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ますます結婚したくなりました。

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ライアン様が結婚したくない理由・・・
ここを突破口にしなければいけないわ。

ソフィーは手にしていた紅茶をソーサーに戻し、視線をライアンに向けた。

「私の母は私が幼い頃に亡くなっている。父は後妻を迎えず、家の中の細かいことは、そこにいるメイドのジェーンに任せてきた。不自由は一切ない。むしろ、この状態を壊したくはない。よって今更妻を迎え、口出しされるのは煩わしい。以上だ。」

なるほど、妻に仕切られるのが嫌だということですね?
思ってたよりシンプルな答えでした。
でもそれなら・・・

「あの、私は口を出すつもりはないですし、仕切りませんよ?むしろそういう家のことをする時間が勿体ないから、結婚しないつもりだったくらいですもの。私なら妻にピッタリですよ?ジェーンさんに全てお任せして、ライアン様のお邪魔はしないし、一部屋だけ貸していただければ。あ、でもライアン様の顔は、定期的に見たいですけど。」

デメリットを潰すついでに、私のアピールもしておきました。
私の希望もちょろっと混ぜて。
それにしても、なんて理想的なのかしら。
家を守らずに好きなことが出来るなんて!

「いやいや、そんなに堂々と仕切らないと宣言されても・・・。何故君にとっての利点の話になっているんだ?」

バレてましたか。
そんな簡単にはいきませんよね。

「では、他にもあります?結婚したくない理由。」

ソフィーは前向きに訊いてみる。
こうなったら、とことんデメリットを潰す気満々である。

「そうだな、私は領地の経営をしているが、領地は国境に隣接しているんだ。君はうちの領地のことなど知らないと思うが。」

ふーんだ、どうせ何も知りませんよ。
そんな嫌味な言い方しなくたって・・・だから冷徹って言われ・・・
あら?
もしかして国境って言った??

「国境?つまり、貿易が盛んなのですね!?様々なものが隣国から入ってくるのですね!?だから珍しい種なども?」

興奮が止まらず畳み掛けるソフィーに、ライアンが動揺している。

「あ、ああ、そうだな。貿易も盛んだが、私は外交の仕事もしているから、直接出向くことが・・・」

「ええっ!!行くのですか?わわっ、凄いです!!私はずっと行ってみたくて。珍しい織物があるのです。いつか技法を学びたいと思っていて。いいなぁ。」

うっとりとした表情で羨ましそうにライアンを見るソフィーと対照的に、ライアンが情けない顔になる。
ライアンの冷徹な仮面は剥がれつつあった。

「君と話しているとペースが乱されるな。私と結婚すれば、連れていくことはもちろん可能だが、とにかく私は邪魔をされたくない。夜会でパートナーをするより、仕事を優先させたいんだ。」

「いいのでは?私はたまに隣国に連れて行っていただければ・・・」

「だから何度も言うが、君の利点を増やしてどうする。」

そうでした。
ライアン様の利点でしたね。
でも話せば話すほど、ライアン様が素晴らし過ぎるのがいけないと思います。

しかしこのままだと結婚してもらえない為、ソフィーも真面目に考えてみた。

「ライアン様、例えば外出や夜会などの際は、服装はどうやって決めているのですか?」

「服?そんなの面倒だから、パターンを決めて何着かを着回している。興味もないし、おかしくなければいいだろう。」

え?
そんな適当な。
この方は服の大切さと可能性を知らなさ過ぎるのでは?
でも、知らないってことは・・・

見つけましたよ!
私の活路を!!
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