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強制力がエグすぎませんか
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エラリアは十四歳になった。
王家による第三王子の婚約者候補選抜は今も続いており、エラリアはまだ候補に残っていた。
「はぁぁ!? なんでまだ私が残っているのですか!」
「光栄なことではないか。それだけお前に見どころがあるということだろう?」
「そんなはずないですわ! 毎回抜け出して、オーキス殿下と直接お話したことすらな……」
「なんだと? 抜け出して?」
「あわわわ……いえいえ、なんでもないですわ。えーと、つい殿下の前だと緊張してしまって、王子を取り巻く令嬢の輪から抜け出してしまったり、積極的に話しかけられないことも多く……」
「なんだ、そういうことか! いや、そういう慎み深さが評価されているのかもしれんな」
そんなわけないでしょうが!
遠目に王子の金髪を眺めたことしかない上、いつもほとんどの時間は庭園に逃げ込んでいるというのに。
まともに話したことすらないわよ。
エラリアは、父から今回も王子の婚約者候補に残留してしまったと聞かされたところだ。
いよいよ残りは、エラリア含めて五名となってしまった。
普通の令嬢なら喜んで小躍りするところだが、落とされることをひたすら望んでいるエラリアにとっては、迷惑この上ない仕打ちである。
しぶとく残されていることを知ったエラリアは、ショックを通り越してだんだん腹が立ってきた。
こんなの、おかしくない?
意味がわからないわ!
十二名もいたのが、この四年のうちに五名まで減らされたっていうのに、なんで私がまだ残っているのよ!
残っている令嬢の数が少なくなったせいで、目立たないように抜け出すのも困難なのに!!
徐々にこじんまりとしていくお茶会で、エラリアはなんとかオーキス王子との接触をあの手この手で躱してきた。
奇跡的にオーキスが遅れたり、不参加だったり、途中退出したりと、参加する時間が短いおかげで、なんとかエラリアは王子と深く関わらずに済んできたのである。
もちろんこれは父には内緒だが。
オーキスが姿を見せると、他の令嬢に囲まれている間にそっと逃げ出すのがいつもの手で、いまだに顔すらきちんと見たことはない。
とにかく印象に残りたくないので、会場では俯いて気配を消すことに必死だった。
あー、いい加減、候補から落としてほしいものだわ。
こんなに好かれる要素がないのに落とされないなんて、考えたくはないけどやっぱり強制力なのかしら?
あ、小説でオーキスと恋に落ちる令嬢!
あの子と今から出会って恋愛をしてくれれば、私はサレ妻にならなくて済むのに。
ヒロインの名前って何だっけ?
えーと、シャローンじゃなくて、……シャーロットだ!
しかし、シャーロットという名前の令嬢は候補者の中にはおらず、知り合いに思い当たる娘もいなかった。
「もう! どこにいるのよ、シャーロット!!」
思わず叫んでしまったエラリアだったが、彼女がイライラしている理由は強制力への恐怖心からだけではなかった。
エラリアが王子の婚約者候補から抜けたい理由ーーそれは、オーガストの存在に他ならない。
オーガストって、不思議な人よね。
タイミング良くあの庭園にいつも現れて、楽しませてくれるし。
私の婚約者がオーガストだったら良かったのに。
エラリアはいつも庭園で顔を合わせるオーガストに惹かれ始めていたが、まさか王子の婚約者候補の自分が他の令息と親しくなることなど許されない。
しかも、エラリアにとって今はオーキスとの婚約、結婚という未来を潰すことが何よりも最優先なことだった。
オーキスとの結婚さえなければ、好きな人と結ばれることも可能なのだからーー。
「エラリア、こっちこっち!」
「オーガスト! 今日も来ていたのね」
この日もまた二人は庭園で落ち合っていた。
毎回偶然会えるなんてどう考えても不自然なのにも関わらず、エラリアはオーガストが王宮で働く貴族の息子なのだと勝手に納得していた。
下手に詮索をして会えなくなることを恐れて、エラリアは家族や家についての話題を避けていたのである。
オーガストも同様なのか、不思議と会話は個人の趣味や嗜好、最近の流行りについてが多く、二人は一定の距離感を保っていたのだが。
何故か今日は少し様子が違っていた。
「あのさ、エラリアが前に髪飾りを落としたって言っていただろう? これ、良かったらもらってくれないかな?」
「え、私に?」
差し出されたのは、青い薔薇をモチーフにした中心にブルーサファイアが輝く、レースとリボンで可愛く飾られた髪飾りだった。
「素敵! でもこんな高価なものをもらえないわ」
「エラリアに受け取って欲しいんだ。……贈り物なんて初めてで、よくわからなかったから気に入らないかもしれないけど」
「初めて? これ、オーガストが選んでくれたの?」
「ああ。エラリアに似合うと思って」
そこでエラリアは気付いてしまった。
髪飾りのブルーサファイアが、オーガストの瞳と同じ色だということをーー。
「このブルーサファイア、あなたの瞳と同じ色ね。とても美しいわ。ありがとう!」
男性からの贈り物なんて初めてだわ!
