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ショタコンおじさんが少年達と冒険します
1章 第01話 主人公が来なかった世界線
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この物語は、あり得たかもしれない悲劇の物語である。
フランツ、レイ、リカード、ダイの四人は、田舎村近くの洞窟に巣くっているというゴブリンの討伐に向かう。だが、洞窟に向かう途中の荒野でゴブリン以上の強力な魔物に遭遇してしまった。
「シャーッ!」
奇声とともに突然岩陰から襲いかかってきた毛むくじゃらの魔物は、ゆうに2mを超えていた。一番小柄なリカードと比較すると、1.5倍ほどの大きさがあった。いや、身体の太さで言えば四人合わせたのと同じくらいの巨漢である。
そんな巨漢の魔物が、一番前を歩いていたリカードに素早い動きで襲いかかる。
「うわっ!」
リカードは驚きの声とともに回避を試みるが、奇襲に反応が遅れ、まともにその攻撃を受けてしまう。魔物の手には長く鋭い爪が生えており、その爪がリカードの身体を引き裂く。
まだレベルも低く、装備もレザージャケットと貧弱なものだったこともあり、魔物の腕の一振りで無残に切り裂かれたその胸からは鮮血が溢れ出した。
胸を数センチの深さまで引き裂かれたリカードは、一撃でそのまま仰向けに倒れ、地面に倒れ伏せる。
「こほっ!」
肺にまで達したその一撃の影響から、口から吐血するリカード。出血多量の影響もあり、全身が激しく痙攣していた。
「な、何!?」
残りの三人は慌てて武器を抜いて構えるが、魔物は休む暇なくフランツへと襲いかかる。リカードを一撃で瀕死へと追い込んだ強力な爪がフランツへ迫るものの、なんとかシールドを使って致命傷は免れる。
(ヤバイヤバイヤバイ、いきなり過ぎて反応できなかった! 早くリカードを回復してやらないと死んじまう!)
ダイは慌ててリカードの側に行く。激しく痙攣するリカードはすでに白目を剥いており、早くなんとかしないと死んでしまいそうだった。ダイは慌ててヒールの魔法をかける。
そんな中でもフランツと魔物の戦いは続いており、必死に剣と盾を駆使して致命傷を避けるフランツ。だが、その全身は切り刻まれてしまい、全身から流血してしまっていた。
「エアリアルスラッシュ!」
レイはリカードのことはダイに任せ、気持ちを切り替えて魔物に渾身の力で風の魔法を叩きつける。一瞬、その攻撃で動きを止めた魔物だったが、自分を切り裂いたレイにターゲットを切り替えて鋭い爪を振るう。
メイジであるレイは白兵戦には長けておらず、それを避ける技術がなかったため、なすすべもなくその一撃を受ける。
「あう!」
ローブ姿のレイは体重も軽く、勢いよくくるくると回転しながら地面に倒れ伏せる。履いていたサンダルもその勢いで脱げ落ちてしまっていた。
後に残ったのは傷だらけになりながら何とか立っているフランツと、リカードを必死に回復させているダイ。そして傷は受けているものの、まだ余裕のある魔物。もはや、勝敗は目に見えて明らかであった。
(ダメだ。逃げないと全滅しちまう。誰か、あの魔物に対抗できるやつを探しに行かないと)
幸い、まだ神殿のあった街からそこまで遠く離れてはいない。さすがに街まで戻る時間はないだろうが、運が良ければ同じように依頼を受けて旅立った冒険者を見つけることができるかもしれない。そう思って逃げ出そうとするダイだったのだが……。
「ガァァァァァ!」
「うわぁぁぁぁ!」
魔物が大きく吠えると、身体を回転させてフランツに襲いかかる。両手の鋭い爪がフランツを襲うと、手に持っていた盾も吹き飛ばされ、全身を斬り刻まれる。
「がはっ!」
フランツは大きく血を吐くと、そのまま仰向けに地面へ倒れ込んでしまう。
「あっ……あっ……」
大量の血を流し、地面で激しく痙攣するフランツ。明らかに致命傷で、ダイはもう助からないことを直感してしまった。
「うわー!」
ダイはフランツのそんな姿に、なりふり構わず素手で魔物へと殴りかかる。猫又族であるダイも鋭い爪を出すことができたが、白兵戦を学んでいないその攻撃は貧弱なものだった。
当然その攻撃は魔物に届くことはなく、魔物の手刀で腹を貫かれてしまう。
「がっ……」
内蔵を貫かれたダイは大きくビクンと痙攣すると、そのまま地面に座り込むように倒れ込む。魔物はそんなダイの身体の上に馬乗りになると、その鋭い牙を肩に食い込ませて噛みちぎる。
「ぎゃあああっ!」
あまりに痛みに絶叫を上げるダイ。そのショックで失禁すると、力尽きた。
