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王弟殿下は『ときラビ』開発責任者
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夕暮れの庭をアリスは闇雲に走った。
途中、散歩をしていたユリウスとルードに偶然出くわし、無事に別荘へと戻ることが出来た。
二人が泣いているアリスを心配するので、迷子になって心細かっただけだと言ったら、ユリウスが優しく頭を撫でてくれた。
こんなわかりやすい嘘に、ルードすら突っかかってこなかったところをみると、薄々何かの事情を察してくれたのかもしれない。
夜は豪華なディナーで、ゲーム大会などもあり、参加していたジークハルトはずっとアリスに何かを言いたそうにしていたが、アリスは彼を避け続けた。
不敬と思われたって構わない。
最初の印象が悪くなかった分、傷つけられたショックが大きかったのである。
それにしても、攻略対象者は前世の記憶がないはずなんだよね?
なんでジークハルトは『ときラビ』を知っていたんだろう?
昔、お父さんたちが隠れキャラの話をしていたけれど、誰が隠れキャラまでかは知らなかったはず。
なのにジークハルトは自分が隠れキャラだっていう自覚があるってことだよね?
……まあ、あんなヤツはこっちから願い下げだし、どうでもいいけどね!!
◆◆◆
今、アリスは夜中にも関わらず、廊下を歩いている。
ジークハルトとの出来事にムカつき過ぎて目が冴えてしまい、図書室で本でも借りてくることにしたのだ。
この別荘の図書室は珍しい蔵書が多いと、シモンズ先生が以前話していたのを思い出す。
「失礼しまーす……」
こんな時間に誰もいるはずがないと思いつつ、一応小声で声をかけてから入室すると、なんと先客が居た。
しかもジークハルトだ。
彼は高い棚の本を取ろうと右腕を上げたポーズのまま、目を見開いてアリスを見下ろしている。
一方、アリスはジークハルトのその体勢を見て、またしても前世の記憶を思い出していた。
そのポーズ、確か生徒会室で先輩が……。
あれはクラスのアンケートを提出しに生徒会室を訪れた時のことだ。
生徒会室に行けば先輩に会えるかもと考えた前世のアリスは、不純な動機から提出役に立候補して、お昼休みに顔を出したのだ。
先輩は備え付けの棚の一番上の段からファイルを取ろうと腕を伸ばしていて、アリスを見るなり「ああ、迷子の……」と言って笑ったのだった。
私ったらまた先輩を思い出しちゃったじゃない。
でもとりあえず気まずいから、残念だけど今夜はもう部屋に戻ろう。
くるっと後ろを向いたアリスに、慌てたような声がかかった。
「待ってくれ、アリス! 悪かった、全部俺の勘違いだ」
まだ怒りが収まったわけではなかったが、謝っている人を無視するのも良くないと思い、アリスは部屋に戻るのを思いとどまった。
「ちょっと聞きたいんですけど、殿下はなんで自分が隠れキャラだと思うんですか?」
どうせなら質問してやれと思い、訊いてみると――
「ありがとう。すべて説明する。君には聞いてほしいんだ」
ホッとした様子で安堵の溜め息を吐かれてしまったが、一体なんなのだろう。
「俺は前世の日本の記憶を持っている。アリス、君もだね?」
アリスたちは部屋の真ん中に設置されたソファーに並んで座っていた。
図書室には大きめのソファーが一つしかなかったからだ。
ランプの灯りだけで薄暗いせいか、ジークハルトの低い声が余計に体に響いてくる気がする。
「はい。全部覚えているわけではありませんが」
「俺もだ。俺が一番覚えているのは、ゲーム会社で乙女ゲームの開発をしていた頃のことだ」
「え?」
乙女ゲームの開発って、まさか……。
思わず声を漏らしたアリスに頷くと、ジークハルトははっきりとした口調で言った。
「俺は『ときラビ』の開発責任者だったんだ」
その後の彼の話はこうである。
大学後、ゲーム会社に入った前世のジークハルトは、実績を積んだ後に乙女ゲームの製作部署に異動になった。
そこで開発責任者として生徒会を舞台にした乙女ゲームを作ることになったらしい。
開発チームには特に優秀な女性の部下が三人いて、彼女たちが中心になって五人の攻略対象者を生み出した。
売り出した『ときラビ』は面白いと評判になり、続編の制作が決まったそうだ。
