている。

「よ~し、最後の仕上げだ…っ」

焼きあがったスポンジケーキにクリームを飾り付けて、粉砂糖をふりかけて…っと。

手作りのブッシュ・ド・ノエルの完成だ。

「ちょっと不恰好だけど……まあいいよな! 料理は度胸☆ ケーキは愛嬌♪ ってことで!」

少しいびつな形の切り株に、少し崩れたホイップクリーム。

それでも味は完璧なはず!

おれは大事にケーキを箱に入れると、他の部員たちに挨拶して家庭科室を出る。

冷たい風が吹いていて、街全体が赤と緑にラッピングされているこの季節。

そう、今日はクリスマスイブだ。

付き合ってるやつらはデートに繰り出したりするけど、おれの目的地は学校の中、人気のない廊下の一番奥にある。







ケーキを落とさないように、慎重に階段を駆け下りて、目指していたのは目立たない扉。

そこは『宿直室』と書かれた、古ぼけた一室。

おれは、すう~と息を吸い込むと、ハイテンションにドアノブを回した。

「拳勇(けんゆう)さん! メリ~クリスマ~~~スっ!」



 


甘オラ警備員はスイ~ツくん🍰をオラチン♂でわからせたい!




満面の笑みで勢いよく扉を開けたおれを、室内でダンベルを上下させていた、筋肉質な男性が驚きの顔で振り返った。

「佐藤……また来たのかよ、てめぇ」

そう言って、鋭い眼光でおれをギロリと睨みつけたのは、この学園の雇われ警備員である相良拳勇(さがら・けんゆう)さん。

刈り上げた金髪、チクチクした不精ヒゲ。
泣く子も黙るコワモテで、年齢は38歳! 

警備員用の紺色の制服は、鍛えられた筋肉でぱつぱつだ。

へへへ。
見た目だけならマッチョなチンピラって感じだけど、この人こそがおれの片想いの相手なのだ。

「へへ、拳勇さんとクリスマス一緒に過ごしたいなあと思ってさ! おれ、拳勇さんの恋人候補だし♪」

宿直室の内装は狭苦しい和室で、そんなに広くない畳のスペースにせんべい布団が敷かれている。
その布団の上であぐらをかいている拳勇さんの隣におれはちゃっかり座り込む。

「おい、誰が恋人候補だって…?」

「もちろん、おれです♪ だって、もう何度も手作りのお菓子プレゼントしてるし、好きですって告白もしてるし」

へへ、堂々と言い切っちゃえ。

「どういう理屈だよ…! 断ってもてめぇが勝手に届けにくるんだろうが…!」

こめかみに血管を浮かべて怒鳴ってくる拳勇さん。
その人を寄せ付けない凄まじい気迫におれは怯むことも無く、ケーキの箱を差し出した。

「ほら、今日はクッキング部でクリスマスケーキ作ってみたんですよ。拳勇さん甘いの大好きだし、おれからの愛が詰まってるんで、美味しく食べてくださいね♪」

「……てめぇ、脳みその代わりに頭に生クリーム詰まってんじゃねえのか?」

「え! よく友達に『蜜月ってあたま空っぽだね』とは言われますけど、クリームだったら美味しくてイイですね!」 

「……はあ」

グイグイと引かないおれに、拳勇さんが盛大な溜め息をつく。

どん、とちゃぶ台に置かれたブッシュ・ド・ノエルに、それでも拳勇さんがごくりと唾を鳴らすのがわかった。

「ったく、なんでこんなおっさんに手作りケーキなんか届けてんだか……」

がしがしと後ろ頭を掻く拳勇さんの顔を、おれはずいっと覗き込んで告げる。

「だっておれ、あの日から拳勇さんにべた惚れですもん♪」




ほわんほわんと脳裏に浮かぶ、それは半年前の出来事。

休日に一人ケーキバイキングに行った帰り、おれはガラの悪い他校のヤンキーたちに絡まれてしまった。

おれはヤンキーの恫喝に震え上がってしまって、そのまま路地裏へ連行されてしまいそうだったんだけど。

『おう、待てやガキ共』

ヤンキーに肩を組まれて涙目のおれが野太い声に振り返ると、そこにいたんだよね。
射殺すみたいに眼光鋭い拳勇さんが。

『そのチビ、俺のツレなんだけどよォ。返してくれねぇかなぁ』

その時の拳勇さん、言葉は柔らかいけど、声はドスが効きまくりで、表情は瞳孔開いた野生の獣みたいな恐さだった。

ヤンキーたちは簡単にビビっちゃって、おれのこと放り出してそそくさと逃げて行ったっけ。

『あの、学園の新しい警備員さんですよね。あ、ありがとうございます』

おれが呼び止めると、その人はふと立ち止まった。

学園に、新しく警備員さんが入ってきたのは知っていた。

校長がどこかから連れてきた、宿直業務やボクシング部のコーチをする代わりに学校に寝泊まりしている、コワモテでカッコイイ、大人の男の人。  

生徒たちの噂で、その警備員さんが引退した……元プロボクサーだってことも知ってた。

『……また痛い目見る前に帰りな』

拳勇さんは何も無かったみたいにおれに背中を向けると、低い声を一言こぼしただけでその場を去っていったんだ。

もう、その時の拳勇さんのカッコよさたるや…!





