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感動の再会?
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「え?もしかしてテレサちゃん!?まぁ~、すっかり綺麗な娘さんになって!!どこから見ても貴族のご令嬢ね」
庶民の出で立ちではあるが、アディーナは以前と変わらない凛とした美しい佇まいでそこにいた。
洗濯カゴを持っているのに、何故か気品が感じられるのが不思議だ。
とても普通の平民には見えない。
え?なんでなんで?
どうしておばさまがうちの領地にいるの?
父さまがめっちゃ探しても、行方がわからないって肩を落としてたのに・・・
「おーいっ、夕食用の野菜を持ってきたぞー。お?お客さんか?って、テレサちゃんじゃないか!!元気そうだなー!」
動揺中のテレサに聞こえる新たな声。
テレサより遥かに元気そうなこの男性の声は、もしかしなくても・・・
「エドモンおじさま!?」
テレサの予感的中。
がたいのいいエドモンが、左の方から大量の野菜を担いで歩いてくる。
待って待って。
おじさまがカブやら大根にまみれてこっちに向かってくるんだけど。
うん、元々逞しい体型だったから、日に焼けて益々かっこよく・・・って、いやいやそうじゃなくて!!
理解が追い付かず、テレサは現実逃避することにした。
うんうん、これは夢だわ。
こんなところで2人に会えるわけがないじゃないの。
視察の疲れが出てきたのかな。
どうせなら、シリウスお兄ちゃんにも会えたらいいのに。
お兄ちゃーん、出ておいでー。
ふふふ・・・と微笑みながら、意識を彼方に飛ばしていたテレサに、更に追い討ちをかけるような声が聞こえた。
「ああ、やっぱりテレサが来たんだね。ふふっ、そんなにいい笑顔を浮かべて、何を考えているのかな?」
正面の修道院の扉から、若い男性が顔を出している。
そこには、以前より精悍な顔付きのシリウスが、楽しそうに目を細めながらテレサを見ていた。
あれ?
夢よりカッコいいお兄ちゃんが見える・・・
あれは神父様の服装だよね。
ああ、ここは修道院だもんね、神父様もそりゃいるってもんよね。
神父姿のお兄ちゃんなんて、眼福眼福。
・・・
・・・あれ?これって、もしや現実なのでは?
「うぇぇっ!?本物?本物のシリウスお兄ちゃん!?」
右からアディーナ、左からエドモン、そして正面からシリウスが現れ、パニックに陥ったテレサは涙目で叫んだ。
「え?なに?なにが起きたの~っ!?」
あまりの衝撃に、視察中に被っていた猫はどこかに行ってしまい、すっかりテレサは素に戻ってしまっていた。
昔と変わらず騒々しいテレサに、シリウス達が爆笑している。
「あはは!見た目は綺麗になったのに、やっぱりテレサはテレサだね」
「変わらずにいてくれて、私は嬉しいわ」
「だな。お高く止まって冷たくされてたら、俺泣くとこだったよ」
顔だけ出していたシリウスが、話しながら近付いてきた。
立ち襟の黒く長いキャソックを身に付けていて、やっぱりどうみても神父様だ。
「お兄ちゃん、神父様になったの?」
「ああ、話せば長くなるけど、一応そうだね。おかしい?」
「ううん、とっても素敵。お兄ちゃんは昔からみんなに優しいから、神父様にピッタリだね」
テレサは心からそう思って言ったのだが、何故かエドモンとアディーナは複雑そうな顔をしている。
何か変なこと言ったかな?とテレサが首をかしげると。
「テレサ、おいで」
シリウスがテレサの疑問を吹き飛ばす衝撃のセリフを放った。
両手を広げたポーズ付きで。
はて?
お兄ちゃんが変なことを言っているような・・・
あのポーズはもしかしなくても?
すぐに何を求められているかはわかったが、テレサの理性が待ったをかけた。
いやいや、さすがにこの年になってソレはちょっと・・・
躊躇するテレサにシリウスが更に一言。
「テレサ?抱っこは嫌なの?」
嫌?
お兄ちゃんの抱っこが嫌な訳がないじゃない!
テレサは戸惑いをアッサリと捨て去ると、シリウスに勢い良く抱き着いた。
あー、懐かしいお兄ちゃんの香りだ・・・
またお兄ちゃんと触れ合えるなんて嘘みたい。
「あ~、テレサはやっぱり温かい。でも抱き心地が断然良くなってるな、うん。やっぱりあの頃より肉付きが・・・」
シリウスが何か小声でブツブツと呟きながら、テレサの腰回りをサワサワと触っている。
「ストップ、ストーップ!!シリウス、テレサちゃんから手を離せ!お前、一応神父だからな?」
意味がわからないテレサは、シリウスの顔を見上げたが、昔と変わらない綺麗な微笑みに頬を染めた。
「テレサちゃん、相変わらずチョロいわ・・・」
アディーナが困ったように溜息を吐いていた。
庶民の出で立ちではあるが、アディーナは以前と変わらない凛とした美しい佇まいでそこにいた。
洗濯カゴを持っているのに、何故か気品が感じられるのが不思議だ。
とても普通の平民には見えない。
え?なんでなんで?
