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君は本当にルーなのか?
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あっという間にデート当日を迎えてしまった。
ヒューゴのお休みの日に合わせると伝えたら、「じゃあ俺の次の休みで」と言われ、あれよという間に決まってしまったのだ。
私は基本白で、袖は黒と白のストライプ、所々黒のリボンやレースが飾られたモダンなワンピースを着せられていた。
サリーが絶対この服がいいと譲らなかったのである。
なんだか使用人達がずっと生暖かい目で見てくるので居心地が悪い。
おおっ!この服、ちょっとマイ・フェア・レディを思い出すなー。
あれはドレスだったけど。
あっちが『脱・田舎娘』なら、こっちは『脱・脳筋娘』ってところだね。
勝負服にピッタリだし、今日はヒューゴに釣り合う『インテリ女子』目指してやるぜ!!
鏡の前でクルクルしながら、私は脳筋を払拭する為に奮闘することを心に誓った。
そして最近私の頭を悩ませている「プロポーズはどこまで本気か問題」についても、ヒューゴの本心を聞き出そうと目論んでいる。
十中八九冗談に決まっているが。
迎えに来てくれたヒューゴは、私と示し合わせたように白と黒を基調としたコーディネートだった。
「ヒュー、素敵な格好だね。私達、リンクコーデみたい。仲のいい恋人に見えちゃうかもよ?」
「リンクコーデという言葉は知らないが、俺がルーと仲良くしたいと思っているのは事実だから光栄だ」
フッと笑われて、デートの始まりから私はHPが削られていくのを感じた。
あれれ?おかしいぞ。
早速ヒューゴに、『結婚の意志があるかのような態度は冗談だった』と白状させる作戦のはずが。
だって、ルイーザと結婚したい素振りなんて今まで見せたこと無かったんだよ?
何より彼は『イケ夢』のヒロインの攻略対象なのだ。
ゲーム内でのヒューゴは独身のフリーで、女性の影なんて全くなかったし、目の前のヒューゴだって思わせぶりな態度を私に取るはずがないのに……
わざと恋人って言って、「そんなはずないだろう、俺達はただの幼馴染みだ」的な返事を期待してたのに、想定外に甘い答えが返ってきて動揺を隠せないじゃないか。
おかしいよね?
幼馴染みとしてはずっと優しかったけど、なんだかヒューゴの瞳にそれ以上の好意と熱を感じてドキドキしてしまう。
いやいや、気のせいだって!
推しが大好き過ぎて、自分にいいように勘違いして受け取っちゃってるのかも……
私は前世でも喪女だったし、自意識過剰には気を付けなければ、うん。
ヒューゴはまず植物園に連れてきてくれた。
ルイーザは昔から花が好きだったし、前世の私も庭園に興味を持っていたから、「ヒューゴグッジョブ!!」と叫びたい。
なにしろ前世では空間デザインを専攻し、デザイナーの卵だった私だ。
ここの西洋式の庭と噴水、温室には非常にそそられる。
まぁ、まだ卵の内に死んじゃったみたいだから、経験は浅いんだけどさ。
「凄いなぁ。この温室、計算された空間美だわ。植物の高さと奥行き、光の差し方、絶妙だもん。勉強になるわー」
「思っていた反応と違ったな」
「ん?」
「『黄色いバラ綺麗!!1番好きー』とか言って駆け出すかと思っていたら、目の付け所が随分変わったな」
やばっ、急に変わり過ぎた?
ヒューゴに不審がられてる?
「黄色いバラももちろん好きだよ?でもここは他にも見所が多くて目移りしちゃうよね。そう思わない?」
誤魔化せたか?
あ、この庭園って歩道のどこに立っても噴水が視界に入るんだ。
「季節ごとに変化を楽しめるように考えられてるし、何度も来たくなるような仕掛けがあるんだよね」
ブツブツ呟く私をヒューゴが見ていることには気付いていなかった。
その後、ヒューゴオススメのレストランに向かったら、見回り中のマッチョな騎士団員に出くわしてしまった。
顔馴染みの父の部下達だ。
うーん、いつ見てもなんてゴリマッチョ。
見事すぎるぜゴリマッチョ。
でも私にはマッチョが過ぎるんだよな。
「お嬢!いい天気ですね!」
「お出かけですか、お嬢!」
騎士が声をかけてくれるが、ついヒューゴと見比べてしまう。
やっぱりヒューゴの細マッチョがベストだよ!!
スラっと見えて騎士より格好いい……
騎士達には適当に手を振っておいた。
レストランはとても美味しかった。
特に鴨が。
ヒューゴとの会話も弾んだ。
「だからね、300人の敵に15000人は勿体無いと思うの」
「確かにその通りだが、それが昔からガルシアのやり方だろう?」
「そうなんだけど、無駄な部分は変えていくべきじゃない?」
思っていたことも相談できた。
今日はなんて有意義なんだ!
