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顔も性格も大好きな私の旦那様。

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ソフィーとライアンの結婚が正式に決まった。
ソフィーの父は、予感が的中してしまい、肩を落としている。
反対にライアンの父は有頂天で、さっさと爵位をライアンに譲り、田舎へと引っ込んでしまった。

ソフィーは相変わらずライアンの屋敷に部屋を借り、自分のウェディングドレスをせっせと縫っていた。
ベールはジェーンを始めとするメイド達が、張り切って作ってくれている。

「いよいよ式までもうすぐだな。ソフィーをもう家まで送らなくて済む。これからはここは二人の屋敷だ。」

ソフィーとずっと一緒に過ごせる喜びで、感慨深そうにライアンが言った。

「そうですね。お手数おかけしました。私もこの部屋に愛着が湧いてしまったので、ずっと居られて嬉しいです。」

「ははっ、ソフィーはまだこの部屋しか見たことがなかったな。これからは二人で住むのだから、私達夫婦の部屋にも慣れてもらわないと。寝室とかね。」

意味ありげに微笑まれたが、ソフィーは意味がわからなかった。

「えっと、私はこのお部屋をお借りできればそれで十分ですけど。ここで寝られますし・・・」

「え?」

「え?」

ライアンに驚いたように聞き返され、ソフィーも戸惑って聞き返してしまった。
何か会話がずれていることに、ようやく二人は気付き始めた。

「ソフィー、確認なんだが、君は私と結婚するつもりだよな?」

「はい、もちろん。ライアン様のお嫁さんになりたいです。」

「君の考える、私達の今後とは?」

「最初のお約束通り、私はライアン様の邪魔をせず、この部屋で服を作ります。お屋敷の管理もジェーンさんにお任せし、ライアン様のお手隙の際にお顔を見せて・・・って、どうしたのですか?」

膝をついて項垂れるライアンに、ソフィーは思わず言葉を止めた。

「まさかまだ最初の約束のままだとは・・・」

呆然と呟くライアンだが、ソフィーには通じなかった。

ライアン様は何に衝撃を受けているのかしら?
私、何か変なこと言った?

ライアンはガバッと一度立ち上がると、ソフィーの前で改めて跪き、ソフィーの手を握った。

「ソフィー、悪かった。全て私のせいだ。私は途中から本気で君に惹かれ、君を妻にしたいと考えていた。メリットなどどうでもいい。ソフィーと本物の夫婦になりたい。」

「え?お互いの都合とか関係なく?」

「そうだ。ソフィー、君を愛している。あんな馬車で結婚の話などするべきではなかった。反省している。プロポーズもやり直すから、どうか私と結婚して下さい。」

握られた手から、ライアンの本気を感じる。
ソフィーもすぐさまライアンの手を握り返した。

「そんなの、いいに決まってるじゃないですか!私は一日中だってライアン様を見ていたいんですから。あ、でもお屋敷の管理は上手く出来る自信が・・・」

「そんなものはどうにでもなる。ソフィーには好きなだけ仕事をしてもらうつもりだ。私の仕事を円滑に進めるためにもね。」

「でも、私にばかりいいことづくめな気が。」

「それは違うな。ソフィーは私をミューズだと言ったが、私も君の働く姿が何よりも美しく見えるし、好きだ。自分が何でも出来そうな気にさせられる。つまり、私達はお互いがミューズなんだ。結婚するのは必然ではないか?」

お互いがミューズ。
そんな奇跡ってある?
でも信じたい。

「ふふっ、素敵ですね。最強の夫婦になれそうです。」

「ははは、いいな、最強か。無敵の夫婦だ。」

二人は微笑み合い、立ち上がったライアンは、ソフィーを優しく抱き締めた。



二人の結婚式は盛大に行われた。
『独身主義の冷徹男』と囁かれていたライアンは、愛おしげにソフィーを見つめ、穏やかに微笑んでいた。
別人のような変わりように、参列者は驚き、二人の相性の良さに心からの祝福を送った。

