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第1章 王宮編
⑥図書室に通います
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俺は目を覚ました。
今日も1人。
これまでは朝起きると隣にはレオがいて、俺より少し早く目覚めたレオは、静かに俺を見つめていた。
容姿端麗な美丈夫が愛しそうに微笑むと、胸がギュっとなって、深いサファイアの瞳に吸い込まれそうになる。
それから「おはよう、愛しているよ」って耳元に囁いてキスをくれた。
金色の髪が俺の頬を撫でて擽ったくて、すごく抱きしめたくなるんだ。
でも今は1人。
俺はレオが恋しくてまた涙が出そうになり、レオの私室にいることが苦しくなる。
部屋の主は毎日どこで眠っているんだろうか。
ちゃんと休めているのかな。
「レオ・・どこにいるの?」
俺はため息を付きながら考えた。
今日であれから6日目、レオは今日も俺を拒絶するんだろうか。
今日もダメなら、ちゃんと今後の事について考えないといけない。
いつまでも、このまま迷惑掛けられないから。
俺は薬剤魔法師の制服を着て、仕事に向かった。仕事はいつもと変わらないから、余計なことを考えなくてすむ。
俺は王宮薬剤魔法師で、治癒魔法が使える。
瀕死の状態でも癒せるはずなんだけど、俺は戦場に行った事がないから大きな怪我は治した事がない。小さな傷程度なら日常的に治しているけれど、今は治癒ポーションなどの薬の生成が、主な仕事内容だ。
魔法、もっと極めないとな・・
俺は生活魔法や薬剤魔法以外に試したことがないけど、もう少し鍛錬を積んでみようか・・
独り立ちしよう・・
レオと別れても自立出来るように城を出て行く準備をしなければいけない。
その為に出来ることをしよう。
俺は定時を待って、王宮内の図書室に向かった。
そこには国中から集められた貴重な資料から、高等魔術を扱う魔法書まであらゆる書物が存在している。
図書室の中へ進むと、奥にある扉の前で立ち止まった。
深呼吸をしてから扉をノックすると、中から「どうぞ、お入りなされ」と声が聞こえた。
「あの・・こんにちは。俺、少しご相談したいことがあって・・」
俺は扉を開けて中を覗き、緊張気味に挨拶すると、優しげな白髪の老人がニコリと笑って椅子を進めてくれた。
「これはセス様、どうかされましたかの?」
この老人は、王国の最高位魔術師であるジルエスト様で、時々薬剤関連の書物を俺に貸してくれる優しい人だ。
知識が豊富で書物がお好きだから、この場所で図書室の管理もしている。
昔は戦場に出向いて沢山の魔物相手に、百戦錬磨な戦いをしてきた凄い人なんだ。
それに王子様たちのかつての師でもあって、もちろんレオの指南役でもある優れた指導者だった。
元々王族は魔力量を多く所持している。
そんなレオも例外ではなく、今では最高位の魔術を操る事が出来る数少ない人なのだ。
「俺、もう一度魔法を勉強したくて。俺は治癒魔法や生活魔法以外に火と水も少しなら使えます・・でも弱くて戦えないから」
「セス様は、魔法を勉強して戦いにでも行くのかの?なぜそのような考えに?」
ジルエスト様は困ったような顔をしてそう言った。
「俺、お城を出ようと思って・・あっ!あの・・誰にも言わないで下さい・・こんな俺にお城の人達は優しいから・・心配させてしまうので。俺、お城を出て自立した生活がしたいんです。自分の身は、自分で守れるようになりたいんです!」
俺はジルエスト様から魔術を教わる事になった。
と言っても魔法を放ったりすることはせず、図書室で魔術に関して知らない知識を埋めていく作業をしている。
数日経ったあとからは、分からない所は教えてくれたが、基本的には俺は1人でひたすらに書物を読んだ。
朝は5時に起きる事にして、仕事に行く前の2時間の間、書物と向き合った。
知らない事を知って行く作業が楽しくなった。実践に向けて、次々と準備をしていく。
積み重ねた魔法の座学が果たして通用するのか分からないが、例え無駄に終わったとしてもそれはそれで良かった。
この時間は何も考えずに集中していられたから。レオから意識をそらせたから。
俺は魔法の呪文や魔法式、各種魔法陣を次々に覚えた。