どうしておばさまがうちの領地にいるの?
父さまがめっちゃ探しても、行方がわからないって肩を落としてたのに・・・
「おーいっ、夕食用の野菜を持ってきたぞー。お?お客さんか?って、テレサちゃんじゃないか!!元気そうだなー!」
動揺中のテレサに聞こえる新たな声。
テレサより遥かに元気そうなこの男性の声は、もしかしなくても・・・
「エドモンおじさま!?」
テレサの予感的中。
がたいのいいエドモンが、左の方から大量の野菜を担いで歩いてくる。
待って待って。
おじさまがカブやら大根にまみれてこっちに向かってくるんだけど。
うん、元々逞しい体型だったから、日に焼けて益々かっこよく・・・って、いやいやそうじゃなくて!!
理解が追い付かず、テレサは現実逃避することにした。
うんうん、これは夢だわ。
こんなところで2人に会えるわけがないじゃないの。
視察の疲れが出てきたのかな。
どうせなら、シリウスお兄ちゃんにも会えたらいいのに。
お兄ちゃーん、出ておいでー。
ふふふ・・・と微笑みながら、意識を彼方に飛ばしていたテレサに、更に追い討ちをかけるような声が聞こえた。
「ああ、やっぱりテレサが来たんだね。ふふっ、そんなにいい笑顔を浮かべて、何を考えているのかな?」
正面の修道院の扉から、若い男性が顔を出している。
そこには、以前より精悍な顔付きのシリウスが、楽しそうに目を細めながらテレサを見ていた。
あれ?
夢よりカッコいいお兄ちゃんが見える・・・
あれは神父様の服装だよね。
ああ、ここは修道院だもんね、神父様もそりゃいるってもんよね。
神父姿のお兄ちゃんなんて、眼福眼福。
・・・
・・・あれ?これって、もしや現実なのでは?
「うぇぇっ!?本物?本物のシリウスお兄ちゃん!?」
右からアディーナ、左からエドモン、そして正面からシリウスが現れ、パニックに陥ったテレサは涙目で叫んだ。
「え?なに?なにが起きたの~っ!?」
あまりの衝撃に、視察中に被っていた猫はどこかに行ってしまい、すっかりテレサは素に戻ってしまっていた。
昔と変わらず騒々しいテレサに、シリウス達が爆笑している。
「あはは!見た目は綺麗になったのに、やっぱりテレサはテレサだね」
「変わらずにいてくれて、私は嬉しいわ」
「だな。お高く止まって冷たくされてたら、俺泣くとこだったよ」
顔だけ出していたシリウスが、話しながら近付いてきた。
立ち襟の黒く長いキャソックを身に付けていて、やっぱりどうみても神父様だ。
「お兄ちゃん、神父様になったの?」
「ああ、話せば長くなるけど、一応そうだね。おかしい?」
「ううん、とっても素敵。お兄ちゃんは昔からみんなに優しいから、神父様にピッタリだね」
テレサは心からそう思って言ったのだが、何故かエドモンとアディーナは複雑そうな顔をしている。
何か変なこと言ったかな?とテレサが首をかしげると。
「テレサ、おいで」
シリウスがテレサの疑問を吹き飛ばす衝撃のセリフを放った。
両手を広げたポーズ付きで。
はて?
お兄ちゃんが変なことを言っているような・・・
あのポーズはもしかしなくても?
すぐに何を求められているかはわかったが、テレサの理性が待ったをかけた。
いやいや、さすがにこの年になってソレはちょっと・・・
躊躇するテレサにシリウスが更に一言。
「テレサ?抱っこは嫌なの?」
嫌?
お兄ちゃんの抱っこが嫌な訳がないじゃない!
テレサは戸惑いをアッサリと捨て去ると、シリウスに勢い良く抱き着いた。
あー、懐かしいお兄ちゃんの香りだ・・・
またお兄ちゃんと触れ合えるなんて嘘みたい。
「あ~、テレサはやっぱり温かい。でも抱き心地が断然良くなってるな、うん。やっぱりあの頃より肉付きが・・・」
シリウスが何か小声でブツブツと呟きながら、テレサの腰回りをサワサワと触っている。
「ストップ、ストーップ!!シリウス、テレサちゃんから手を離せ!お前、一応神父だからな?」
意味がわからないテレサは、シリウスの顔を見上げたが、昔と変わらない綺麗な微笑みに頬を染めた。
「テレサちゃん、相変わらずチョロいわ・・・」
アディーナが困ったように溜息を吐いていた。
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