「あのとき、おれのハートはノックアウトされちゃったんだよなあ~~!」

……と、おれが輝かしい思い出を語っているのに、当の拳勇さんは片手で顔を覆っている。

「たまたま生徒だと気づいたから助けたが……よしときゃよかったかもしれねえな」

「またまた~♪ 拳勇さんはおれのヒーローですからね!大好きです!だから付き合ってください!」

ぶっとい腕にぎゅうと抱きつくと、拳勇さんが辟易した目でおれを見る。

あの日からこれまで、半年間ずっと、おれは拳勇さんにお菓子を作っては足しげく宿直室に通いつめて、あふれる想いをぶつけているのだ。
 
「……ボクサー人生は定年迎えちまって、抜け殻同然で警備員やってるおっさんのどこがヒーローなんだか」

ぼそりと吐露する拳勇さん。

おれはあんまり詳しくないけど、ボクサーの世界は37歳でプロは引退になるらしい。
確かに、今まで打ち込んできたものが急になくなってしまう気持ち、想像すると辛いけど…。

おれは学生証の中に入っている、拳勇さんのプロボクサー時代のブロマイドを思い出す。
苦労してメルカリで見つけたレアモノだ。

ブロマイドの中では、金髪に剃り込みを入れた若かりし頃のオラオラ拳勇さんがリングの上で勝利のガッツポーズをしている。
今隣にいる拳勇さんは少しシワが増えて、不精ヒゲもほったらかしで、瞳の輝きもだいぶ澱(よど)んで、やさぐれた感じになってはいるけど…。
でも、おれにとっては最高にカッコイイ人なんだもん。

「拳勇さんは、抜け殻なんかじゃないですもん。中身も見た目も、今だってめっちゃ最強です!」

「見た目なんか、ただのやさぐれたおっさんだろうが……まあ、褒められて悪い気はしねぇけどよ」

フッ、と拳勇さんが口角を上げる。
好きな人の笑顔を見れたことが嬉しくて、おれも思わず嬉しくなる。

「ほら、それよりケーキ食べてくださいよぉ。おれ、今日の朝からがんばったんですからね!」

「朝から? ケーキってそんな時間かかるんか…」

本当は何度もスポンジ焼くの失敗して時間溶かしただけだけど…黙っとこ。

拳勇さんにフォークを手渡すと、心なしか弾んだ表情で口にケーキを運んでくれた。

「あ、味はどうですか? おいしいか美味いで教えて貰えると助かるんですけど…」

自分が作ったものを食べてもらう瞬間は、いつだって緊張する。不味いって言われたらどうしよう。
ああ、やっぱりもっと上手に出来るまでやり直せばよかったかも。そんなキモチがぐるぐるだ。

拳勇さんは口の端についたクリームをぺろりと舐め取ると、無表情で頷いた。

「……うめぇよ」

「わーっ!よかった~! 拳勇さん甘いの好きですもんね! おれ、スポーツも勉強もからっきしだけど、お菓子作りだけは得意なんで!」

喜んで貰えて嬉しい!
胸がほわほわと幸せに満たされる。

「ボクサー時代は減量で甘いもんとか控えてたからな。もう我慢する必要もねえし」
そう言って、バクバクと真顔でケーキを貪る拳勇さん。
あっという間にブッシュ・ド・ノエルをぺろりと平らげてしまった。

「ん。ごっそうさん」

指についたクリームまでべろりと舐め取って、おれに皿を返してくる拳勇さん。
おれはその仕草にドキドキしてしまう。

「へへへ、全部食べてくれてうれしいです。手料理を残さず食べる……これってつまり、おれのこと好きってことですよね!照れる~!」

「ケーキが美味かったから完食した、以外の情報を勝手に捏造するな…」

そっけなくそう言われることも想定内。
何はともあれ、クリスマスに2人で居れることが嬉しいんだよな。

「おれ、クリスマスプレゼントも用意したかったんだけど、拳勇さん何が欲しいか教えてくれなかったからなあ」

「けっ、ガキじゃあるまいし、プレゼントなんか欲しかねえよ」

爪楊枝でシーシーと歯を掃除している拳勇さん。
でも、せっかくだから何かプレゼントしたかったんだけどなあ。

ケーキのお皿を片付けながら、散らかった部屋の中が目に入ったので片付けることにする。
ビールの空き缶やら、パチンコ雑誌やら、丸まったティッシュやら……オトコの一人部屋あるあるな逸品が床を埋めつくしてて、なんとも目移りしてしまう。

「おい、片付けなんかしなくていいって」
「だめですよ。ハッキリいって、この部屋クサイです」
「なっ………!」

拳勇さんは驚愕に目を見開く。おれの指摘に少しショックを受けたようだ。

「うぐ、やっぱ、か、加齢臭か……?」

ぼそぼそと何かを言いながら自分のシャツをめくってくんくんと嗅いでいる。
鍛え抜かれてバキバキの腹筋がチラリと見えて、おれはドキッとする。

ま、臭いって言っても、この部屋の男臭さ、おれは大歓迎なんだけど。

(うわ~……♪)

ゴミ箱にも丸まったティッシュが山のように捨てられているのを見て、思わずごくりと喉が鳴る。

これって、絶対シコった後のティッシュだよな……。  

「おい、ゴミ箱凝視して頬を染めるんじゃねえよ……お前だってオナニーくらいすんだろ」

あっけらかんと言われた言葉に、おれは耳まで真っ赤になってしまった。

お、お、オナニーって……!