体の中に染み渡るように、自然に魔法が纏うように、息をするように簡単に魔法を放つ想像をしながら。
今日も1人。
これまでは朝起きると隣にはレオがいて、俺より少し早く目覚めたレオは、静かに俺を見つめていた。
容姿端麗な美丈夫が愛しそうに微笑むと、胸がギュっとなって、深いサファイアの瞳に吸い込まれそうになる。
それから「おはよう、愛しているよ」って耳元に囁いてキスをくれた。
金色の髪が俺の頬を撫でて擽ったくて、すごく抱きしめたくなるんだ。
でも今は1人。
俺はレオが恋しくてまた涙が出そうになり、レオの私室にいることが苦しくなる。
部屋の主は毎日どこで眠っているんだろうか。
ちゃんと休めているのかな。
「レオ・・どこにいるの?」
俺はため息を付きながら考えた。
今日であれから6日目、レオは今日も俺を拒絶するんだろうか。
今日もダメなら、ちゃんと今後の事について考えないといけない。
いつまでも、このまま迷惑掛けられないから。
俺は薬剤魔法師の制服を着て、仕事に向かった。仕事はいつもと変わらないから、余計なことを考えなくてすむ。
俺は王宮薬剤魔法師で、治癒魔法が使える。
瀕死の状態でも癒せるはずなんだけど、俺は戦場に行った事がないから大きな怪我は治した事がない。小さな傷程度なら日常的に治しているけれど、今は治癒ポーションなどの薬の生成が、主な仕事内容だ。
魔法、もっと極めないとな・・
俺は生活魔法や薬剤魔法以外に試したことがないけど、もう少し鍛錬を積んでみようか・・
独り立ちしよう・・
レオと別れても自立出来るように城を出て行く準備をしなければいけない。
その為に出来ることをしよう。
俺は定時を待って、王宮内の図書室に向かった。
そこには国中から集められた貴重な資料から、高等魔術を扱う魔法書まであらゆる書物が存在している。
図書室の中へ進むと、奥にある扉の前で立ち止まった。
深呼吸をしてから扉をノックすると、中から「どうぞ、お入りなされ」と声が聞こえた。
「あの・・こんにちは。俺、少しご相談したいことがあって・・」
俺は扉を開けて中を覗き、緊張気味に挨拶すると、優しげな白髪の老人がニコリと笑って椅子を進めてくれた。
「これはセス様、どうかされましたかの?」
この老人は、王国の最高位魔術師であるジルエスト様で、時々薬剤関連の書物を俺に貸してくれる優しい人だ。
知識が豊富で書物がお好きだから、この場所で図書室の管理もしている。
昔は戦場に出向いて沢山の魔物相手に、百戦錬磨な戦いをしてきた凄い人なんだ。
それに王子様たちのかつての師でもあって、もちろんレオの指南役でもある優れた指導者だった。
元々王族は魔力量を多く所持している。
そんなレオも例外ではなく、今では最高位の魔術を操る事が出来る数少ない人なのだ。
「俺、もう一度魔法を勉強したくて。俺は治癒魔法や生活魔法以外に火と水も少しなら使えます・・でも弱くて戦えないから」
「セス様は、魔法を勉強して戦いにでも行くのかの?なぜそのような考えに?」
ジルエスト様は困ったような顔をしてそう言った。
「俺、お城を出ようと思って・・あっ!あの・・誰にも言わないで下さい・・こんな俺にお城の人達は優しいから・・心配させてしまうので。俺、お城を出て自立した生活がしたいんです。自分の身は、自分で守れるようになりたいんです!」
俺はジルエスト様から魔術を教わる事になった。
と言っても魔法を放ったりすることはせず、図書室で魔術に関して知らない知識を埋めていく作業をしている。
数日経ったあとからは、分からない所は教えてくれたが、基本的には俺は1人でひたすらに書物を読んだ。
朝は5時に起きる事にして、仕事に行く前の2時間の間、書物と向き合った。
知らない事を知って行く作業が楽しくなった。実践に向けて、次々と準備をしていく。
積み重ねた魔法の座学が果たして通用するのか分からないが、例え無駄に終わったとしてもそれはそれで良かった。
この時間は何も考えずに集中していられたから。レオから意識をそらせたから。
俺は魔法の呪文や魔法式、各種魔法陣を次々に覚えた。
体の中に染み渡るように、自然に魔法が纏うように、息をするように簡単に魔法を放つ想像をしながら。
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