そこで新たな攻略キャラとして決まっていたのが王弟ジークハルトだったのだが、ここまで話が進んだところで前世のジークハルト、つまり開発責任者の彼は交通事故に遭ってしまったらしい。
「多分、俺はその時に死んだんだと思う。でもまさか自分の作ったゲームに転生するとはな」
「私が聞いた話では、追加ディスクでハーレムルートに進むと隠れキャラが現れることになっていたのに、発売が延期されてそのままだったとかなんとか」
「ああ、多分俺が死んで、続編の話が無くなったんだろう。ジークハルトのキャラは途中まで出来上がっていたから、残ったメンバーがジークハルトルートを形にして、なんとか追加ディスクを発売しようとしたが、結局は発売出来ずに幻のキャラになってしまったんだろうな」
なるほど、せめてジークハルトだけでも世に出したかったのに、叶わなかったわけね。
無念だっただろうな、その三人の部下の人たち。
なぜかアリスの頭に悪役令嬢トリオの姿が浮かんだが、すぐに『三人』という言葉に引っ張られただけだろうと思い直した。
「それで、みんなジークハルト殿下が隠れキャラだって知らないのに、本人だけが知っていたんですね」
「そういうことだ。だから、アリスが俺の前に現れなければいいとずっと思っていた。自分の開発したゲームのヒロインと恋愛するなんて、勘弁して欲しいだろ? しかも、五股した後に出会うんだぜ?」
「その気持ちはわかります。私も最悪だと思ったので」
開発者は何故そこを考えなかったのだろうか……。
ハーレムルートとは女子の夢なのか?
それともジークハルトの難易度を上げる為に、仕方なくハーレムルート後に現れる設定にしたとか?
――ないな。五人と恋愛していないアリスがジークハルトに出会えてしまったほど、チョロい難易度だったのだから。
ただハーレムルートを作りたかっただけだという結論にアリスは達した。
「助かる。それで、アリスは全くこのゲームを知らなかったって言ってたな?」
「はい。開発者の前で言うのも申し訳ないですが、タイトルすら知らず……」
「ははっ、結構売れたと思ってたんだけどな。しかも、この世界の住人はみんな知ってるらしいじゃないか」
「そうなんですよ! ちょっと私の苦労も聞いてくれます? みんなして私がヒロインだからって、自分の推しとのイベントを起こそうとしてくるんです。なのに隠れキャラ見たさなのか最終的にはハーレムルートに行かせようとするし。自分たちはモブとして頑張るからって言われても、『そんなの知らないよ、そんな尻軽女になりたくない』って!!」
「ブッ、そりゃあ悪かったな。俺も勘違いして酷いこと言ったからな。改めて悪かった」
なんと王弟に頭を下げられてしまった。
「許してあげます。そっちの言い分もわかったので。でも断じて私は誰とも恋愛していませんからね!」
「それはわかっている。あいつらの様子を見ていたらわかるさ。仲はいいが、恋愛感情ではないな。それにしても、短期間でよくあそこまで仲良くなったな。ハーレムルートだとこの世界に判断されたから、俺と出会うことになったわけだろ?」
「やっぱりそういうことですよねぇ。あーもう、やっぱり生徒会に入ったのが運のツキだったのかも。あ、なんで生徒会を舞台にしたんですか?」
「ああ、前世の俺が、高校で生徒会長をやってたからだな」
「え? 生徒会長だったんですか?」
「その頃が妙に懐かしくなってな。ああ、さっきのアリスは当時の後輩に少し似てたよ」
「後輩?」
「ふっ、迷子になってただろ? 昔、同じように迷子の後輩に声をかけたことがあったんだ」
それって……まさかね。
「旧校舎と新校舎があって?」
「そうそう、最初は迷うんだよな……って。え?」
二人は信じられない気持ちでお互いを見つめていた。
途中、散歩をしていたユリウスとルードに偶然出くわし、無事に別荘へと戻ることが出来た。
二人が泣いているアリスを心配するので、迷子になって心細かっただけだと言ったら、ユリウスが優しく頭を撫でてくれた。
こんなわかりやすい嘘に、ルードすら突っかかってこなかったところをみると、薄々何かの事情を察してくれたのかもしれない。
夜は豪華なディナーで、ゲーム大会などもあり、参加していたジークハルトはずっとアリスに何かを言いたそうにしていたが、アリスは彼を避け続けた。
不敬と思われたって構わない。
最初の印象が悪くなかった分、傷つけられたショックが大きかったのである。
それにしても、攻略対象者は前世の記憶がないはずなんだよね?