そりゃ、一人でする、けど……拳勇さんからシモの話題振られると、なんかめちゃくちゃドキドキしちゃう。

「あ、あはは。それは、ま、まあ…。てか、それにしたって、拳勇さん、このティッシュの量ヤバいですって~。これ、一日何回ヌイたらこんなに溜まるんですかぁ?」

冗談めいた口調で、さらに情報を得たくなっておれは奮闘する。
男同士だし……突っ込んだこと訊いたっておかしくないよな!

「あ? いちいち数えてねぇだろ、そんなん。ふつうに一日、5・6回くらいじゃねぇか? 休みだったら暇だしもっとやってるかもだが……」 
「いやオナザルじゃないですかっ!!」

しまった、思わず食い気味に突っ込んでしまった。
しかし、拳勇さんは慌てることもなく、チクチクとヒゲが生えたゴツい輪郭をぽりぽりして、さらなることを教えてくれる。

「いや、これでも若い頃に比べると随分減ったんだがな。そうだな、お前くらいの歳の頃だと一日中チンポ握ってた日もあった気がするぞ」

「いっ、一日中……!?」

おれは雷に撃たれたように天を仰ぐ。

(か~~っ、このマッチョ警備員、スケベすぎる……!)

ちょうだいちょうだい、そういう情報もっとちょうだい!

好きな人のシモ事情に興奮が止まらないおれは声に出さずに悶絶すると、鼻息荒く、ここぞとばかりに探っていく。
こんな話題になるチャンス滅多にないんだから、攻めなきゃソンだ!

「け、拳勇さん、そんなに性欲強いのに、オナニーばっかりなんですか? 恋人とか欲しくならないんですか?」

「あー、まあそりゃ、神様がくれるって言うんなら欲しいぜ?」

拳勇さんは、斜め下を見てふっと息を吐く。

「……でも、プロ引退して無気力になって、ここの校長に住み込みの警備員として拾われて、こうして生活出来てるだけで奇跡な俺には、恋人なんか過ぎた願いだな」

あ……。

自嘲気味に吐き捨てる拳勇さんに、おれは胸がきゅうっと締めつけられる。 

浮かれていたキモチが、現実に引き戻される。

拳勇さんの世捨て人みたいな口調が、まだ胸に残ってるのであろう過去への憧憬が、埋められない人生経験の差が、なんか、ぜんぶ、おれには悔しい。

だって、目の前の拳勇さんはこんなにも素敵な人なのに…!


「……そんなことない! そんなことないですよっ!」

突然のおれの大声に、拳勇さんが広い肩幅をびくつかせる。

「だって、ちゃ、ちゃんとここにいるでしょ!拳勇さんのファンが!」

おれが自分の胸をドンと叩いて主張すると、拳勇さんは失笑する。

「……阿呆。そんなん、軽々しく言うなよ。よけい惨めになる」

「拳勇さん……」

でも、ウソじゃないのに。おれ、ホントに拳勇さんのこと好きなのに。
拳勇さんは遠い目をして、ただの学生であるおれの言葉なんて信用してくれない。

うう……一体どうしたらこの気持ちが伝わるんだろう。

そのとき……考えるより先に、カラダが動いた。

「おれ、本当に拳勇さんのこと好きですってば!!」

おれは勢いのままに──────拳勇さんの頬に、ちゅっと口付けた。

「な……!!?」

目を丸くして驚く拳勇さん。

あ、思わず、キス、しちゃった……。

ちょっと勢いに飲まれすぎた気がしないでもないけど…。

でも、拳勇さんのびっくりした顔ときたら。
まるでカウンターパンチをキメたみたいな爽快な気分だ。
この場合、カウンターキスかな?

「へへ、ど、どうですか……!」

内心ドキドキしながら胸を張る。

「て、てめぇな……おっさん相手にそういうことしてっと、いつか痛い目見るぞ…?」

普段は見れない、ドギマギと慌てる拳勇さんが可愛い。

「へへん、そんな脅し、恐くないですもん…! おれ、拳勇さんのこと、信頼してますから」

こ、これはもしかしてチャンスかもしれない!
普段できないようなこと、このままアタックし続けちゃおっかな…!

(じゃあ、次はもっと大胆に……)

布団の上で胡座をかいてこちらを睨む拳勇さんの前に膝立ちになって、おれは制服のシャツのボタンを外していく。

「お、お前、何してる…?」

ふふふ、拳勇さん、慌ててる慌ててる。

もしかしたらちょっとくらい、おれのこと意識してくれたりしないかな。
そんな甘い望みに取り憑かれて、おれの口は回る。

「ほら、おれのこと恋人にしてくれたら、もうオナニーなんかしなくてもいいんじゃないですか…? 二人だったら出来ること、いっぱいあるし……け、拳勇さんにだったら、おれ、えっちなことされても……いい、し」

ボタンを全て外して、ひらりとシャツのカーテンを両手で開く。
胸元から腹部へと、丸見えになった素肌を目の前の男にアピールする。

その0.2秒後に思ったことは。




(は………恥っっっっっっっず!!!)

