上 下
7 / 37

メンバーカラーも決まりました

しおりを挟む
このグループはアイドルとして無限のポテンシャルを秘めている気がするわ。
完璧です!

私が考えていたルカリオ、キース、レンのアイドルとしての売り出し方、簡単に言えば『正統派』、『ワイルド』、『ミステリアス』というそれぞれのイメージを語ってみると賛成してくれたので、そのキャラクターでいくことにする。
人間、無理にキャラを偽装せず、自然のままが一番である。

「で、気になったんだけど」

ルカリオがイタズラを思い付いたような顔をしている。
なんとなく踊らされた時のトラウマが蘇って、不安に思いながら聞いていると。

「さっきの例えではたまたま僕が出てきたけど、本当のアイリスの『推し』は僕たちの誰なのかな?」

は?
私の推しを気にしてどうするのでしょう。
早速自分のファンが欲しくなったのかしら?

「私はもちろんグループとして『箱推し』ですから」

ニッコリ笑って言ったら、三人に不満そうな顔をされてしまった。
なにゆえ?
一番公平な答えだし、プロデューサーが一人を特別扱いしたらまずいのでは?


「じゃあ、次いきますよ。それぞれのメンバーカラーを決めましょう。つまりはイメージカラーなのですが、ファンはその色を服や小物に取り入れることで、誰を推しているか主張するのです。一種の愛情表現ですね。推しが同じ者同士の交流もしやすいですし」

コンサートで推しに見つけてもらえる利点が大きいと思うが、まだコンサートが出来る段階ではないので省略しておく。
早く大きな広場でファンの前に立つ三人を見てみたいものだ。

「色の希望はありますか? 一般的なのは、赤、青、黄色、緑とかですかね」
「黒がいいです!」

おっ、レンにしては珍しく積極的な態度ですね。
魔術師のローブが黒だから落ち着くとかでしょうか。

「いいですよ。レンは黒にしましょう。ルカリオとキースはどうします? 出来れば赤は欲しいところですけれど」
「ルカリオが赤じゃねえか? 絨毯とかタスキみたいなやつ赤だもんな。俺は青だな」
「少し意味不明だけど、文句は無いよ。あれはタスキじゃなくてサッシュだけどね。じゃあ僕が赤で」

またまた揉めることなくメンバーカラーも決定した。
この三人は好みがバラけているので助かる。
それに、赤、青、黒ならバランスもいいし、覚えやすい。
正直、赤、ピンク、オレンジとかだったら困っていたところだ――可愛いけれど。

「アイリスは三色のうち何色を……」
「私は三色とも身に付けますので、ご心配なく!」

レンの質問を私は途中で遮った。
きっと私が何色の服にするか尋ねようとしたに違いない。
それは正しかったようで、レンは『そう言うと思っていました』といった顔をしながらもガッカリしているように見える。

私が仮に、全身上から下までレンのメンバーカラーの黒で現れたら、レンはきっとドン引きするでしょうに。
それ以前に全身黒色って、ヤバイ令嬢扱いされてお嫁に行けなくなりそうですね。
それにしても、赤、青、黒の三色コーデはなかなか厳しいような。
まあ、なんとかしてくれるでしょう――うちの優秀な侍女たちが。
彼らが五人組とかじゃなくて良かったです。

三人はなぜか私に自分の色だけを纏って欲しいのか、拗ねているが理由がわからない。
兎にも角にもリーダーとキャラクター、メンバーカラーが決定したのだから、今日は頑張ったのではないだろうか。

この時の私は、肝心のグループ名を決め忘れていることに気付いていなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

温泉聖女はスローライフを目指したい

皿うどん
恋愛
アラサーの咲希は、仕事帰りに酔っ払いに背中を押されて死にかけたことをきっかけに異世界へ召喚された。 一緒に召喚された三人は癒やしなど貴重なスキルを授かったが、咲希のスキルは「温泉」で、湯に浸かる習慣がないこの国では理解されなかった。 「温泉って最高のスキルじゃない!?」とうきうきだった咲希だが、「ハズレ聖女」「ハズレスキル」と陰口をたたかれて冷遇され、城を出ることを決意する。 王に見張りとして付けられたイケメンと共に、城を出ることを許された咲希。 咲希のスキルがちょっぴりチートなことは誰も知らないまま、聖女への道を駆け上がる咲希は銭湯を経営して温泉に浸かり放題のスローライフを目指すのだった。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

破滅ルートを全力で回避したら、攻略対象に溺愛されました

平山和人
恋愛
転生したと気付いた時から、乙女ゲームの世界で破滅ルートを回避するために、攻略対象者との接点を全力で避けていた。 王太子の求婚を全力で辞退し、宰相の息子の売り込みを全力で拒否し、騎士団長の威圧を全力で受け流し、攻略対象に顔さえ見せず、隣国に留学した。 ヒロインと王太子が婚約したと聞いた私はすぐさま帰国し、隠居生活を送ろうと心に決めていた。 しかし、そんな私に転生者だったヒロインが接触してくる。逆ハールートを送るためには私が悪役令嬢である必要があるらしい。 ヒロインはあの手この手で私を陥れようとしてくるが、私はそのたびに回避し続ける。私は無事平穏な生活を送れるのだろうか?

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、 飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、 気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、 まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、 推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、 思ってたらなぜか主人公を押し退け、 攻略対象キャラや攻略不可キャラからも、モテまくる事態に・・・・ ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」  行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。  相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。  でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!  それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。  え、「何もしなくていい」?!  じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!    こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?  どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。  二人が歩み寄る日は、来るのか。  得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?  意外とお似合いなのかもしれません。笑

不憫な侯爵令嬢は、王子様に溺愛される。

猫宮乾
恋愛
 再婚した父の元、継母に幽閉じみた生活を強いられていたマリーローズ(私)は、父が没した事を契機に、結婚して出ていくように迫られる。皆よりも遅く夜会デビューし、結婚相手を探していると、第一王子のフェンネル殿下が政略結婚の話を持ちかけてくる。他に行く場所もない上、自分の未来を切り開くべく、同意したマリーローズは、その後後宮入りし、正妃になるまでは婚約者として過ごす事に。その内に、フェンネルの優しさに触れ、溺愛され、幸せを見つけていく。※pixivにも掲載しております(あちらで完結済み)。

醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます

ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。 そして前世の私は… ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。 とある侯爵家で出会った令嬢は、まるで前世のとあるホラー映画に出てくる貞◯のような風貌だった。 髪で顔を全て隠し、ゆらりと立つ姿は… 悲鳴を上げないと、逆に失礼では?というほどのホラーっぷり。 そしてこの髪の奥のお顔は…。。。 さぁ、お嬢様。 私のゴットハンドで世界を変えますよ? ********************** 『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』の続編です。 続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。 前作も読んでいただけるともっと嬉しいです! 転生侍女シリーズ第二弾です。 短編全4話で、投稿予約済みです。 よろしくお願いします。

処理中です...