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第7章 東の帝国マコラ編
②シュウの応援
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シュウと見張りを交代する為、俺は辺りを警戒しながら歩く。今のところ、近くに魔物の気配はない。
「シュウ、交代する。休んでくれ」
「ああ、ありがとう。カイル、眠れたか?」
「まぁな」
少し離れた小高い場所に腰掛ける。
レノのいる場所を見る。
今夜は少し冷える。もう夏が過ぎていく。空気が澄んで、夜空の星の煌めきがよく見える。
「美しいな・・」
思わず呟く。
「星なんか見て和んでる場合か?カイル、いつまで黙ってるつもりなんだよ?このままでいいのか?」
シュウが突然そんな事を言い出す。レノの事を言っているんだと、すぐに察した。
たが、俺ですらそう思っているんだ・・こっちが聞きたいくらいなんだよ。
「何の事だ」
「とぼけるなよ。早くしないと、レノが他の誰かに取られるぞ?だってさ・・」
しばらくシュウが沈黙する。意図的に・・だってさ・・?なんなんだよ!焦らしやがって。
「だって?途中で止めるな、気になる」
「だろ?レノの奴、俺にも何も言わないから分からない。だけど、ギルドで殴り合いをした日に、俺の想い人はナディアじゃないって言ったんだ。じゃあ、誰なんだろうな?レノの想い人って」
俺は・・レノが親友だと言うシュウの事でさえ、恋敵だと思っていた、最近まで・・
二人は距離が近い。
シュウはレノの家にも泊まるし、なんと言ってもレノが楽しそうにしている。
よく二人で行動していて、冒険者ランクも同等だから依頼も一緒に行くことが増えた。
シュウは良い奴だし嫌いじゃないが、レノの事が絡んでくると話は別だ。
正直、嫉妬していた。
だが、二人がギルドで取っ組み合いをした日、シュウが恋敵では無いという事がはっきりと分かった。好きな相手を殴るなんて、普通は出来ないだろうから。
おまけに、シュウは宝石商の子爵令嬢に執心だと言うんだから早く知りたかったと言うものだ。おかげでこちらはずっと、警戒していたのだから。
「誰を好きだろうと、レノの自由だろ・・?」
「そりゃあそうだけど。俺、今回の依頼が完了したらマコラの奥里まで行ってくるから先に帰ってよ。あとは二人でどうぞ。普段はレノに構う奴らが大勢いるし、二人きりになる機会なんてあまりないんだからさ・・まぁ、奪ってしまえば良いんじゃないの?」
「・・奪うって、お前なぁ!」
「まぁ、近い内に誰かがそうするんじゃないの?そうなる前に、レノを振り向かせた方が良いんじゃないかって言ってるんだよ」
「・・はぁ・・分からないんだよ・・レノが俺をどう思っているか。懐いているとは思うが、無防備過ぎるんだ」
ため息が出る。
もう、隠したって仕方がない・・シュウには俺の気持ちを知られているようだし。
ナディアとうまくいったからといって、急に調子に乗るんじゃないぞ!
「だから、良い機会なんじゃないの?ふたりでゆっくりしながら、アンティジェリア王国に帰りなよ」
俺はレノが好きだ・・大切にしたい。一緒に、リティニア王国に帰れたら、どんなにいいだろう。
抱き締めたい・・奪ってしまいたい・・
ちゃんと愛してると伝えたい・・
俺は受け入れてもらえるのだろうか。
また、ため息が出る。
「シュウ、休め。明日は早いぞ・・」
「はいはい。とりあえず、俺はカイルを応援してるよ。じゃあおやすみ」
シュウは、笑いながらレノのいる場所へ向かって行く。
応援、か。
辺りが静かになる。遠くから鳥が鳴く声が聞こえる。今夜は、本当に冷える・・
レノは寒くないだろうか・・
シュウに、レノを頼むと伝えそびれて後悔する。
シュウが付けた見張り場の焚き火が小さくなり、薪を足す。パチパチとなる音が心地よい。
「カイル」
小さく俺を呼ぶ声が聞こえた気がして、振り返る。
「レノ!?」
レノが丘に登って俺の側まで歩いてくる。
愛らしい姿だ・・笑顔で・・どうしたんだ?何かあったのか?
「ふぅ・・カイル、来ちゃった!」
来ちゃった?可愛いけど、何しに?