……いやいや、なにをしてるんだ、おれ……!?

正気に戻ったけど……好きな人の前で肌見せるって、死ぬほど恥ずかしい!!

拳勇さんは何も言わず、よどんだ眼差しでそんなおれの一挙一動を眺めている。

ああ、顔面が燃えそう…。

(あー、ぅぅー、拳勇さん、内心引いてるよなぁ……)

おれがやってることは、痛々しい空気の中、今更止めた方が恥ずかしい、滑ってもやりきるしかないギャグみたいな稚拙なストリップだ……。

「あは、ははは、ほら、クリスマスイブだし、サンタさんからのクリスマスプレゼントは……おれでーす、みたいな………」

おれはヤケクソ気味にぴらぴらとシャツをはためかせて、まだ荒らされたことのない自分の素肌を拳勇さんに見せびらかす。

(う~~~~~、恥ずかし~~~~~~~~!)

そんな内心を隠してへらへらと笑いながら、顔は真っ赤で滝汗である。

拳勇さんは胡座をかいたまま、おれを見て呆れたように何も言わない。
ただ、その目がどんよりと据わっている。

………沈黙が痛いッ!

(拳勇さん、頼むっ! 罵倒でも失笑でもいいから、なんとか言ってくれ~っ!)

あうう、さすがにやりすぎというか、ここまでする心の準備、足りてなかったというか……。

てか、好きな人の前で、おれ、何してんだろ……。

もう耐えられん…っ。今日はこれで終わろう…っ。

「あ、あの、えっと……こ、ここまでして手ぇ出して来ないなんて、やっぱり拳勇さんは紳士ですね!すごい!天晴れ!オトコの中の漢!ってことで、おれ、そろそろ帰ります……あの、ほんと、ごめんなさ──────」

後悔の念に襲われたおれが釈明しようとしたとき、むっつりと一文字に結ばれていた拳勇さんの口が開いた。


「───────お前、一回痛い目見とくか」



瞬く間にぐるりと視点が回って、おれは目の前の大人に、布団に組み敷かれていた。

「……えっ」

拳勇さんのどんよりとした昏い瞳がおれを見下ろしている。

「そういうことしたらどうなるか、学生のうちに学んどいたほうがいいだろうしな」

低い声が響いたと思うと、拳勇さんは大きな片手でおれの両手を頭上でまとめてしまう。
おれが力を入れても、両腕の自由は奪われてピクリとも動かせない。

「え? え? え? いや、またまた~……ビビらせないでくださいって……」

状況が飲み込めていないおれの問いかけに拳勇さんはニコリともしないで、残った片手でおれの脇腹をするりと撫でた。

「あ…っ、け、拳勇さん…っ!?」 

びくりとおれが反応すると、拳勇さんは大きな手のひらをそのまま胸に這わせてくる。

「んぁっ...!?」

くにくにと乳首を転がされて、変な声が出てしまう。

「あっ、ちょ、う、うそですよね…っ?」

拳勇さんはおれの首筋に鼻を埋めるとくんくんと嗅いでくる。

「甘ったるい匂い、ぷんぷんさせやがって」 

「そ、それはお菓子作ってたから…あ、ああぁっ」

れろぉーっと首を舌でなぞられて、脳がぞくぞくと痺れる。
拳勇さんはおれの鎖骨を食んだまま、片手で器用におれのベルトを外してくる。

「ま、まって…っ、うあっ!」

ベルトに気を取られていると、胸の粒にちゅっと口付けられた。

「ここも甘ったるいな」

「あはぁっ!…ね、ねえ、ほんと、に…っ!? ま、待って、ちょっと待ってください…っ!」

「泣いても喚いても、悪い大人は待っちゃくんねぇんだよ」

拳勇さんが厳つい顔をニヤリと邪悪に歪めて、べろりと舌を出す。

うわ、拳勇さん、すっごいやらしい…。

両手の自由を奪われて好き勝手されているこんな状況なのに、おれはその表情にドキドキしてしまう。

「あ、だ、だめ、です…って…っ、おれ、心の準備が…っ」

拳勇さんはおれをじっと見つめて、不敵な笑みを湛えたまま、乳首に触れる寸前で舌先をちろちろと動かす。

「あぁ? いっちょまえに誘ってきたくせに、ビビったからやめてくださいってかぁ?」

うう、情けないけどそのとおりだ…。
恥ずかしさで、おれは頬が熱くなる。

「ご、ごめんなさい、そうですう……」

あんまりにも拳勇さんに相手にされないから、つい勢いで誘っちゃったけど、さすがにやりすぎだったよな。
いざ手を出されたらこんなふうにビビっちゃうなんて、本当に情けなくて涙目になってしまう。
おれのばかばかばか!