またソフィーの作った二人のウェディング衣装も大きな話題となり、ソフィーへの注文が後を絶たなくなるのだった。


式とパーティーの後、二人は揃って寝室のベッドに座っていた。

「危うく、結婚したのに一人寝になるところだった。」

茶目っ気たっぷりにライアンに言われ、ソフィーは唇を尖らせる。

「先に契約っぽく言ったのはライアン様ですよ?利があるとかないとか。」

「悪かった。しかし、食い違ったまま今に至らなくて良かった。条件だけで気持ちが伴わない結婚なんて、するものじゃない。」

あなたがそれを言いますか!
メリットをあんなに訊いてきたくせに。

「ライアン様はズルいんです!私は絶対その顔に勝てないし、私ばっかり最初からずっと好きで。」

「顔以外も好きか?」

「当たり前じゃないですか!その可愛い性格が大好きです!!」

半分ヤケになってソフィーは告げた。

「可愛いって・・・。では可愛いだけじゃないところを見せないとな。」

ライアンはベッドにソフィーを押し倒した。

「きゃっ、え?あの、本当にするんですか?」

「そりゃあするさ。初夜なんだから。それに、私の服を作ってくれたっていうことは、脱がせたいってことだろう?」

「ち、ちがっ、それは男性からの場合では?私はそんな不純な・・・」

「違うのか?それは残念だ。でも私には不純な気持ちがあるから、もう黙って・・・」

ソフィーの唇は、ライアンの唇に塞がれてしまった。
背中を叩いても止まることはなく、実は冷徹どころか情熱的なライアンに、ソフィーは甘く溶かされたのだった。


翌朝、一糸纏わないライアンを思い出し、羞恥が込み上げると共に、一層魅力的なデザインを思い付いてしまったソフィー。
こっそり書き留めようとするも、ライアンに阻止され、再び抱き込まれてしまった。

「ソフィーは目を離すとすぐに仕事を始めようとする。もっと傍にいてくれ。」

温かいライアンの腕の中から、ソフィーの好みど真ん中の顔を見つめる。

寝惚けてる顔も格好いい・・・
なんでこんなに格好いいの?
もう、こんなに好きにさせてどうするつもり?

するとライアンが突然クスクスと笑いだした。

「ソフィー、全部口に出てるから。そんなに想われて光栄だ。私も愛しているよ、ソフィー。」

唇に軽くキスされた。

ソフィーは思う。
あの時、お見合いを断らなくて良かった。
この顔をいつまでも近くで見ていたいわ。


その後、ソフィーは服作りを軌道に乗せ、ライアンの事業に服飾部門を新たに増やした。
夫婦自らが広告塔となり、斬新な服をペアで着る二人は、他国でも有名になった。

各国を行き来し、仕事が忙しいソフィーに代わり、屋敷はジェーン達が守ってくれている。
奥様であるソフィーの意見を尊重し、ソフィーの代理として完璧にこなしてくれる。
これも、結婚前からの意思疏通が出来ていたからであろう。

ソフィーは今、子供服のデザインに忙しい。
何故なら、ライアンの子を身籠ったからである。

手に入れた幸せを噛み締めながら、ソフィーは今日もドストライクな旦那様の顔を見つめるのだった。








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感想 4

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みんなの感想(4件)

千夜歌
2023.05.09 千夜歌
ネタバレ含む
櫻野くるみ
2023.05.09 櫻野くるみ

うわわ、とっても素敵なご感想をいただき、ありがたさと恥ずかしさで悶絶しております☺️

ベビーちゃん、パパ似のお姉ちゃんは最高ですね!そこにママ似の弟も加われば、子供服も揃えてファミリーで服飾外交なんて無敵です。
素敵な未来を想像していただけて嬉しいです😄

また楽しく読んでいただけるものを書けるように精進してまいります。
どうもありがとうございました‼️

解除
うさこ
2022.03.13 うさこ

めちゃ面白かったです。ソフィー天然なんですね。ライアンの気持ちが伝わってよかったです💖

櫻野くるみ
2022.03.13 櫻野くるみ

ご感想、ありがとうございます。
面白かったと言っていただけて嬉しいです!
ソフィーの天然を受け継いだ子供が産まれたら、ライアンは苦労しそうですよね。
読んでいただき、ありがとうございました。

解除
まり
2022.03.13 まり
ネタバレ含む
櫻野くるみ
2022.03.13 櫻野くるみ

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ライアン、なんだか途中からチョロい男になってますよね(笑)
母親を亡くしてるのと、下手にイケメンで拗らせたという設定で…

ソフィー、思っていることが口から出過ぎ!と思っていたのですが、可愛いと言っていただけて嬉しいです。
私は絶対言えない派なので、うらやましくもあるのですが。

素敵なご感想をありがとうございました。
次回作を書く力をいただきました。

解除

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