「何かあったのか?眠れなかったか?」
俺は心配になって、レノの顔を覗き込む。
「なんにも。ただ、星空が綺麗だったから、カイルと一緒に見ようと思って」
レノは俺の隣に座って焚き火に手をかざした。夜は冷えると言うのに、外套も着ないで来たのか・・?
「レノ、外套は置いて来たのか?」
「あ!あー・・忘れちゃった」
「ならこちらに来い」
俺はレノをグイッと引っ張って、腕の中に収める。足の間に入れてピッタリと体を付けると、俺の外套の中に入れてやる。
「わぁっ!い、いいよ!大丈夫だから!」
「大丈夫じゃないだろ?これから討伐に行くんだ。風邪をひいて倒れられても困る」
強引だっただろうか・・
レノはどんな奴が好きなんだ?そもそも、恋愛対象は女なんだろうか・・
以前、俺の心は男だ!と騒いでいた事もあったから・・
「カイル、暖かい・・ありがとう」
レノは俺の腕の中で、振り向いて笑う。
はぁ、反則だ・・可愛すぎる!
「ああ」
「カイル・・カイルは、いつかリティニア王国に帰ってしまうの?」
何故そんな事を聞くんだ?帰って欲しくないと言う事だろうか。そうだったなら、嬉しい。
「まだ、帰らないよ。レノ・・いつか俺と一緒に、リティニア王国に帰らないか?」
思わず言ってしまった・・俺と、一緒に帰って欲しい・・俺の伴侶として。
こんな風に思ってもいいんだろうか・・返事が怖い・・
「行く!行きたい!いつか、カイルとリティニア王国に冒険者として行けたら嬉しい!カイルの生まれた国も見てみたいし!ご家族に会える?お母さんってどんな人?あ、貴族の良いおうちか・・俺、行けないな・・」
はぁ・・伝わらないだろうとは思っていたが、やはり・・だな。
曖昧な言い方じゃあ伝わらないんだ。まだまだ、俺の気持ちに気づいてくれそうにないな。
結局俺は、腕の中で眠るレノを抱えて朝を迎えたのだった。
それから、疲れた顔の俺を見て、シュウが俺に「お疲れ・・」と言って笑った。
体じゃなく・・心が疲れてるんだよ・・
「シュウ、交代する。休んでくれ」
「ああ、ありがとう。カイル、眠れたか?」
「まぁな」
少し離れた小高い場所に腰掛ける。
レノのいる場所を見る。
今夜は少し冷える。もう夏が過ぎていく。空気が澄んで、夜空の星の煌めきがよく見える。
「美しいな・・」
思わず呟く。
「星なんか見て和んでる場合か?カイル、いつまで黙ってるつもりなんだよ?このままでいいのか?」
シュウが突然そんな事を言い出す。レノの事を言っているんだと、すぐに察した。
たが、俺ですらそう思っているんだ・・こっちが聞きたいくらいなんだよ。
「何の事だ」
「とぼけるなよ。早くしないと、レノが他の誰かに取られるぞ?だってさ・・」
しばらくシュウが沈黙する。意図的に・・だってさ・・?なんなんだよ!焦らしやがって。
「だって?途中で止めるな、気になる」
「だろ?レノの奴、俺にも何も言わないから分からない。だけど、ギルドで殴り合いをした日に、俺の想い人はナディアじゃないって言ったんだ。じゃあ、誰なんだろうな?レノの想い人って」
俺は・・レノが親友だと言うシュウの事でさえ、恋敵だと思っていた、最近まで・・
二人は距離が近い。
シュウはレノの家にも泊まるし、なんと言ってもレノが楽しそうにしている。
よく二人で行動していて、冒険者ランクも同等だから依頼も一緒に行くことが増えた。
シュウは良い奴だし嫌いじゃないが、レノの事が絡んでくると話は別だ。
正直、嫉妬していた。
だが、二人がギルドで取っ組み合いをした日、シュウが恋敵では無いという事がはっきりと分かった。好きな相手を殴るなんて、普通は出来ないだろうから。
おまけに、シュウは宝石商の子爵令嬢に執心だと言うんだから早く知りたかったと言うものだ。おかげでこちらはずっと、警戒していたのだから。
「誰を好きだろうと、レノの自由だろ・・?」
「そりゃあそうだけど。俺、今回の依頼が完了したらマコラの奥里まで行ってくるから先に帰ってよ。あとは二人でどうぞ。普段はレノに構う奴らが大勢いるし、二人きりになる機会なんてあまりないんだからさ・・まぁ、奪ってしまえば良いんじゃないの?」
「・・奪うって、お前なぁ!」
「まぁ、近い内に誰かがそうするんじゃないの?そうなる前に、レノを振り向かせた方が良いんじゃないかって言ってるんだよ」
「・・はぁ・・分からないんだよ・・レノが俺をどう思っているか。懐いているとは思うが、無防備過ぎるんだ」
ため息が出る。
もう、隠したって仕方がない・・シュウには俺の気持ちを知られているようだし。
ナディアとうまくいったからといって、急に調子に乗るんじゃないぞ!