しかも、瞳と同じ色の贈り物なんて、少しは私に興味を持ってくれているのかしら?
嬉しすぎて、顔がにやけてしまうじゃない。
好きにならないようにと心にブレーキをかけてきたエラリアだったが、この時もう手遅れだと自覚したのだった。
次のお茶会に、エラリアは早速髪飾りを着けていった。
婚約者候補なのに、他の男性から貰った物を身に着けるのは、背徳的でドキドキしてしまう。
しかも、珍しく最初から参加をしているオーキスからの視線を感じる。
さっきから何なのかしら?
まさか、この髪飾りがプレゼントされたものだと気付いたとか?
居心地の悪いエラリアは、マナー違反だとはわかっていたが、途中で退出してしまった。
「まあ、これでいよいよ候補もクビでしょ。こんな無礼な令嬢なんてお断りでしょうし。最初からこうすれば良かったわ」
せいせいした気分で庭園に向かい、しばらく花々を楽しんでいると、オーガストがやってきた。
「エラリア!」
「オーガスト、まあ、そんなに息を切らして」
「君が髪飾りを着けてくれているのが嬉しくて。良く似合っているよ。とても綺麗だ」
どこから駆け付けたのか、オーガストの息は上がっていた。
なんだか服装も、慌てて着替えたのか、それとも走ってきたからなのか、よれてしまっている。
「ありがとう。でもそんなに慌てて来なくても大丈夫よ。まあ、早く会えた方が嬉しいけれど」
「僕も早く会いたかったんだ!」
二人の間には明らかに以前とは違う空気が流れていて、エラリアはそれが嬉しいけれど恥ずかしく、なんだかもじもじしてしまう。
オーガストも同じく恥ずかしそうにそっぽを向いて、頬をポリポリと掻いていた。
しばらくの間、初々しい二人のやり取りは続き、すっかり気持ちがピンク色のエラリアだったがーー。
問題は翌日に起きた。
父から第三王子婚約者最終候補の二名に残ったと聞かされたエラリアは叫んだ。
「強制力がエグすぎるんですけどーー!!」
王家による第三王子の婚約者候補選抜は今も続いており、エラリアはまだ候補に残っていた。
「はぁぁ!? なんでまだ私が残っているのですか!」
「光栄なことではないか。それだけお前に見どころがあるということだろう?」
「そんなはずないですわ! 毎回抜け出して、オーキス殿下と直接お話したことすらな……」
「なんだと? 抜け出して?」
「あわわわ……いえいえ、なんでもないですわ。えーと、つい殿下の前だと緊張してしまって、王子を取り巻く令嬢の輪から抜け出してしまったり、積極的に話しかけられないことも多く……」
「なんだ、そういうことか! いや、そういう慎み深さが評価されているのかもしれんな」
そんなわけないでしょうが!
遠目に王子の金髪を眺めたことしかない上、いつもほとんどの時間は庭園に逃げ込んでいるというのに。
まともに話したことすらないわよ。
エラリアは、父から今回も王子の婚約者候補に残留してしまったと聞かされたところだ。
いよいよ残りは、エラリア含めて五名となってしまった。
普通の令嬢なら喜んで小躍りするところだが、落とされることをひたすら望んでいるエラリアにとっては、迷惑この上ない仕打ちである。
しぶとく残されていることを知ったエラリアは、ショックを通り越してだんだん腹が立ってきた。
こんなの、おかしくない?
意味がわからないわ!
十二名もいたのが、この四年のうちに五名まで減らされたっていうのに、なんで私がまだ残っているのよ!
残っている令嬢の数が少なくなったせいで、目立たないように抜け出すのも困難なのに!!