そんなおれを組み敷いていた拳勇さんが、涙目になっているおれを見てふっと息を吐く。

「……ったく、男が泣くくらいなら、最初っからンなことすんじゃねぇよ……」

拳勇さんが、ふう、と息を吐く。
彼は、ついさっきまでの凶暴な雰囲気とは違った、柔和な雰囲気でおれを諭してきた。

あ…なんだ…。

さっきまでの邪悪な表情もセリフも、馬鹿なおれを叱るための演技だったんだとわかる。
おれ、叱られてたんだ…。

「うう~~拳勇さあん……ごめんなさあい」

拳勇さんの言うとおりだ。
きちんと反省しよう。
こういうことは今後、心の準備がきっちり出来てからにしよう。

拳勇さんはそんなおれの瞳を真正面から見つめると、珍しくふっと微笑みかけてくれた。

「そうかそうか、懲りたんならヨシだ。気ィつけて寮まで帰れよ」

「は、はい…ありがとうございます、へへ」

優しい笑顔におれも涙を引っ込めて微笑み返す。

あーあ、やっぱり拳勇さんって大人だなあ。

こんなバカなおれにこうして付き合ってくれるし。

おれも、拳勇さんに釣り合うようにもっとしっかりしなきゃな…。

そう考えた途端、はだけた素肌が恥ずかしくなって、おれはシャツを今すぐ閉じたくなった。

でも、拳勇さんがまだおれの両手をがっしりと片手でまとめあげているから、それが出来ないことに気づく。

「あ、拳勇さん、そろそろ手ぇ離してもらっても…」


ずるんっ。


「え」

一瞬、何をされたかわからなかった。

下半身がスースーするのを感じて目線を下に向けると、スラックスを強引に下げられて、おれのボクサーパンツが丸見えになっていた。

「わ、わぁああっ!?」

な、なんで!?

恥ずかしさにジタバタするも、強い力で拘束された両手は動かせないし、足首まで下げられたスラックスが邪魔をして両足も満足にバタつかせられない。

慌てて拳勇さんを見ると、さっきまでの微笑みのまま。
だけど、こめかみにはピキピキと血管を浮かべていて。

「け、拳勇さん…?」

ムキムキでコワモテの、憧れの中年男性はおれに言い放つ。




「───────なんて、帰してもらえるわきゃねえだろ。てめぇふざけんてのか? おん?」

それはあのときの、不良と対峙したときと同じ、冷徹さと凶暴さを交ぜた瞳。

逆光になった仄暗い表情と、相手を震え上がらせる低い声。

ギラついた相貌に、オオカミに襲われたひつじのように、喉の奥が、ヒッと鳴る。

「俺ぁな、てめぇみてえなアホにからかわれンのが、一番、腹立つんだよ……ッ!」

挑発するようにべろんと舌を出して、拳勇さんがおれの胸元に顔を寄せていく。

「あ、あ、あの、ま、また嘘ですよね……!? 冗談ですよね!? ちょ、ご、ご、ごめんなさ、ま、まって…っ!」

さっきは寸止めしてくれた。
でも、今の豹変した拳勇さんはもう、それを待ってはくれなかった。

「美味そうな乳首しやがって……たっぷり味見してやるよ」

ねろぉ…っと、躊躇なく乳首に熱い舌を押し当ててくる。

「あ、あ……っ!」

制止する間もくれず、拳勇さんは顔を振って、肉厚の熱い舌で上下に粒を舐め上げた。

「んあぁあぁ…っ!」

ぞくぞくと快感が押し寄せてきて、言葉にならない喘ぎが漏れる。

「あっ、うぁっ、ひうっ!」

 「あー美味ぇ……」

れろんれろん、れろんれろん……っ。

本当に味見するみたいに、何度もねちっこく粒を舐め回される。
片方は指できゅうきゅうと甘く摘まれて、おれは体をびくつかせて感じた。

なにこれ、なにこれ…っ!

「ひゃあぁっ!やあぁっ、そこ…っあっあっ」

「舌触りが変わってきたな。おっさんに舐められて乳首カチカチにしやがって変態かよ、てめぇ」

じゅるるるるっ!

「ふぁああっ!」

乳輪ごと食まれて、口内で粒を吸い回される。
もうひとつの粒もきゅーっと指で引っ張られて、おれは背中を反り返らせた。

拳勇さんが口を離すと、ドーム状の唾液の糸が解けて、真っ赤に腫れてイチゴのようになったおれの乳首が出てくる。

「やぁ…っ、けんゆうさ…っ、おれ、ちくび、だめなんですって…っ」

「あぁ? てらてら光って、新種の果物みてぇだな。おら、こっちも味見してやるよ」

指で弄んでいた方の乳首もべろんとされて、おれは喘ぐ。

「やだぁ…っ、もう、ちくび食べないで……うぁあぁっ!」

ちゅぱ、じゅるるっ! 
レロレロレロレロ、べろん、べろん…っ!

おれの制止なんてお構い無しに、拳勇さんは桃色の乳首にむしゃぶりついてきた。

舐めては吸って、噛んでは弾いて。
強引に、卑猥に貪られる。

喘ぎ散らして身体を跳ねさせるおれの痴態を目で射抜きながら、獣欲を露にした拳勇さんはそれを繰り返す。

「あっあっあっやあぁっ! や、だっ、あんっ、ああっ、んんっ、はあぁん…っ!」

(こ、こんなの、気持ちよすぎて、おかしくなる…っ!)

