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どうやって探す気かしら?
しおりを挟むシンディは困っていた。
父から、2ヶ月以内に婚約者を見つけるようにと言われてしまったのだ。
「特に仲の良い令息もいないし、どうしたらいいのかしら。」
居間のソファで悩みながら呟くと、いつの間にか妹のローラが隣に座り、こちらをニヤニヤしながら見ていた。
「お困りのようですわね、お姉さま。」
楽しそうに言われて困惑するが、シンディはさきほどの父との会話を妹に伝えた。
「突然2ヶ月と言われても困ってしまうわ。今まで暢気にしていた私が悪いのだけど。」
シンディもわかってはいた。
今まで両親がシンディの為に敢えて婚約者を決めず、好きな人と結ばれることを尊重してくれていたことを。
しかし妹のローラの存在もあり、両親もこれ以上待っていたら、ローラにまで影響が出てしまうと考えたのだろう。
「やっぱりお父様に釣書を見せてもらって、その中から決めるしかないわよね。釣書が届いていればの話だけど。」
シンディは言っていて情けなく思ったが、とりあえず行動をしなければと立ち上がったその時、ローラが話しかけてきた。
「安心して、お姉さま。私がお姉さまのお相手を探してみせるわ。」
どうやって探すつもりかしら。
シンディは自分の部屋で首を傾げていた。
ローラは言うだけ言うと、居間を出ていってしまったのである。
とりあえず夕食の時にでも尋ねてみることにしましょうか。
そして訪れた夕食の時間。
「お父様、私もお姉さまと一緒に、3日後の夜会に連れていって下さいな。」
ローラが父におねだりをしていた。
父から無事了承を得た彼女が、
「夜会、楽しみですわね、お姉さま。」
と嬉しそうに言ってきたので、私は曖昧に微笑んだ。
なるほど、一緒に夜会に行って、探してくれるつもりなのね。
でもそんな簡単には見つからないと思うわ。
シンディは静かに溜め息を付いた。
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