その後、フランツ、レイ、リカードも魔物に捕食されてしまう。肉食の魔物からすれば、まだこどもの四人の肉はさぞかし柔らかく旨いものだったのだろう。初めて冒険に旅立った少年達は夢破れ、ただ魔物の食事にされたのであった。
フランツ、レイ、リカード、ダイの四人は、田舎村近くの洞窟に巣くっているというゴブリンの討伐に向かう。だが、洞窟に向かう途中の荒野でゴブリン以上の強力な魔物に遭遇してしまった。
「シャーッ!」
奇声とともに突然岩陰から襲いかかってきた毛むくじゃらの魔物は、ゆうに2mを超えていた。一番小柄なリカードと比較すると、1.5倍ほどの大きさがあった。いや、身体の太さで言えば四人合わせたのと同じくらいの巨漢である。
そんな巨漢の魔物が、一番前を歩いていたリカードに素早い動きで襲いかかる。
「うわっ!」
リカードは驚きの声とともに回避を試みるが、奇襲に反応が遅れ、まともにその攻撃を受けてしまう。魔物の手には長く鋭い爪が生えており、その爪がリカードの身体を引き裂く。
まだレベルも低く、装備もレザージャケットと貧弱なものだったこともあり、魔物の腕の一振りで無残に切り裂かれたその胸からは鮮血が溢れ出した。
胸を数センチの深さまで引き裂かれたリカードは、一撃でそのまま仰向けに倒れ、地面に倒れ伏せる。
「こほっ!」
肺にまで達したその一撃の影響から、口から吐血するリカード。出血多量の影響もあり、全身が激しく痙攣していた。
「な、何!?」
残りの三人は慌てて武器を抜いて構えるが、魔物は休む暇なくフランツへと襲いかかる。リカードを一撃で瀕死へと追い込んだ強力な爪がフランツへ迫るものの、なんとかシールドを使って致命傷は免れる。
(ヤバイヤバイヤバイ、いきなり過ぎて反応できなかった! 早くリカードを回復してやらないと死んじまう!)
ダイは慌ててリカードの側に行く。激しく痙攣するリカードはすでに白目を剥いており、早くなんとかしないと死んでしまいそうだった。ダイは慌ててヒールの魔法をかける。
そんな中でもフランツと魔物の戦いは続いており、必死に剣と盾を駆使して致命傷を避けるフランツ。だが、その全身は切り刻まれてしまい、全身から流血してしまっていた。
「エアリアルスラッシュ!」
レイはリカードのことはダイに任せ、気持ちを切り替えて魔物に渾身の力で風の魔法を叩きつける。一瞬、その攻撃で動きを止めた魔物だったが、自分を切り裂いたレイにターゲットを切り替えて鋭い爪を振るう。
メイジであるレイは白兵戦には長けておらず、それを避ける技術がなかったため、なすすべもなくその一撃を受ける。
「あう!」
ローブ姿のレイは体重も軽く、勢いよくくるくると回転しながら地面に倒れ伏せる。履いていたサンダルもその勢いで脱げ落ちてしまっていた。
後に残ったのは傷だらけになりながら何とか立っているフランツと、リカードを必死に回復させているダイ。そして傷は受けているものの、まだ余裕のある魔物。もはや、勝敗は目に見えて明らかであった。
(ダメだ。逃げないと全滅しちまう。誰か、あの魔物に対抗できるやつを探しに行かないと)
幸い、まだ神殿のあった街からそこまで遠く離れてはいない。さすがに街まで戻る時間はないだろうが、運が良ければ同じように依頼を受けて旅立った冒険者を見つけることができるかもしれない。そう思って逃げ出そうとするダイだったのだが……。
「ガァァァァァ!」
「うわぁぁぁぁ!」
魔物が大きく吠えると、身体を回転させてフランツに襲いかかる。両手の鋭い爪がフランツを襲うと、手に持っていた盾も吹き飛ばされ、全身を斬り刻まれる。
「がはっ!」
フランツは大きく血を吐くと、そのまま仰向けに地面へ倒れ込んでしまう。
「あっ……あっ……」
大量の血を流し、地面で激しく痙攣するフランツ。明らかに致命傷で、ダイはもう助からないことを直感してしまった。
「うわー!」
ダイはフランツのそんな姿に、なりふり構わず素手で魔物へと殴りかかる。猫又族であるダイも鋭い爪を出すことができたが、白兵戦を学んでいないその攻撃は貧弱なものだった。
当然その攻撃は魔物に届くことはなく、魔物の手刀で腹を貫かれてしまう。
「がっ……」
内蔵を貫かれたダイは大きくビクンと痙攣すると、そのまま地面に座り込むように倒れ込む。魔物はそんなダイの身体の上に馬乗りになると、その鋭い牙を肩に食い込ませて噛みちぎる。
「ぎゃあああっ!」
あまりに痛みに絶叫を上げるダイ。そのショックで失禁すると、力尽きた。
その後、フランツ、レイ、リカードも魔物に捕食されてしまう。肉食の魔物からすれば、まだこどもの四人の肉はさぞかし柔らかく旨いものだったのだろう。初めて冒険に旅立った少年達は夢破れ、ただ魔物の食事にされたのであった。
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