「てめぇよ、美味そうな乳、自分で見せつけてきといて、いざ食われたらヤダじゃねえんだよ」

両手は押さえつけられたまま、突き出した舌でチロチロと腫れた粒をなじりながら、拳勇さんは凄んでくる。

「はぁんっ、あんっ、それはっ、ご、ごめんなさ…あぁっ!」

片方の粒を指先でカリカリされて、言葉が途切れる。

胸を突き出したタイミングで粒を甘く吸い上げられて、目尻に涙が滲んだ。

「感じてんだろ? おん?」

「はぁあん…っ! ち、ちが……っ」

拳勇さんのいやらしい舌と指。
いつもの無骨な態度からは想像できないオスの性欲をぶつけられて、それは冷徹なセリフや獰猛な表情と相まっておれの中で背徳的な快楽を生み出す。

「ちがわねぇよ。その証拠にてめぇ、チンポびんびんじゃねえか」

「わぁあっ!?」

おれのボクサーパンツは今にも爆発しそうなくらい硬くテントを張っていて。
汁が滲むその部分を拳勇さんが大きな手のひらで握りこんできた。

「そ、そこは触らないで…っ」

敏感な部分に与えられる刺激におれは焦る。
拳勇さんはあろうことか、ボクサーパンツ越しにおれの勃起をごしごしとコスってきた。

「嘘つけ、触って欲しいんだろ? おら、チンポしごきながら木苺みてぇな乳首もねぶり倒してやる」

止める間もなく、ボクサーパンツをズリ下ろされる。
すっかり硬くなって天を仰いだおれの息子が、ぶるんっと跳ね上がってきた。

「やあっやだあっ!」

拳勇さんは、べろべろと乳首をねぶりながら、ごしごしと骨ばった手でチンポをシゴいてくる…っ。

自由を奪われたまま卑猥な箇所をふたつ同時に責められて、おれは行き場のない快楽にガクガクと震えた。

「あ、あ、こんなの、むりぃ、ひううう、けんゆうさぁんっ、あっあっだめっ、だめだってばぁ……んぁあっ!」

おれは首を振りながら涙目で抗議する。

「おうおう、甘ぇなあ! おら見ろよ、唾液でべっとべとだぞぉ? おお?」

「はひっ、はひっ、ひぅう……っ!」

おれが止めると拳勇さんはむしろ挑発するように乳首をいやらしく貪り、股間をシゴく手の動きを早くする。

「あ、あ、あ、いっちゃぅ、いっちゃぃます…っ!」

「おらイケ、泣きながらイケ…ッ!」

目の端からポロリと涙が流れる。
歯を食いしばって耐えてるけど、もう無理……!

「あぐっ、うううっ! でちゃっ、でるっ、でちゃうっ!あっあっあっあっあっあっあっあぁあぁあっ!!」

びゅくんっ! びゅるるるっ!!

おれのチンポが我慢できずに、あっけなく白濁を天に噴射する。

腰を浮かせて、一層激しくおれは痙攣して。

そのたびに、びゅるびゅると弧を描いておれの腹筋をぼたぼたと汚す、ミルクのシャワー。

「はぁっ、はぁ、はぁあ…っ」

射精の余韻が抜けずに、腰をびくびくさせておれは息を吐いた。

涙と精液で汚れたおれの顔を、拳勇さんがじっと見てくる。

「………………」

すると拳勇さんはようやく、押さえていたおれの両手を解く。
依然として険しい顔つきの彼の名前を、なんとか呼ぼうとして……。

「けんゆう、さ……んむっ」

だけど息も絶え絶えなおれの唇は、拳勇さんがキスで塞がれた。

驚いている間にぬるりと大きな舌が口内をまさぐってきて、おれは彼の胸板に手を添えるしかできない。

「んむ、ん、んん…っ!」

「…舌も甘ぇじゃねぇか。どこもかしこも、本当に砂糖みてぇ」

深いキスが終わったかと思うと、また乱暴に口を塞がれる。
唇の端から唾液がだらだら流れてもお構い無しに拳勇さんは舌を吸ってくる。

息が苦しくて顔を背けてキスを拒もうとしても、顎をぐっと抑えられて何度も舌を入れられた。

「はっ、はふっ、ひぃん」

「おらァ、もっと舌出せや…っ」

執拗なディープキス。送り込まれる拳勇さんの唾液で溺れちゃいそうなくらい舌を絡められる。

快楽に溺れていると、ゴリ……ッと、お尻に硬いモノが押し当てられた。

「…………っ!?」

それがなんなのか、男の本能で理解する。

「んやぁ、んんっ、んううぅ」
胸板をドンドン叩くけど、強欲なキスは終わらない。

その間にも、ソレはぐいぐいとおれのナカに入ろうとしてくる。

唇が離れて、唾液まみれの舌を垂らしたまま、拳勇さんが悪そうに口角を上げた。

「ふーっ、ふーっ………俺のこと、餌付けした野良犬かなんかだと思ってたんじゃねえだろうな? ふざけんじゃねえぞゴラ……ッ!」

「………っ」

拳勇さん、本気だ。

本気でおれのこと、犯すつもりだ。

「あ、うう……っ」

ゴリゴリと押し付けられる硬い肉棒と。

目の前で凶悪に興奮している、大人の男から……逃げられるはず、ない。

おれは歯を食いしばって、現実を直視する。

今から、拳勇さんに、犯されてしまう。

「ひぐ……」

そのことを思うと、生理的な涙が溢れて、それなのに心臓はドクドクと期待するように跳ねた。

「観念したか? じゃ、こっちも食うからな」

(ああ……おれ、初体験、しちゃうんだ…)