と満足していたら。
最後に案内された図書館で思ってもみなかった言葉をヒューゴにかけられてしまった。
「ルー、君は本当にルーなのか?本当のことを教えてくれ」
ありゃ、バレてーら。
当たり前か。
さぁ、なんて答えよう……
ヒューゴのお休みの日に合わせると伝えたら、「じゃあ俺の次の休みで」と言われ、あれよという間に決まってしまったのだ。
私は基本白で、袖は黒と白のストライプ、所々黒のリボンやレースが飾られたモダンなワンピースを着せられていた。
サリーが絶対この服がいいと譲らなかったのである。
なんだか使用人達がずっと生暖かい目で見てくるので居心地が悪い。
おおっ!この服、ちょっとマイ・フェア・レディを思い出すなー。
あれはドレスだったけど。
あっちが『脱・田舎娘』なら、こっちは『脱・脳筋娘』ってところだね。
勝負服にピッタリだし、今日はヒューゴに釣り合う『インテリ女子』目指してやるぜ!!
鏡の前でクルクルしながら、私は脳筋を払拭する為に奮闘することを心に誓った。
そして最近私の頭を悩ませている「プロポーズはどこまで本気か問題」についても、ヒューゴの本心を聞き出そうと目論んでいる。
十中八九冗談に決まっているが。
迎えに来てくれたヒューゴは、私と示し合わせたように白と黒を基調としたコーディネートだった。
「ヒュー、素敵な格好だね。私達、リンクコーデみたい。仲のいい恋人に見えちゃうかもよ?」
「リンクコーデという言葉は知らないが、俺がルーと仲良くしたいと思っているのは事実だから光栄だ」
フッと笑われて、デートの始まりから私はHPが削られていくのを感じた。
あれれ?おかしいぞ。
早速ヒューゴに、『結婚の意志があるかのような態度は冗談だった』と白状させる作戦のはずが。
だって、ルイーザと結婚したい素振りなんて今まで見せたこと無かったんだよ?
何より彼は『イケ夢』のヒロインの攻略対象なのだ。
ゲーム内でのヒューゴは独身のフリーで、女性の影なんて全くなかったし、目の前のヒューゴだって思わせぶりな態度を私に取るはずがないのに……
わざと恋人って言って、「そんなはずないだろう、俺達はただの幼馴染みだ」的な返事を期待してたのに、想定外に甘い答えが返ってきて動揺を隠せないじゃないか。
おかしいよね?
幼馴染みとしてはずっと優しかったけど、なんだかヒューゴの瞳にそれ以上の好意と熱を感じてドキドキしてしまう。
いやいや、気のせいだって!
推しが大好き過ぎて、自分にいいように勘違いして受け取っちゃってるのかも……
私は前世でも喪女だったし、自意識過剰には気を付けなければ、うん。
ヒューゴはまず植物園に連れてきてくれた。
ルイーザは昔から花が好きだったし、前世の私も庭園に興味を持っていたから、「ヒューゴグッジョブ!!」と叫びたい。
なにしろ前世では空間デザインを専攻し、デザイナーの卵だった私だ。
ここの西洋式の庭と噴水、温室には非常にそそられる。
まぁ、まだ卵の内に死んじゃったみたいだから、経験は浅いんだけどさ。
「凄いなぁ。この温室、計算された空間美だわ。植物の高さと奥行き、光の差し方、絶妙だもん。勉強になるわー」
「思っていた反応と違ったな」
「ん?」
「『黄色いバラ綺麗!!1番好きー』とか言って駆け出すかと思っていたら、目の付け所が随分変わったな」
やばっ、急に変わり過ぎた?
ヒューゴに不審がられてる?
「黄色いバラももちろん好きだよ?でもここは他にも見所が多くて目移りしちゃうよね。そう思わない?」
誤魔化せたか?
あ、この庭園って歩道のどこに立っても噴水が視界に入るんだ。
「季節ごとに変化を楽しめるように考えられてるし、何度も来たくなるような仕掛けがあるんだよね」
ブツブツ呟く私をヒューゴが見ていることには気付いていなかった。
その後、ヒューゴオススメのレストランに向かったら、見回り中のマッチョな騎士団員に出くわしてしまった。
顔馴染みの父の部下達だ。
うーん、いつ見てもなんてゴリマッチョ。
見事すぎるぜゴリマッチョ。
でも私にはマッチョが過ぎるんだよな。
「お嬢!いい天気ですね!」
「お出かけですか、お嬢!」
騎士が声をかけてくれるが、ついヒューゴと見比べてしまう。
やっぱりヒューゴの細マッチョがベストだよ!!
スラっと見えて騎士より格好いい……
騎士達には適当に手を振っておいた。
レストランはとても美味しかった。
特に鴨が。
ヒューゴとの会話も弾んだ。
「だからね、300人の敵に15000人は勿体無いと思うの」
「確かにその通りだが、それが昔からガルシアのやり方だろう?」
「そうなんだけど、無駄な部分は変えていくべきじゃない?」
思っていたことも相談できた。
今日はなんて有意義なんだ!
と満足していたら。
最後に案内された図書館で思ってもみなかった言葉をヒューゴにかけられてしまった。
「ルー、君は本当にルーなのか?本当のことを教えてくれ」
ありゃ、バレてーら。
当たり前か。
さぁ、なんて答えよう……
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