徐々にこじんまりとしていくお茶会で、エラリアはなんとかオーキス王子との接触をあの手この手で躱してきた。
奇跡的にオーキスが遅れたり、不参加だったり、途中退出したりと、参加する時間が短いおかげで、なんとかエラリアは王子と深く関わらずに済んできたのである。
もちろんこれは父には内緒だが。
オーキスが姿を見せると、他の令嬢に囲まれている間にそっと逃げ出すのがいつもの手で、いまだに顔すらきちんと見たことはない。
とにかく印象に残りたくないので、会場では俯いて気配を消すことに必死だった。
あー、いい加減、候補から落としてほしいものだわ。
こんなに好かれる要素がないのに落とされないなんて、考えたくはないけどやっぱり強制力なのかしら?
あ、小説でオーキスと恋に落ちる令嬢!
あの子と今から出会って恋愛をしてくれれば、私はサレ妻にならなくて済むのに。
ヒロインの名前って何だっけ?
えーと、シャローンじゃなくて、……シャーロットだ!
しかし、シャーロットという名前の令嬢は候補者の中にはおらず、知り合いに思い当たる娘もいなかった。
「もう! どこにいるのよ、シャーロット!!」
思わず叫んでしまったエラリアだったが、彼女がイライラしている理由は強制力への恐怖心からだけではなかった。
エラリアが王子の婚約者候補から抜けたい理由ーーそれは、オーガストの存在に他ならない。
オーガストって、不思議な人よね。
タイミング良くあの庭園にいつも現れて、楽しませてくれるし。
私の婚約者がオーガストだったら良かったのに。
エラリアはいつも庭園で顔を合わせるオーガストに惹かれ始めていたが、まさか王子の婚約者候補の自分が他の令息と親しくなることなど許されない。
しかも、エラリアにとって今はオーキスとの婚約、結婚という未来を潰すことが何よりも最優先なことだった。
オーキスとの結婚さえなければ、好きな人と結ばれることも可能なのだからーー。
「エラリア、こっちこっち!」
「オーガスト! 今日も来ていたのね」
この日もまた二人は庭園で落ち合っていた。
毎回偶然会えるなんてどう考えても不自然なのにも関わらず、エラリアはオーガストが王宮で働く貴族の息子なのだと勝手に納得していた。
下手に詮索をして会えなくなることを恐れて、エラリアは家族や家についての話題を避けていたのである。
オーガストも同様なのか、不思議と会話は個人の趣味や嗜好、最近の流行りについてが多く、二人は一定の距離感を保っていたのだが。
何故か今日は少し様子が違っていた。
「あのさ、エラリアが前に髪飾りを落としたって言っていただろう? これ、良かったらもらってくれないかな?」
「え、私に?」
差し出されたのは、青い薔薇をモチーフにした中心にブルーサファイアが輝く、レースとリボンで可愛く飾られた髪飾りだった。
「素敵! でもこんな高価なものをもらえないわ」
「エラリアに受け取って欲しいんだ。……贈り物なんて初めてで、よくわからなかったから気に入らないかもしれないけど」
「初めて? これ、オーガストが選んでくれたの?」
「ああ。エラリアに似合うと思って」
そこでエラリアは気付いてしまった。
髪飾りのブルーサファイアが、オーガストの瞳と同じ色だということをーー。
「このブルーサファイア、あなたの瞳と同じ色ね。とても美しいわ。ありがとう!」
男性からの贈り物なんて初めてだわ!
しかも、瞳と同じ色の贈り物なんて、少しは私に興味を持ってくれているのかしら?
嬉しすぎて、顔がにやけてしまうじゃない。
好きにならないようにと心にブレーキをかけてきたエラリアだったが、この時もう手遅れだと自覚したのだった。
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せいせいした気分で庭園に向かい、しばらく花々を楽しんでいると、オーガストがやってきた。
「エラリア!」
「オーガスト、まあ、そんなに息を切らして」
「君が髪飾りを着けてくれているのが嬉しくて。良く似合っているよ。とても綺麗だ」
どこから駆け付けたのか、オーガストの息は上がっていた。
なんだか服装も、慌てて着替えたのか、それとも走ってきたからなのか、よれてしまっている。
「ありがとう。でもそんなに慌てて来なくても大丈夫よ。まあ、早く会えた方が嬉しいけれど」
「僕も早く会いたかったんだ!」
二人の間には明らかに以前とは違う空気が流れていて、エラリアはそれが嬉しいけれど恥ずかしく、なんだかもじもじしてしまう。
オーガストも同じく恥ずかしそうにそっぽを向いて、頬をポリポリと掻いていた。
しばらくの間、初々しい二人のやり取りは続き、すっかり気持ちがピンク色のエラリアだったがーー。
問題は翌日に起きた。
父から第三王子婚約者最終候補の二名に残ったと聞かされたエラリアは叫んだ。
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