おれだってオトコだ。泣いてるだけじゃ情けなさすぎる…っ。

覚悟を、決めなくちゃ。

拳勇さんの鍛えられた厚い胸板にぎゅうとしがみついて、こくりと頷いた。

「…………っ!?」

ふと下を見ると目に入ったのは。

ギンギンと赤黒く膨れ上がっている、とんでもなく野太い、拳勇さんの勃起チンポ。

ズル剥けのそれはいやらしく血管が浮き出ていて、我慢できないようにひくひくと先端から粘っこい汁を垂らしている…。

(こ、こんな長くて太い…っ、凶器みたいなのが、おれに入ってくるの…!?)

自分のモノと比べても明らかに違う、信じられない大きさのソレが、ぐっ、と、おれの穴をこじあけていく。

「あ、あ、うああ……っ!」

硬い、デカい、熱い、太い、長い……っ!

様々な感情が、一瞬の間に弾けて消えていく。

全てを受け入れる寸前、おれの頭を拳勇さんがそっと撫でた━━━━━。





「んぁあんっ!あんっ!ひうううっ! あっあっあぁああっ!」

容赦なく、ばちゅんばちゅんと腰を押しつけられて、そのたびにおれのナカがぐちゃぐちゃにかき混ぜられる。

その衝撃と快感は想像を遥かに超えていて、おれは覚悟なんて甘すぎたことを思い知る。

「おらっ! どうだっ? てめぇのマンコ、ぶってぇチンポで食われちまってんぞ…っ!」

どちゅっ! どちゅっ! どちゅっ!

正常位で力強く腰を振りながら、拳勇さんがおれを冷徹に見下ろしてくる。

「はひっ! うぁあっ! けんゆうさっ、はげしっ、あっあっぁあっ!?」

どちゅんっ! ぐちゅっ! どちゅんっ!

熱々のデカチンに奥深くまで抉られて、為す術なく揺さぶられる。

「このマンコ、なかなか美味ぇじゃねぇかよ…っ! 俺ぁマナーとか知らねえからよっ、ガッツかせてもらうぜぇ? オラッ!」

ばちゅんっ! ばちゅんっ!

ニヤリと凶悪な笑みで拳勇さんはさらにチンポを掘り進めてくる。

「あっあっあっあっ! うああっ! やばいっ! あぁあっ、また、いくっ! いっちゃうっ! うあぁぁああっ!」

おれは両手首を掴まれてガツガツと揺さぶられながら、あっけなく自らのチンポをぶるんぶるん震わせて吐精してしまう。

びゅるるっ! びゅくんっ!

「またチンポからクリーム噴き出しやがって……おい、トンでんじゃねえぞ」

ぐったりと意識を失いかけたおれのカラダを強引に起こして、対面座位で下から突き上げられる。




ぐちゅっ! どすっ! ずぽっ! ぐぽっ!

「…あっ、あううっ、はぁあん…っ!♡」

おれは拳勇さんの首に手を回してしがみつき、ズプズプと突き入れられるデカチンに耐える。

「まだまだ……腹いっぱいにはならねぇからな」

不敵にニヤついた彼はおれの胸に飛び散った精液を指で掬うと、ツンと腫れた乳首に塗りつけた。

「あっ、ぁ、そこ、なん、で…っ!」

「イチゴとクリーム、どっちも味わいたいからに決まってんだろ」

精液まみれの乳首はとても卑猥で……拳勇さんはべろべろと野性的にそこを舐め始める。

「ひぅ、だ、だめっ、そこっ、かんじすぎちゃうぅ…っ!」

べろんべろんと丹念にクリームを舐めとるように、いやしく舌の腹で乳首を犯されておれは喘ぎまくった。

「あーこりゃ……ドスケベな味だぜ……とまんねぇ……」

「やぁっ!やぁっ♡ あんっ!あんっ!あんっ!♡♡」

ずんずんと腰を突き上げながら、絶え間なく粒をべろべろと蹂躙される。

「はぁあんっ!あぁあっ!やぁあっ!」

快感に突き出した胸の先端を交互にじゅうじゅうと吸われて、おれは泣きじゃくりながら顎を上向けた。

「おらっ!おらっ!俺のチンポの味も、たっぷりわからせてやる……っ!」

「あっあっけんゆうさっ、そんなにしたらっ、あっあっあっあっおれっ、また…っ!」

ガツガツと激しさを増したピストンに、もはやおれのチンポは突かれるたびにぴゅくぴゅくと精を吐き出している。

「何回でもイケやッ! おらっ! 日照ったおっさんからかうとどうなるか、わかったろ……っ!!」

野太いチンポがばちゅんっ!と突き上げられる。
さらにぶくんと膨れ上がった、凶暴なデカチンが、スパートをかけてナカを抉った。

「おらっ! ナカに射精すぞっ! 欲しかったんだろこれが! 濃いぃオス汁、泣いて味わえや……っ!」

どぷっ! どびゅるるるっ! どぷっどぷどぷどぷっ!!

