2 / 29
[2] 初戦闘
しおりを挟む
3人で会うのはだいたい1か月ぶりでなんだかひどくなつかしい。
そのまま話しこみそうになったけど「ゲームの中なんだからもっといろいろやろうよ」というクレハの提案で街の外に出て戦ってみることになった。
いや違う、その前に街をうろついて買い物をしようということになったんだった。
1人500Bずつ持ってたから3人合わせればなにかいい装備が買えるかもしれなかったけど、真剣に攻略してるわけでもないのでやめておいた。
私はおいしそうなりんごを見つけたからそれを買った。
「なんでそんなの買ってるんだ」と言われたけど結局2人だって喜んで食べてた。
2人は相談して薬草やらなんやらを買いそろえていた。そういうのを買うんだったと私も後になって気づいた。
でもまああのりんごだって本物みたいにおいしかったしよかったと思う。
繰り返しになるけど2人だって食べてたことだし。
準備を整えて今度こそ街の外に出た。
遠くまでよく見える背の低い草原が広がっていて、涼しい風が吹いていた。街道を外れればモンスターと遭遇できるらしい。
最初に出くわしたのは緑色をしたゼリーみたいなので名前はグリーンスライム。クレハによればザコ敵の代表みたいなやつとのことだ。
一番槍もらったと私は駆け出したつもりだったのだけれど気づけばスライムを通り過ぎていた。
思ったよりこの体はよく動くらしい。不思議そうにしてる私をクレハが笑ってた、覚えてろ。
今度は慎重に歩いて接近するとスライムに斬りかかった。ぽよんとした感触。ダメージは低い。
次に燈架が大剣を振りかぶったけれど重さに慣れていないせいか攻撃は大きく外れた。
最後に私と燈架が横にどいてからクレハが「ファイアボール」と唱えると杖の先から火の玉が撃ち出されて見事にスライムにぶつかると弾け飛んだ。
私と燈架が「このゲーム、武器で攻撃するのむずかしいね」と話していると、クレハが「2人ともなんで魔法使わないの?」と言ってくる。
「魔法使いじゃないからよ」と私が言い返せば、「魔法使いじゃなくても1つか2つ覚えてるはずだよ。チュートリアルで言ってたもん」とさらに言い返された。
燈架は言われて思い出したようで「そう言えばそんなのがあった気がするな」と言っていた。
私は「え、ほんとに? 私のチュートリアルだとなかったよ。なんかおかしいのかな?」と言っておいた。
ステータスをよく見てみれば私も1つ魔法が使えて、「ウインドエッジ」と唱えれば双剣がびゅんびゅんと風の刃を帯びるようになった。風切り音がしゅぱしゅぱ鳴って実にかっこいい。
これはいいと双剣を振り回してたら「危ないから人に向けちゃだめだからね」とクレハが言ってきた。そんなことするわけないのに私のことをなんだと思ってるのか、こいつ年下の癖に。
ともあれ魔法の使い方を覚えて2戦目突入。敵は同じくグリーンスライム。
通り過ぎないようにいい感じに調節して斬りかかった。
手ごたえあり。グリーンスライムのHPが一気に削れて残り半分になる。
つづけて燈架が大剣を振り下ろせば、魔法で筋力を強化したおかげで狙いはばっちり、緑色のゼリーをずんばらりと両断した。
なるほどこれはれっきとしたザコ敵で、それからこのゲームおもしろいかもとこの時思った。
その後はグリーンスライムやら目つきの悪いブラックウルフやらを10匹ほど倒していった。
自分の体じゃないみたいにすぱすぱ動けるのが楽しい。いや実際、自分の体じゃないのかな。
何度かウインドエッジをかけなおしていたらMPがなくなっていた。
クレハ情報ではMPは休むと回復する、あとMPを回復できるアイテムもあるけど値段が高いとのこと。
燈架もMPが残り少なくなっていたからこの日はそれでお開きにしようということになった。
明日も会う約束をして別れる。まあ約束してもしなくてもクレハとはどうせリアルで会うんだけど。
そのまま話しこみそうになったけど「ゲームの中なんだからもっといろいろやろうよ」というクレハの提案で街の外に出て戦ってみることになった。
いや違う、その前に街をうろついて買い物をしようということになったんだった。
1人500Bずつ持ってたから3人合わせればなにかいい装備が買えるかもしれなかったけど、真剣に攻略してるわけでもないのでやめておいた。
私はおいしそうなりんごを見つけたからそれを買った。
「なんでそんなの買ってるんだ」と言われたけど結局2人だって喜んで食べてた。
2人は相談して薬草やらなんやらを買いそろえていた。そういうのを買うんだったと私も後になって気づいた。
でもまああのりんごだって本物みたいにおいしかったしよかったと思う。
繰り返しになるけど2人だって食べてたことだし。
準備を整えて今度こそ街の外に出た。
遠くまでよく見える背の低い草原が広がっていて、涼しい風が吹いていた。街道を外れればモンスターと遭遇できるらしい。