「だから、良い機会なんじゃないの?ふたりでゆっくりしながら、アンティジェリア王国に帰りなよ」
俺はレノが好きだ・・大切にしたい。一緒に、リティニア王国に帰れたら、どんなにいいだろう。
抱き締めたい・・奪ってしまいたい・・
ちゃんと愛してると伝えたい・・
俺は受け入れてもらえるのだろうか。
また、ため息が出る。
「シュウ、休め。明日は早いぞ・・」
「はいはい。とりあえず、俺はカイルを応援してるよ。じゃあおやすみ」
シュウは、笑いながらレノのいる場所へ向かって行く。
応援、か。
辺りが静かになる。遠くから鳥が鳴く声が聞こえる。今夜は、本当に冷える・・
レノは寒くないだろうか・・
シュウに、レノを頼むと伝えそびれて後悔する。
シュウが付けた見張り場の焚き火が小さくなり、薪を足す。パチパチとなる音が心地よい。
「カイル」
小さく俺を呼ぶ声が聞こえた気がして、振り返る。
「レノ!?」
レノが丘に登って俺の側まで歩いてくる。
愛らしい姿だ・・笑顔で・・どうしたんだ?何かあったのか?
「ふぅ・・カイル、来ちゃった!」
来ちゃった?可愛いけど、何しに?
「何かあったのか?眠れなかったか?」
俺は心配になって、レノの顔を覗き込む。
「なんにも。ただ、星空が綺麗だったから、カイルと一緒に見ようと思って」
レノは俺の隣に座って焚き火に手をかざした。夜は冷えると言うのに、外套も着ないで来たのか・・?
「レノ、外套は置いて来たのか?」
「あ!あー・・忘れちゃった」
「ならこちらに来い」
俺はレノをグイッと引っ張って、腕の中に収める。足の間に入れてピッタリと体を付けると、俺の外套の中に入れてやる。
「わぁっ!い、いいよ!大丈夫だから!」
「大丈夫じゃないだろ?これから討伐に行くんだ。風邪をひいて倒れられても困る」
強引だっただろうか・・
レノはどんな奴が好きなんだ?そもそも、恋愛対象は女なんだろうか・・
以前、俺の心は男だ!と騒いでいた事もあったから・・
「カイル、暖かい・・ありがとう」
レノは俺の腕の中で、振り向いて笑う。
はぁ、反則だ・・可愛すぎる!
「ああ」
「カイル・・カイルは、いつかリティニア王国に帰ってしまうの?」
何故そんな事を聞くんだ?帰って欲しくないと言う事だろうか。そうだったなら、嬉しい。
「まだ、帰らないよ。レノ・・いつか俺と一緒に、リティニア王国に帰らないか?」
思わず言ってしまった・・俺と、一緒に帰って欲しい・・俺の伴侶として。
こんな風に思ってもいいんだろうか・・返事が怖い・・
「行く!行きたい!いつか、カイルとリティニア王国に冒険者として行けたら嬉しい!カイルの生まれた国も見てみたいし!ご家族に会える?お母さんってどんな人?あ、貴族の良いおうちか・・俺、行けないな・・」
はぁ・・伝わらないだろうとは思っていたが、やはり・・だな。
曖昧な言い方じゃあ伝わらないんだ。まだまだ、俺の気持ちに気づいてくれそうにないな。
結局俺は、腕の中で眠るレノを抱えて朝を迎えたのだった。
それから、疲れた顔の俺を見て、シュウが俺に「お疲れ・・」と言って笑った。
体じゃなく・・心が疲れてるんだよ・・
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