「あ、あ、かはぁあぁっ!♡♡」

おれがイったと同時に、おれの奥に勢いよく拳勇さんも射精する。

ああ、熱いのが流れ込んでくる…っ。

大量の濃い精液がおれのナカを染めて、あまりの多さに穴から溢れ出してこぼれた…………。

「はひ、ひぃ……っ、 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………」

息も絶え絶えのなか。

「けん、ゆう、さん……………………すき………」

おれは、うわ言のように呟いた。

その時の拳勇さんがどんな表情をしてたのかはわからない。

けど。

「てめぇ、まだンなこと言ってんのか。くそ…………なら、まだまだわからせてやんねぇとな」

拳勇さんにしがみついたまま、おれはぐったりとカラダを委ねる……。



その後も、拳勇さんはおれを犯し続けた。

絶倫っていうのかな。
バックで貫かれたり、騎乗位で泣かされたり、寝バックで突き入れられて……。
おれはそのたびに何度も絶頂を味わわされて、自分自身から白濁を垂らし続けた。

「んむっ、じゅぽっ、んむ…っ」

胡座をかいている拳勇さんの滾るデカチンを、おれはうずくまって、ぐぽっ、ぐぽっ、と口いっぱいに頬張って奉仕する。

「おいコラ、しっかり舌も使えや。口に入り切らねえサオは両手でシゴけ…ッ」

「ふぁい……っ♡♡」

中出しされたお尻からトロトロと白濁を垂らしながら、おれは血管の浮き出た浅黒い巨根をぺろぺろちゅうちゅうと舐めしゃぶる。

先っぽから苦い汁が溢れてきて、頑張って舐めて吸うと、拳勇さんがおれの頭に手のひらを乗せた。

「ぐぅ……チンポ汁、口に出してやる…ぜんぶ飲めよ、ごちそうだぞ……っ」

「んうぅ…っ!」

どくんっ! どぷどぷどぷっ! びゅるるるるるっ!

口いっぱいにゴプゴプと拳勇さんのチンポ汁が流れんでくる。
もう何発もおれのナカに出したあとなのに、喉に引っかかるくらい濃厚な精液だ……。

うええ、苦くて、しょっぱい………。
でも、これが拳勇さんの味なんだ…。

「んむ…っ、んんっ、んぐっ!?」

でも、射精の勢いが強すぎて、じゅぽん…っと、まだバキバキに反り返ってるチンポが口から抜けて、えっちな白濁がおれの顔にもぶっかかる。

「おーおー、顔にかかったクリーム、もったいねえから全部舐めとれよ。おっさんチンポから出た生精液クリームだぞ」

「ふえぇ……ひゃい……っ♡♡ 」

おれは指で顔にかかったドロドロの精液を指ですくって口に含む。

「せいぜいその味に慣れとけよ、口にもケツにも、こっからまだまだ飲まされるんだからな」

拳勇さんは芯の通った萎えないデカチンでおれの膨らんだ頬をべちべちと叩いてくる。

「ひゃい……んっんっ、拳勇さんの、ちんぽじる、おいひぃ、です……っ♡」

ごっくんしたあとの口内をあーんと見せつけると、拳勇さんは満足そうにニヤついた。

「よしよし……………んじゃ、おかわりくれてやる」

「ふぁあ………っ!」

そしてまた、おれは布団に押し倒され、ずぶずぶと拳勇さんの巨根を受け入れるのだった………。

こんなの、だめだ。

セックスの気持ちよさが、いけない快楽が、おれ……。

嫌でも「わかっちゃう」よ……。












━━━━━━━━━拳勇さんに抱かれたクリスマスイブから、一週間が経った。

おれは大きな包みを持って、誰もいない夜の校舎の廊下を歩いていた。

『これで"わかった"だろ。もうここには来んな』

あのとき、最後にそうおれに告げて、拳勇さんは扉を閉めた。

その言葉の意味くらい、おれにだってわかってる。




でも。

おれは、『宿直室』と書かれた扉の前に立つと、コンコンとノックする。


「────────あん、誰だ?」

中から胡乱な声が聞こえて、おれはドアノブを回す。

持っている包みの中には、作ったばかりの年越しケーキが入っている。

甘党の拳勇さんに、おれがしてあげられる唯一のこと。



「こんばんは、拳勇さん」

扉を開けて入ってきたおれの顔を見て、拳勇さんが驚きに表情をゆがめる。

「てめえ、どうして……」




ごめんなさい、せっかく身をもって大人の恐さを教えてくれたのに。

それでも。

おれは、あなたのことが好きだから。

なにも変わらずに、拳勇さんは、おれにとってのヒーローだから。




「……へへ、また"甘いの"、届けに来たんですよ───────」

持ってきたケーキの箱を床に置いて、おれはシャツのボタンに手をかける。

いちご、生クリーム、スポンジ、それと……。

甘いものが大好きな拳勇さんが、本当に食べたいもの、おれ、ちゃんと用意してきたんだよ。


はらりと、シャツを床に落とす。


「ねえ、拳勇さん─────どれが食べたいですか?」


そうやっておれは、また。

何も"わかってないフリ"をして、目の前の大好きな人に微笑んだ。


【END】
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