なんでジークハルトは『ときラビ』を知っていたんだろう?
昔、お父さんたちが隠れキャラの話をしていたけれど、誰が隠れキャラまでかは知らなかったはず。
なのにジークハルトは自分が隠れキャラだっていう自覚があるってことだよね?
……まあ、あんなヤツはこっちから願い下げだし、どうでもいいけどね!!
◆◆◆
今、アリスは夜中にも関わらず、廊下を歩いている。
ジークハルトとの出来事にムカつき過ぎて目が冴えてしまい、図書室で本でも借りてくることにしたのだ。
この別荘の図書室は珍しい蔵書が多いと、シモンズ先生が以前話していたのを思い出す。
「失礼しまーす……」
こんな時間に誰もいるはずがないと思いつつ、一応小声で声をかけてから入室すると、なんと先客が居た。
しかもジークハルトだ。
彼は高い棚の本を取ろうと右腕を上げたポーズのまま、目を見開いてアリスを見下ろしている。
一方、アリスはジークハルトのその体勢を見て、またしても前世の記憶を思い出していた。
そのポーズ、確か生徒会室で先輩が……。
あれはクラスのアンケートを提出しに生徒会室を訪れた時のことだ。
生徒会室に行けば先輩に会えるかもと考えた前世のアリスは、不純な動機から提出役に立候補して、お昼休みに顔を出したのだ。
先輩は備え付けの棚の一番上の段からファイルを取ろうと腕を伸ばしていて、アリスを見るなり「ああ、迷子の……」と言って笑ったのだった。
私ったらまた先輩を思い出しちゃったじゃない。
でもとりあえず気まずいから、残念だけど今夜はもう部屋に戻ろう。
くるっと後ろを向いたアリスに、慌てたような声がかかった。
「待ってくれ、アリス! 悪かった、全部俺の勘違いだ」
まだ怒りが収まったわけではなかったが、謝っている人を無視するのも良くないと思い、アリスは部屋に戻るのを思いとどまった。
「ちょっと聞きたいんですけど、殿下はなんで自分が隠れキャラだと思うんですか?」
どうせなら質問してやれと思い、訊いてみると――
「ありがとう。すべて説明する。君には聞いてほしいんだ」
ホッとした様子で安堵の溜め息を吐かれてしまったが、一体なんなのだろう。
「俺は前世の日本の記憶を持っている。アリス、君もだね?」
アリスたちは部屋の真ん中に設置されたソファーに並んで座っていた。
図書室には大きめのソファーが一つしかなかったからだ。
ランプの灯りだけで薄暗いせいか、ジークハルトの低い声が余計に体に響いてくる気がする。
「はい。全部覚えているわけではありませんが」
「俺もだ。俺が一番覚えているのは、ゲーム会社で乙女ゲームの開発をしていた頃のことだ」
「え?」
乙女ゲームの開発って、まさか……。
思わず声を漏らしたアリスに頷くと、ジークハルトははっきりとした口調で言った。
「俺は『ときラビ』の開発責任者だったんだ」
その後の彼の話はこうである。
大学後、ゲーム会社に入った前世のジークハルトは、実績を積んだ後に乙女ゲームの製作部署に異動になった。
そこで開発責任者として生徒会を舞台にした乙女ゲームを作ることになったらしい。
開発チームには特に優秀な女性の部下が三人いて、彼女たちが中心になって五人の攻略対象者を生み出した。
売り出した『ときラビ』は面白いと評判になり、続編の制作が決まったそうだ。
そこで新たな攻略キャラとして決まっていたのが王弟ジークハルトだったのだが、ここまで話が進んだところで前世のジークハルト、つまり開発責任者の彼は交通事故に遭ってしまったらしい。
「多分、俺はその時に死んだんだと思う。でもまさか自分の作ったゲームに転生するとはな」
「私が聞いた話では、追加ディスクでハーレムルートに進むと隠れキャラが現れることになっていたのに、発売が延期されてそのままだったとかなんとか」
「ああ、多分俺が死んで、続編の話が無くなったんだろう。ジークハルトのキャラは途中まで出来上がっていたから、残ったメンバーがジークハルトルートを形にして、なんとか追加ディスクを発売しようとしたが、結局は発売出来ずに幻のキャラになってしまったんだろうな」
なるほど、せめてジークハルトだけでも世に出したかったのに、叶わなかったわけね。
無念だっただろうな、その三人の部下の人たち。
なぜかアリスの頭に悪役令嬢トリオの姿が浮かんだが、すぐに『三人』という言葉に引っ張られただけだろうと思い直した。
「それで、みんなジークハルト殿下が隠れキャラだって知らないのに、本人だけが知っていたんですね」
「そういうことだ。だから、アリスが俺の前に現れなければいいとずっと思っていた。自分の開発したゲームのヒロインと恋愛するなんて、勘弁して欲しいだろ? しかも、五股した後に出会うんだぜ?」
「その気持ちはわかります。私も最悪だと思ったので」
開発者は何故そこを考えなかったのだろうか……。
ハーレムルートとは女子の夢なのか?
それともジークハルトの難易度を上げる為に、仕方なくハーレムルート後に現れる設定にしたとか?
――ないな。五人と恋愛していないアリスがジークハルトに出会えてしまったほど、チョロい難易度だったのだから。
ただハーレムルートを作りたかっただけだという結論にアリスは達した。
「助かる。それで、アリスは全くこのゲームを知らなかったって言ってたな?」
「はい。開発者の前で言うのも申し訳ないですが、タイトルすら知らず……」
「ははっ、結構売れたと思ってたんだけどな。しかも、この世界の住人はみんな知ってるらしいじゃないか」
「そうなんですよ! ちょっと私の苦労も聞いてくれます? みんなして私がヒロインだからって、自分の推しとのイベントを起こそうとしてくるんです。なのに隠れキャラ見たさなのか最終的にはハーレムルートに行かせようとするし。自分たちはモブとして頑張るからって言われても、『そんなの知らないよ、そんな尻軽女になりたくない』って!!」
「ブッ、そりゃあ悪かったな。俺も勘違いして酷いこと言ったからな。改めて悪かった」
なんと王弟に頭を下げられてしまった。
「許してあげます。そっちの言い分もわかったので。でも断じて私は誰とも恋愛していませんからね!」
「それはわかっている。あいつらの様子を見ていたらわかるさ。仲はいいが、恋愛感情ではないな。それにしても、短期間でよくあそこまで仲良くなったな。ハーレムルートだとこの世界に判断されたから、俺と出会うことになったわけだろ?」
「やっぱりそういうことですよねぇ。あーもう、やっぱり生徒会に入ったのが運のツキだったのかも。あ、なんで生徒会を舞台にしたんですか?」
「ああ、前世の俺が、高校で生徒会長をやってたからだな」
「え? 生徒会長だったんですか?」
「その頃が妙に懐かしくなってな。ああ、さっきのアリスは当時の後輩に少し似てたよ」
「後輩?」
「ふっ、迷子になってただろ? 昔、同じように迷子の後輩に声をかけたことがあったんだ」
それって……まさかね。
「旧校舎と新校舎があって?」
「そうそう、最初は迷うんだよな……って。え?」
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