最初に出くわしたのは緑色をしたゼリーみたいなので名前はグリーンスライム。クレハによればザコ敵の代表みたいなやつとのことだ。
一番槍もらったと私は駆け出したつもりだったのだけれど気づけばスライムを通り過ぎていた。
思ったよりこの体はよく動くらしい。不思議そうにしてる私をクレハが笑ってた、覚えてろ。
今度は慎重に歩いて接近するとスライムに斬りかかった。ぽよんとした感触。ダメージは低い。
次に燈架が大剣を振りかぶったけれど重さに慣れていないせいか攻撃は大きく外れた。
最後に私と燈架が横にどいてからクレハが「ファイアボール」と唱えると杖の先から火の玉が撃ち出されて見事にスライムにぶつかると弾け飛んだ。
私と燈架が「このゲーム、武器で攻撃するのむずかしいね」と話していると、クレハが「2人ともなんで魔法使わないの?」と言ってくる。
「魔法使いじゃないからよ」と私が言い返せば、「魔法使いじゃなくても1つか2つ覚えてるはずだよ。チュートリアルで言ってたもん」とさらに言い返された。
燈架は言われて思い出したようで「そう言えばそんなのがあった気がするな」と言っていた。
私は「え、ほんとに? 私のチュートリアルだとなかったよ。なんかおかしいのかな?」と言っておいた。
ステータスをよく見てみれば私も1つ魔法が使えて、「ウインドエッジ」と唱えれば双剣がびゅんびゅんと風の刃を帯びるようになった。風切り音がしゅぱしゅぱ鳴って実にかっこいい。
これはいいと双剣を振り回してたら「危ないから人に向けちゃだめだからね」とクレハが言ってきた。そんなことするわけないのに私のことをなんだと思ってるのか、こいつ年下の癖に。
ともあれ魔法の使い方を覚えて2戦目突入。敵は同じくグリーンスライム。
通り過ぎないようにいい感じに調節して斬りかかった。
手ごたえあり。グリーンスライムのHPが一気に削れて残り半分になる。
つづけて燈架が大剣を振り下ろせば、魔法で筋力を強化したおかげで狙いはばっちり、緑色のゼリーをずんばらりと両断した。
なるほどこれはれっきとしたザコ敵で、それからこのゲームおもしろいかもとこの時思った。
その後はグリーンスライムやら目つきの悪いブラックウルフやらを10匹ほど倒していった。
自分の体じゃないみたいにすぱすぱ動けるのが楽しい。いや実際、自分の体じゃないのかな。
何度かウインドエッジをかけなおしていたらMPがなくなっていた。
クレハ情報ではMPは休むと回復する、あとMPを回復できるアイテムもあるけど値段が高いとのこと。
燈架もMPが残り少なくなっていたからこの日はそれでお開きにしようということになった。
明日も会う約束をして別れる。まあ約束してもしなくてもクレハとはどうせリアルで会うんだけど。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜
FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio
通称、【GKM】
これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。
世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。
その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。
この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。
その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
続・歴史改変戦記「北のまほろば」
高木一優
SF
この物語は『歴史改変戦記「信長、中国を攻めるってよ」』の続編になります。正編のあらすじは序章で説明されますので、続編から読み始めても問題ありません。
タイム・マシンが実用化された近未来、歴史学者である私の論文が中国政府に採用され歴史改変実験「碧海作戦」が発動される。私の秘書官・戸部典子は歴女の知識を活用して戦国武将たちを支援する。歴史改変により織田信長は中国本土に攻め入り中華帝国を築き上げたのだが、日本国は帝国に飲み込まれて消滅してしまった。信長の中華帝国は殷賑を極め、世界の富を集める経済大国へと成長する。やがて西欧の勢力が帝国を襲い、私と戸部典子は真田信繁と伊達政宗を助けて西欧艦隊の攻撃を退け、ローマ教皇の領土的野心を砕く。平和が訪れたのもつかの間、十七世紀の帝国の北方では再び戦乱が巻き起ころうとしていた。歴史を思考実験するポリティカル歴史改変コメディー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる