1 / 2
ドッキリ
しおりを挟む
「それじゃ、また」 俺はそう言って彼女に手を振る。
周りに人がいない事を確認して、彼女の家からそっと出ていく。
芸人としてそこそこ知名度のある俺は、常に周囲の目を気にしながら行動しなくてはいけない。人気者はそれなりに大変だ。
タクシーに乗って自宅へと到着する。
鍵を回し家に入ると、すぐさまソファに寝そべる。今日も劇場で何本かネタを披露したので体は疲れているようだ。
三十分くらいテレビを見たところで、寝巻きに着替えようと押し入れを開ける。
すると、ハンガーにかけてある衣服の影に見知らぬオッサンがいることに気づいた。
「うわぁっ!!」
俺は大声をあげ背中から倒れこむ。
「あ、あなた誰ですか?」 尻もちをつき茫然としたまま聞くが、オッサンから返事は無い。
しばらくして事の重大さに気がついた俺は、警察に連絡しようとスマホを探す。
するとそこでドタバタと足音が聞こえ、カメラマンと音声さんが部屋に入ってきた。
「ドッキリです」
数秒たってそれを理解した俺は、「ふざけんなよぉ、もう」とカメラにむかって怒る。
「どうでした?」
「いやこんなの怖すぎますわぁ。いい加減にして下さいよ」 俺は安堵した表情で答える。
隠しカメラを回収し無事撮影が終わったらしき後、「いい画が撮れました」とスタッフは満足そうにして帰っていった。
まったく、タチの悪いドッキリを考えたものだ。まぁテレビ的に面白いのならそれはそれで良いが。
今度こそ寝巻きに着替えた俺は、部屋の電気を消して毛布にくるまる。
が数分後、なかなか眠れない俺は何か人の気配があることに気づいた。多分ベッドの下だ。
直感的にまだドッキリが続いていることを悟りつつも、いちおうベッドの下を覗く。
暗くてよく見えなかったが案の定、人の形をしたものがうずくまっていた。
「どわぁ!!」と少しオーバー気味のリアクションをとる。
そしてわざとらしく動揺しながら部屋の明かりをつける。
「もう、なんなんですかぁ」
するとベッドの下から髪の長い女性が出てきた。しかし、今度は見覚えのある顔だ。
「あれ、おまえ優子か?」 それは久々に会う元カノだった。
「あなた、相変わらず窓の鍵開けたままなのね」
優子はそう言って包丁を持った右手を振りかぶり、こちらへ近づいてくる。
“グサッ”
咄嗟のことで反応できず、俺の体には包丁が突き刺さった。
俺はその場に仰向けで倒れる。
「ちょっ、待っ、、」
「いったいあなたの下積み時代に面倒みてあげたのはどこの誰よ!! それなのに、ちょっと売れたからって私を捨ててあんな女と……。絶対に許さない」
優子は大声をあげ涙を流しながら、何度も何度も俺の体を突き刺した。
床には大量の赤い血が流れた。
ー編集室ー
「うわ、なんだこれ!!」
「どうした。何か問題でもあったのか?」
「いやぁ、この角度のカメラにね。ほら、ベッドの下からこっちを見つめる女性が映ってるんですよ」
周りに人がいない事を確認して、彼女の家からそっと出ていく。
芸人としてそこそこ知名度のある俺は、常に周囲の目を気にしながら行動しなくてはいけない。人気者はそれなりに大変だ。
タクシーに乗って自宅へと到着する。
鍵を回し家に入ると、すぐさまソファに寝そべる。今日も劇場で何本かネタを披露したので体は疲れているようだ。
三十分くらいテレビを見たところで、寝巻きに着替えようと押し入れを開ける。
すると、ハンガーにかけてある衣服の影に見知らぬオッサンがいることに気づいた。
「うわぁっ!!」
俺は大声をあげ背中から倒れこむ。
「あ、あなた誰ですか?」 尻もちをつき茫然としたまま聞くが、オッサンから返事は無い。
しばらくして事の重大さに気がついた俺は、警察に連絡しようとスマホを探す。
するとそこでドタバタと足音が聞こえ、カメラマンと音声さんが部屋に入ってきた。
「ドッキリです」
数秒たってそれを理解した俺は、「ふざけんなよぉ、もう」とカメラにむかって怒る。
「どうでした?」
「いやこんなの怖すぎますわぁ。いい加減にして下さいよ」 俺は安堵した表情で答える。
隠しカメラを回収し無事撮影が終わったらしき後、「いい画が撮れました」とスタッフは満足そうにして帰っていった。
まったく、タチの悪いドッキリを考えたものだ。まぁテレビ的に面白いのならそれはそれで良いが。
今度こそ寝巻きに着替えた俺は、部屋の電気を消して毛布にくるまる。
が数分後、なかなか眠れない俺は何か人の気配があることに気づいた。多分ベッドの下だ。
直感的にまだドッキリが続いていることを悟りつつも、いちおうベッドの下を覗く。
暗くてよく見えなかったが案の定、人の形をしたものがうずくまっていた。
「どわぁ!!」と少しオーバー気味のリアクションをとる。
そしてわざとらしく動揺しながら部屋の明かりをつける。
「もう、なんなんですかぁ」
するとベッドの下から髪の長い女性が出てきた。しかし、今度は見覚えのある顔だ。
「あれ、おまえ優子か?」 それは久々に会う元カノだった。
「あなた、相変わらず窓の鍵開けたままなのね」
優子はそう言って包丁を持った右手を振りかぶり、こちらへ近づいてくる。
“グサッ”
咄嗟のことで反応できず、俺の体には包丁が突き刺さった。
俺はその場に仰向けで倒れる。
「ちょっ、待っ、、」
「いったいあなたの下積み時代に面倒みてあげたのはどこの誰よ!! それなのに、ちょっと売れたからって私を捨ててあんな女と……。絶対に許さない」
優子は大声をあげ涙を流しながら、何度も何度も俺の体を突き刺した。
床には大量の赤い血が流れた。
ー編集室ー
「うわ、なんだこれ!!」
「どうした。何か問題でもあったのか?」
「いやぁ、この角度のカメラにね。ほら、ベッドの下からこっちを見つめる女性が映ってるんですよ」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理なギャグが香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる