【完結】妹の特殊能力が凄すぎる！～お姉さまの婚約者は私が探してみせます～

意味がわかりません。

それから３日後。

シンディとローラは、ドレス姿で夜会の会場に立っていた。

「今からお姉さまのお相手を探します。」

自信ありげにローラが言う。

「どうやって？まさか、手当たり次第に声をかけたりなんてしないわよね？」

この妹ならやりかねないわ・・・

不安になり、シンディが思わず尋ねると、

「そんな非効率的なことしませんわ。する必要ありませんもの。」

ローラがそっとシンディに顔を近付け、内緒話をするように言った。

「私、視えるんですの。」

そしてシンディをからかうように、いたずらっぽく笑ったのだった。



視える？
何が視えるのかしら。
幽霊とか？

シンディはローラの言葉の意味がわからず、混乱していた。

そんなシンディを気にも止めず、ローラは会場にいるとある男性を、開いた扇子の内側から指で指し示した。

「まずは、今グラスを手にしたあの男爵令息。あの方はお酒で失敗するので駄目です。」

人当たりが良さそうな、穏やかな男性に見える。

「知っている方なの？」

「いえ、全く。でもわかるのです。」

私には意味がわからないわ・・・


「次に、肩を叩かれている伯爵令息。あの方は浮気性ですわ。」

内気そうな小柄な方ですわね。
浮気をするようには見えないわ。

「窓際の子爵令息も、お薦め出来ません。お金にルーズですもの。」

生真面目そうなお顔をなさっていますわ。
むしろ管理をきちんとされていそうですけど。


次々とローラがダメ出しをしていく。
しかも根拠がよくわからない。
シンディにはそんな悪い男性達には見えず、困惑を隠せない。

シンディは妹の話をずっと黙って聞いていたが、このままでは埒があかないと、思いきって訊いてみることにした。

「結局、私のお相手になって下さる方はここにいらっしゃるのかしら？」

すると、ローラは意味ありげにふふっと笑う。

その笑いは何かしら。もったいぶってばかりなんだから。

唇を尖らせたシンディに、

「いらっしゃいますわよ、お姉さまにピッタリな方が。あちらに。」

と言って、シンディの後方を指差した。